目次

第1図

△22歩は見慣れない手だが、角のラインと▲22歩と打たれる筋をケアしている。

△72銀では△62銀ー△51金と組むと中原囲いと呼ばれる格好になる。△62銀は▲45桂の攻めを警戒した意味があるが、▲35飛から駒組して先手作戦勝ちが見込める。

手順 △62銀▲35飛△51金▲87歩△82飛▲25飛。

後手が駒組に手をかけたので、▲25飛と戻ることができた。

最終図以下、▲29飛ー▲48金ー▲46歩ー▲47銀まで組めれば理想だ。このような進行になると横歩取りよりも相掛かりの感覚に近くなる。通常の相掛かりよりも先手が一歩得していると思えば指しやすさを感じるだろう。

手順 ▲35飛△74歩▲25飛△76飛。

△72銀に▲35飛とすると、△74歩を急ぐことができる。△62銀と違って△72銀は8筋をケアしている。

▲87歩に△76飛と取れる。▲25飛にも積極的に△76飛と取る手が有力だ。

△62銀ー△51金は、持久戦のとき後手が駒組負けする可能性がある。△72銀は▲35飛なら△74歩から△76飛を見せて先手は持久戦にしづらい。

そこで先手は攻めの組み立てを考える。

手順 △22歩▲45桂△88角成▲同銀△23角。

第1図の前に、△22歩を先にするか、△72銀を先にするかという問題がある。

先に△72銀だと▲45桂の仕掛けがないとは言えないので、先に△22歩が勝る。

これなら▲45桂には△88角成▲同銀△23角で後手良しだ。このとき△22歩の効果で▲24飛がきかない。

△41玉ー△22歩ー△72銀の仕組みが分かったところで、第1図からの指し方を見ていきたい。

第2図

手順 ▲96歩△94歩▲77桂△44角▲65桂△64歩▲45桂△65歩▲44角△同歩▲64角△84飛▲53桂不成△31玉▲75角。

第1図から▲96歩とつく。▲96歩は大きな一手だ。▲97角の筋ができるので次に▲77桂と跳ねることができる。

△94歩と受けたら狙い通り▲77桂と跳ねる。横歩取りで9筋の交換は基本的には先手の得になる変化が多い。そのメリットの一つが▲77桂だ。

▲77桂の次に▲45桂△44角▲65桂となれば気持ち良い。△44角は未然に防いだ受けだが、▲65桂が成立する。△64歩で取られるが▲45桂から▲64角まで進んで先手良しだ。

△84飛と角に当てるが、▲53桂不成△31玉▲75角が逆先になる。以下△54飛は▲61桂成△同銀▲43金で寄り筋になる。

これは△86飛が咎められた変化だ。そこで後手は▲96歩に△82飛と引いておく。

第3図

手順 △82飛▲84歩△88角成▲同銀△28角▲23歩△同歩▲24歩△33歩▲23歩成△34歩▲32と△同玉▲23歩△26歩▲22角△27歩成▲11角成△38と▲同金△29飛▲21馬△41玉▲22歩成。

△82飛と引くのは▲75角や▲97角が当たらないようにした意味だ。同じように▲77桂とすると今度は△44角で受かる。

▲35飛には△88角成▲同銀△44角。▲87歩は△88角成▲同銀△33銀▲35飛△28角があり、先手は忙しい。▲45桂の攻めも△88角成▲同銀△23角で受かる。

そこで▲84歩と垂らす。すぐ回収されそうだが、回収しようとすると形が乱れるのでこの手が成立する。

対して①△88角成 ②△23金 ③△54歩が主に考えられる。

①△88角成は▲同銀に△28角と打ち込む。

対して▲32飛成△同銀▲29金△37角成▲同銀△64歩▲77桂とする順も有力だ。先手が駒得になる。

もう一つ、▲23歩はより積極的な手だ。△19角成には▲32飛成△同玉▲22歩成△同玉▲23歩△32玉▲22角で先手指せる。

△23同歩には▲24歩と打つ。△同歩は▲同飛で両取りになる。

▲24歩に△33銀は▲23歩成で、△34銀▲32と△同玉▲18金(今度▲29金は△27歩とされる。▲18金なら△27歩に▲29歩とできる。)△37角成▲同銀と進む。単に▲32飛成と切る変化と比べて△22歩が削れていて、△34銀が不安定だ。▲66角や▲56角の攻め筋ができている。

▲24歩△33歩▲23歩成に△同金は▲35飛△19角成▲56角△32玉▲85飛で▲83歩成が受からない。

▲23歩成に△34歩▲32と△同玉と取り合うが、続く▲23歩が好手だ。△同玉は▲41角で合い駒が悪い。△32飛なら▲同角成△同玉▲24飛△19角成▲22金△41玉▲23飛成くらいで先手良しだ。

▲23歩に△33銀と受けても▲25桂から▲22角で攻めが続く。▲25桂が細かい手で、▲45桂△44銀▲22角△45銀よりも▲25桂△24銀▲22角△25銀と取らせた方が先手玉への響きが少ない。

△26歩だと攻め合いになるが、先手の攻めが早い。

最終図は先手指せる。

手順 △33銀▲35飛△28角▲85飛△83歩▲同歩成△同銀▲84歩△同銀▲83歩△同飛▲56角。

△33銀と上がってから△28角と打ち込む手も考えられるが、▲85飛と回って先手良しになる。△19角成には▲56角の数の攻めが受からない。

△83歩▲同歩成△同銀に▲84歩が好手で受けになっていない。△74銀には▲87飛△19角成▲83角で破ることができる。

△84同銀には▲83歩△同飛▲56角が痛い。最終図は先手はっきり良い。

第4図

手順 △23金▲33飛成△同桂▲66角△64歩▲77桂△32玉▲16歩。

△23金は飛車をどかして△84飛と取る狙いだ。しかし歩越しの金の悪形になるので少数派の指し方だ。

対して▲33飛成△同桂▲66角と▲84歩を支える。

△64歩▲77桂で、△65歩▲同桂△64歩としたいが▲53桂成△同銀▲24歩△34金▲16角が厳しい。

△32玉に▲16歩が味わい深い一手だ。狙いは▲15歩から▲56角だ。

▲16歩に△65歩▲同桂△64歩は▲24歩△同金▲53桂成△同金▲33角成△同玉▲45桂打で先手良し。

最終図から△44歩▲15歩△65歩なら▲同桂とはできないが、今度▲75角とかわして△44歩がマイナスになっている。△43歩型なら△65歩▲75角△63銀▲83角△62飛▲65角成△74銀で後手指せるが、△44歩とついてあると▲65角成が王手になる。

最終図はお互い手が広い。力戦調の将棋だ。先手の方が玉が安定していて、攻めの狙いが分かりやすい。先手持ちたい人が多いだろう。

手順 ▲35飛△84飛▲97桂△88角成▲同銀△33角▲85歩△34飛▲同飛△同金▲56角△24金▲84歩。

▲33飛成と飛車を切るのに不安を感じる日もある。そこで▲35飛と引いておくのも有力だ。

△84飛には▲97桂が継続手。▲85飛を含みにしている。

▲77桂でも同じようだが△86歩と垂らされ、▲85飛△同飛▲同桂△82飛は後手指せる。▲97桂に△86歩なら▲33角成△同金(△同桂は▲66角)▲75角△82飛▲45桂で先手指せる。

▲97桂に△88角成▲同銀△44角は▲32角△52玉▲85歩で先手良しだ。△88角成▲同銀△33角で▲85飛なら△同飛▲同桂△87歩で後手良しになる。△33角には▲85歩が良い。

△34飛以外に逃げると▲45桂から▲32角で駒得できる。

最終図▲84歩と伸ばした局面は難しい。△82歩と受けるのは自然だが▲29飛が好手で先手良しになる。▲84歩には△86飛と反撃含みで受けてる手が予想される。

△23金には▲33飛成と▲35飛、いずれも有力だ。

第5図

手順 △54歩▲同飛△88角成▲同銀△28角▲18香△19角成▲27角△33金。

最後に③△54歩だ。飛車の横利きを消して△84飛を狙う意図だ。

▲54同飛は自然だが、そこで△88角成▲同銀△28角と打ち込む。単に△88角成▲同銀△28角と違って、飛車が3筋から逸れているので▲32飛成も▲23歩もない。

▲18香から▲27角で香損にならないが、△33金が好手で先手の飛車角が目標になる。以下▲39金には△44金▲56飛△84飛とされ、▲29金としても△同馬▲同銀△65金▲46飛△55金寄で飛車が取られる。

最終図は先手不満だ。

手順 ▲77桂△64歩▲54飛△63銀▲56飛△44角▲75歩△84飛▲85歩△82飛▲97角。

▲54同飛だと△88角成▲同銀△28角とされたので、一回▲77桂と角交換されないようにしてから▲54飛を狙う手もある。

▲77桂に△84飛は▲45桂△44角▲65桂がある。

▲77桂に△44角だと▲同飛△同歩▲65桂△64歩▲44角△65歩▲45桂△43飛▲71角打の強襲が成立する。先手良しだ。

▲77桂には△64歩が手堅く、▲54飛△63銀から駒組になる。

▲56飛に△84飛は▲45桂△44角▲65桂△同歩▲44角△同歩▲75角のような攻めがちらつく。以下△45歩▲84角△28角となって先手の攻めが成立しているとは言えないが、後手怖いところだろう。

△84飛に代えて△44角が手堅い。

最終図は一局。ひねり飛車のような戦いになる。後手は△14歩ー△15歩が大きい手になる。

このような展開になると青野流にした甲斐なく、先手不満だ。

手順 ▲33角成△同桂▲54飛△28角▲35歩△36歩▲34歩△37歩成▲33歩成△同金▲53桂。

一回▲33角成として後手の態度を伺う手が有力だ。△同桂なら▲54飛とできる。

単に▲54飛のときと違って△33桂が跳ねてあるので△28角に▲35歩とできる。

最終図▲53桂まで進むと先手良し。

手順 ▲35歩△19角成▲34歩△52香▲33歩成△同金▲34歩△32金▲46桂△18馬▲27歩△17馬▲45桂。

▲35歩には△19角成から△52香とする手もある。この場合は▲34歩まで決めて▲46桂と支えておく。△54香▲同桂△53銀は▲33歩成△同金▲45桂で調子が良い。

最終図も攻めが繋がっている。

手順 △53歩▲56飛△84飛▲77桂△19角成▲65桂。

一回△53歩と飛車を追う手はどうか。▲24飛なら△19角成▲34歩△23香とする狙いだ。

▲56飛と冷静に引いておく。△84飛で▲34歩を防がれたが、▲77桂から▲65桂と二段活用して攻めが繋がる。

最終図以下△54香は▲36飛。△52金は▲75角。△51香は▲82歩のような感じだ。

手順 △33同銀▲54飛△44銀▲65角△53歩▲44飛△同歩▲83銀△同銀▲同歩成△42飛▲82歩△85飛▲81歩成△65飛▲77桂。

△33同銀にも▲54飛と回る。次に▲45桂があるので△44銀と▲45桂を警戒するが、▲65角が継続手。

△28角には▲44飛△同歩▲83銀△同銀▲同歩成△42飛▲53銀が狙い筋だ。

▲65角に△74角としても▲77桂で後手の手が難しい。△84飛には▲75歩がある。

△53歩と催促しても狙い通り▲44飛から▲83銀とする。桂香が拾える格好だ。

最終図は後手の飛車が狭い。先手優勢だ。

ここまでが▲96歩の主な変化だ。

第6図

手順 ▲16歩△82飛▲84歩△23金▲33飛成△同桂▲66角。

ここからは番外編。▲96歩に代えて▲16歩とする手も有力だ。▲15歩から端攻めする狙いだ。

同じように△82飛▲84歩となったとき▲96歩よりも▲16歩の方が価値が高い、という主張だ。

たしかに△23金と上がる変化だと▲35飛△84飛▲97桂の筋はできないが、▲33飛成△同桂▲66角となったとき、▲96歩の変化より一手早く端攻めができるようになる。

▲84歩に△54歩も▲33角成で、上記変化とあまり変わらない。

手順 △88角成▲同銀△33銀▲35飛△28角▲85飛△83歩▲同歩成△同銀▲84歩△94銀▲65飛。

▲16歩を咎めるなら、△88角成▲同銀△33銀から△28角と打ち込む順は考えられる。

▲96歩の場合は▲85飛△83歩▲同歩成△同銀▲84歩で先手良しだったが、今度は△94銀と上がることができる。

▲87飛には△85歩から△84飛とできる。▲96歩と突いてあれば▲95歩とできるので成立しない筋だ。

よって先手は▲65飛と回る。

▲63飛成を受けたいが、△52金は▲96歩△84飛▲95歩△83銀に▲85歩から▲82角。△72金は▲96歩△84飛▲95歩△83銀▲66角から▲82歩でいずれも攻めが続く。

▲65飛に△19角成▲63飛成△62香と竜を甘受する手もあるが、竜ができるのは大きな戦果だ。

▲16歩の場合△94銀がきくが、▲65飛で切り返せる。

▲96歩と▲16歩は思想が異なる。▲96歩がメジャーではあるが、▲16歩も有力な手だ。

まとめ

今回は先手の青野流に対して、△41玉ー△22歩ー△72銀とする順を検討した。

▲96歩△82飛▲84歩に①△88角成 ②△23金 ③△54歩の分岐になる。

①△88角成▲同銀△28角には▲23歩で先手指せる。▲32飛成△同玉▲29金の展開も先手持ちだ。

②△23金には▲33飛成△同桂▲66角が本命ではあるが、飛車を渡したくない場合は▲35飛△84飛▲97桂も考えられる。

③△54歩には▲77桂でじっくり指すよりも▲33角成△同桂or△同銀▲54飛と動きたい。

いずれも先手が十分戦える。

①と③は先手がひたすら攻める展開になるが、②は力戦模様になる。

いずれの展開も先手に攻めを繋げる技術が求められる。

第1図から▲96歩に代えて▲16歩も有力で、どちらを選ぶかは好みだろう。

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