テーマ図
今回は△22歩を打たずに△72銀と上がる将棋を検討したい。テーマ図の直前、△72銀に代えて△22歩▲38銀△72銀とする変化はこちらで検討した。
△22歩▲38銀に△94歩と打診する作戦もある。▲96歩には△62銀、▲35飛には△72銀を選ぶ意図だ。その変化はこちらで検討した。
テーマ図から先手はどう攻めを組み立てるか。
比較
手順 ▲45桂△88角成▲同銀△23角▲35飛△44歩。
まずは△22歩を打った局面と比較したい。△22歩型に▲45桂は成立しない。△88角成▲同銀△23角で切り返せるからだ。このとき△22歩の効果で▲77角のラインがない。
▲35飛と引くが、△44歩で「桂馬の高跳び歩の餌食」だ。先手失敗。
△22歩と打ってない場合、▲45桂が成立するかどうか。
手順 ▲45桂△88角成▲同銀△12角▲32飛成△同玉▲23歩△76飛▲22金△41玉▲77桂。
同じように△88角成▲同銀△12角とすると、▲32飛成△同玉▲23歩で先手良しだ。▲23歩では▲77角△76飛▲22金△41玉▲12金△同香▲82歩も自然でこれも先手指せる。▲23歩は、△同角なら▲77角△76飛▲22金と角をただで取る狙い。
△12角に▲24飛も△22歩を打ってないのを咎めているが、△45角▲21飛成△31金▲23角△同角▲同竜△45角▲34角△66桂で後手良し。
最終図は攻めが繋がっている。
手順 △88角成▲同銀△33歩▲24飛△23歩▲29飛△76飛▲77銀△75飛。
▲45桂には△88角成▲同銀に△33歩、△23歩とペタペタ貼るのが良い。対して先手の飛車の行く場所が難しい。
▲25飛は△44歩▲24歩に△34角や△14角が飛車に当たる。▲27飛は△55角が両取りになるし、△76飛▲77銀△75飛の順もある。
▲29飛は一番形が良いが、△76飛▲77銀△75飛とされて先手の桂馬が負担だ。他にも△37角▲77桂△55角成▲25飛に△44馬や△19馬とする展開もある。
いずれにしても先手が上手くいっているとは言えない。
テーマ図
手順 ▲38銀△74歩▲35飛△22歩▲25飛△76飛。
すぐ▲45桂は先手微妙だったので、一回▲38銀と上がる。対して△22歩なら△22歩と打つ変化と合流する。あくまでも△22歩を打たずに△74歩が工夫の一手だ。
▲35飛と引いて持久戦を目指す手にはそこで△22歩と打つ。この局面は△72銀に代えて△22歩▲38銀△94歩▲35飛△72銀とした変化と比べて、△94歩か△74歩かの違いだ。後手の主張が通っている。
最終図△76飛と動いて、形勢は難しいが後手が主導権を握っている。
手順 ▲45桂△88角成▲同銀△33桂▲同桂成△同金。
▲45桂と動く手はどうか。△88角成▲同銀に△33歩は▲74飛△73銀▲24飛△23歩▲29飛で先手指せる。単に▲45桂と跳ねた変化より先手陣が安定していて、先手が２歩得しているのが大きい。
この場合は△33桂と跳ねるのが良い。▲同桂成に△同金と取って先手の飛車をいじめる。
最終図以下、▲35飛は△24金。▲74飛は△73銀▲75飛△64角の要領。先手は飛車を取られそうで怖い格好だ。形勢は難しいが、先手はもっと工夫して攻めたい。
手順 ▲22歩△同金▲45桂△88角成▲同銀△33桂▲55角△32歩▲74飛。
▲22歩△同金▲45桂が工夫した攻め方だ。△88角成▲同銀△33桂には▲55角を用意している。△44角は▲同飛△同歩▲33桂成△同金▲91角成で駒得できる。
△32歩と受けるが、▲74飛と回った局面は先手良し。先手の駒が威張っている。
手順 △33歩▲74飛△73銀▲23歩△同金▲24歩△22金▲73飛成△同桂▲23銀△同金▲同歩成△65桂▲32金△52玉▲42金△同玉▲75角。
△33桂は▲55角があったので、今度は△33歩を選ぶ。▲74飛△73銀に▲24飛△23歩▲29飛と戻すのは▲22歩と打った甲斐がない。ここは▲23歩から攻め続けたい。以下は一本道だ。
最終図▲75角が詰めろ飛車取りで先手良し。とはいえ、△54飛と切り返してまだまだ長い将棋。
まとめ
今回は△22歩を打たずに△72銀を検討した。△72銀にすぐ▲45桂は△88角成▲同銀△33歩▲24飛△23歩で先手微妙なので、一回▲38銀と上がる。
▲38銀に△74歩とあくまでも△22歩を保留する。
△74歩に▲45桂は△88角成▲同銀△33桂▲同桂成△同金で先手の飛車が狭い。そこで先手は▲22歩△同金▲45桂と工夫して攻める。これなら△88角成▲同銀△33桂に▲55角と打てる。
よって△33歩になって、▲74飛△73銀▲23歩△同金▲24歩△22金▲73飛成△同桂▲23銀と攻めてどうか。この順が最有力で、後手にとってはこの変化に対応できるかが重要だ。