後手四間飛車に対して穴熊を組もうとしたら藤井システムにやられてしまった、というケースは多い。藤井システムを嫌う場合、居飛車は急戦策が考えられる。

▲57銀左の急戦は昔から指されているが、玉が薄いのが弱点だった。

ソフトの影響で出てきた▲68金上急戦は左銀を守りにしているので固さがある。

また、後手が徹底的に警戒してきた場合には▲77角から穴熊を目指す含みがある。このとき先手は金の動きで手損になるが、藤井システムのときよりも安全に穴熊を組めることがある。

第1図

▲57銀に対して後手は△64歩か△43銀として藤井システムを目指すか、△71玉から美濃囲いに組んで持久戦にするかに分岐する。

藤井システムといえば居玉のイメージだが、先手が端を受けた場合は△62玉型でも良い。

▲97歩ー△95歩型と違って、一手早く△95歩と端に仕掛けることができる。後手は端に手をかけなくても済んでいる。

先手が端を受けなかった場合、後手は持久戦を目指して端の位を主張するのが一つ。

最近の穴熊は固さだけでなく、広さも重要だ。

もう一つは藤井システムを目指す指し方。▲97歩ー△95歩型では△85桂から△97桂成という攻め筋が生まれる。

△95歩までつく必要があるとき後手は、端に2手かけるので居玉にして攻めの形を急ぎたい。▲36歩を見て△62玉と上がる感じだ。

つまり、△62玉と上がる前に△94歩と打診する将棋が多い。先手が端歩を受けるか受けないかで方針を決める作戦だ。

第1図で△64歩や△43銀はやや形を決めている意味がある。今回は単に△71玉を見てみたい。△71玉を見たら▲77角から穴熊を目指しやすくなるが今回先手は急戦を目指す。

第2図

第2図で後手がどの形にするか、いろいろある。まず自然な△43銀。

△43銀を見ると先手は▲46銀と上がりやすくなる。△45歩の反発にも▲33角成△同桂▲57銀△22飛▲37桂としておいて、45の位を目標にできる。

△54歩と待つ手には▲35歩と仕掛ける。

△32飛に▲34歩△同銀▲38飛が正しい手順で、▲38飛とすると△45歩▲33角成△同飛▲34歩に△同飛▲35銀△32飛と変化される。

△45歩で△22角と引くのは▲33歩△同飛▲44角で先手指せる。

最終手▲37銀が好手だ。代えて▲57銀が自然だが、△43銀と飛車交換を迫られる。

飛車交換になると振り飛車の美濃囲いの固さが生きる。

▲37銀は先手の飛車を影にしている。同じように△43銀なら▲24歩△同歩▲22歩で駒得が見込める。後手からの反撃は怖いが、先手が十分やれそうだ。

△32飛と事前に守る手もあるが、同じように▲35歩は有力だ。

△32飛と早く回った効果で、△同歩▲同銀△45歩と反撃ができる。

しかし最終図▲66角とした局面は後手の金が上ずっていて薄い。▲66角の瞬間は怖いが▲23歩成が間に合えば先手の攻めが早い。

△43銀と上がると▲46銀から▲35歩の攻めがあり得る。後手が警戒する場合は△32銀型で待つ手が考えられる。

これなら▲35歩に△45歩の反発がきく。後手の飛車先が通っていて、▲33角成に△同銀で2筋を守れる。

最終図△46同飛と捌いた局面は後手ペースだ。△32銀型は▲46銀ー▲35歩の攻めには対応しているが、一方で▲38飛の攻め筋ができている。

▲38飛に△43銀と角頭を守る手には▲35歩△同歩▲46銀と勢いづけて攻める。

単に▲46銀では△45歩は▲33角成△同桂▲57銀△44角▲77角△25桂となって、失敗気味だ。

▲38飛にあくまでも△54歩と△43銀を保留する指し方もある。

同じように▲35歩△同歩▲46銀とすると、△45歩▲33角成△同桂▲35銀に△27角が痛い。

しかし後手の△43銀が間に合っていないので、先手は▲34歩と押し込むことができた。

▲95歩では▲15歩と逆の端を攻める手もある。ただ手抜かれて△32飛▲14歩△34銀となったとき、どのくらい端の取り込みが大きいのか不明だ。最終図は端攻めと▲23歩のキズがあり、攻めが続く。

△32銀型だと▲46銀ー▲35歩の攻めを警戒できるが、▲38飛からの攻め筋が生まれる。一長一短ある。

第3図

▲37桂を見て△43銀と上がれば、今度▲35歩と仕掛けると△同歩▲同銀△36歩と打てる。一見先手がまずそうだが、以下▲34歩△22角▲27飛で、この順も有力なのが将棋の難しいところ。

序盤早々に桂損するのが気になる場合は▲26飛から▲35歩とするのが良いだろう。

先手は▲46銀ー▲37桂ー▲26飛の形を目指したいが、▲46銀ー▲35歩と仕掛けないならば、▲37桂ー▲26飛として、▲46銀を最後にした方が別の攻め筋の含みがある。

具体的には▲46歩から▲45歩や▲35歩△同歩▲45桂の富沢キックと呼ばれる攻め筋だ。

ちょっとした形の違いで、全然違う攻め方になる。この戦型は研究よりも経験が生きそうだ。

第3図から後手は①△45歩と反発する。②△32飛と受けに回る。後手の大きな分岐点だ。

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