第1図

先手が▲37桂と跳ねた図だ。先手は次に▲45歩の仕掛けを狙っている。△22飛と回れば2筋を守っているので、▲45歩には△同歩と応じて先手無理筋になる。しかしせっかく三間飛車にしたのに△22飛と回らされるのは悔しい。できれば回りたくないところだ。

第2図

第2図は、昔からある急戦の形だ。▲56歩と突いてから▲46歩ー▲37桂の格好を目指していた。

第1図は最新型の▲45歩急戦だ。ポイントは▲56歩を保留していることにある。△55角のキズはあるが一手省いて▲45歩の仕掛けを見せるのが特徴だ。また△22飛と受けられたとき、▲47銀ー▲56銀とする含みがある。

今回は第1図で、後手が△22飛と回る必要があるかどうかについて調べていきたい。

手順 △72銀▲45歩△同歩▲24歩△同歩▲33角成△同銀▲45桂△22銀▲66角△42飛▲24飛△23歩▲34飛。

▲45歩△同歩▲24歩と仕掛けていく。△同歩に▲33角成が大切で、代えて▲45桂とすると△88角成▲同銀△33桂▲同桂成△同銀で後手の桂馬が捌ける。もう一回▲45桂と打つのはダサい。△72銀が△54歩に代わっていれば、△33桂に▲24飛△45桂▲21飛成とできる。

▲45桂△22銀に▲66角が好ポジションだ。次に▲23歩を狙っている。

△42飛に▲23歩は△同銀▲33桂成(▲11角成は△45飛)△同桂▲同角成に△22角や△44角で後手良くなる。△42飛には▲24飛△23歩▲34飛と暴れるのが良い。

最終図以下、△33歩には▲44飛がある。△同飛は▲同角。△43金は▲53桂成で先手良し。

△43金▲35飛△44歩には▲95歩が急所だ。▲66角と打った効果が出ている。△95同歩には▲92歩△同香▲93歩△同香▲53桂成△同金▲93角成の強襲が成立し、先手優勢だ。

この戦型における▲95歩はいつでも出てくる筋で、「攻めは▲95歩」と覚えておいて問題ない。

手順 △42飛▲33桂成△同桂▲24飛△15角▲43歩△同飛▲34飛△48飛成▲同金△同角成▲33飛成。

銀桂交換を受け入れ、捌き重視で△42飛と回る手も考えられる。

▲33桂成△同桂に▲77角△25桂▲47歩とじっくり指すのも有力だ。▲77角△25桂▲11角成と踏み込む順もある。この2つの変化も先手指せるが、△25桂で先手の飛車が止まるのが気になる。▲24飛はさわやかな指し方だ。

△15角に▲43歩は大切な一手。単に▲34飛とすると△48角成▲43歩に△同金と取られる。最終図は先手の飛車金交換で駒得だ。後手陣の方が固いが、この場合も後手の急所は「▲95歩」だ。この変化も先手指せる。

手順 △33同飛▲24飛△23歩▲29飛△35歩▲22角△36歩▲45桂△32飛▲55角成△37歩成▲23飛成△48と▲32竜△58と▲同金。

▲33角成に△同飛と取るのは面白い一手だ。対して▲24飛△23歩▲29飛と引いておく。

△35歩に▲22角がのちの▲55角成を見据えた好手だ。△37歩成に▲23飛成と踏み込む。最終図は先手の大駒が大きい。

手順 △14角▲21竜△48と▲61竜△同銀▲74桂△93玉▲95歩△同歩▲92歩。

△14角と打つ方が勝りそうだが、先手勝ちになる。▲61竜では先に▲74桂は△71玉と引かれる可能性がある。慎重な手順だ。

▲74桂に△92玉は▲82金△93玉▲81金が詰めろになる。△93玉にも▲95歩△同歩▲92歩で寄りになる。△92同香は▲94歩△同玉▲95香△同玉▲77馬以下詰みだ。△74歩も▲91歩成が詰めろになり、寄せ切れる。先手玉は△39飛成とされても詰めろにならないので、先手一手勝ちだ。

手順 △43銀▲45歩△22飛▲44歩△同銀▲24歩△同歩▲25歩△同歩▲同飛△24歩▲85飛。

後手の囲いを△72銀ー△71玉で済ませ、△43銀と上がる工夫も考えられる。もちろん△71銀ー△82玉の格好での△43銀もあるが、これからの変化と同じ手順で、大きな差はない。

▲45歩の仕掛けを見て△22飛と回る。▲44歩に△同銀と取ると、▲24歩△同歩▲25歩の継ぎ歩の攻めがある。以下△25同歩には▲同飛△24歩▲85飛と大きく転換して先手優勢だ。次の▲45歩か▲45桂が受からない。

手順 △43歩▲24歩△同角▲16歩△14歩▲45歩△33銀▲35歩。

まだしも△25同歩では△43歩だが、▲24歩△同角の格好が後手危ない。▲16歩で△15角を消し、▲45歩△33銀▲35歩と突く。▲25桂のとき△46角を消す意味だ。次に▲34歩があるので△同歩としたいが、今度は▲25桂がある。先手良しだ。

手順 △44同角▲47銀△88角成▲同銀△54銀▲77角△33角。

△44同角が勝る。以下は駒組になる。

最終図からの駒組は棋風が現れる。▲44歩と垂らして強く戦う手もあるし、じっと▲46歩とキズを消し長い戦いに持ち込むのもある。▲56歩と△54銀にプレシャーをかけておく手も有力だ。

先手の手得で先手持ちたい人が多いが、これは一局に近い。

まとめ

△22飛と回らなくても後手がちょい悪いか、作戦負けかくらいになりそうだ。振り飛車は玉の固さがアドバンテージで、居飛車がちょっと良くなっても終盤で振り飛車が逆転勝ちするケースが多い。居飛車が良さを維持できるかはまた別問題だ。

悔しくても△22飛と▲45歩の仕掛けを警戒するのは無難で、これに対して居飛車は急戦を目指すのか、あるいは△22飛と回らせたことに満足して持久戦を目指すのか、大きな分岐点になる。

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