第1図
今回は▲56銀型の▲45歩急戦を調べていきたい。▲56銀型にしたら▲48飛と回るのが一般的だが、2筋のまま▲45歩の仕掛けるのは今までにないアイディアだ。
まずは第1図に至るまでのポイントを見ていきたい。
手順中、▲37桂と跳ねた手に対して△22飛と受けずに△72銀とした変化はこちらから。こちらの記事から読んでいただくとこの記事の理解がより深まります。
△72銀と上がると▲45歩と仕掛けられるので、△22飛はその仕掛けを警戒している。
▲29飛は後手の形を見て、急戦か持久戦かを選ぶ意図だ。△53銀なら▲45歩。△64歩なら▲86歩から駒組する。これが先手の基本姿勢だ。
▲29飛とせずにすぐ▲86歩ー▲87玉ー▲78銀と囲うとどうなるか。
手順 ▲86歩△53銀▲87玉△64銀▲78銀△43金▲66歩△55歩▲67銀引△54金。
▲86歩ー▲87玉の囲いは、天守閣美濃と呼ばれる。▲86歩を見て、△53銀ー△64銀と繰り出す。先手の持久戦に後手のこの格好は相性が良い。
▲66歩で銀を追いたいが、一足早く△55歩で銀を追われる。最終図△54金と上がられた図は、先手から手出しをしづらい状態だ。
先手は△64歩を見て、▲86歩から持久戦を目指したい。
手順 ▲29飛△64歩▲86歩△53銀▲87玉△63金▲78銀△74歩▲98玉△84歩▲87銀△83銀▲78金△72金▲68金右△73桂▲45歩。
すぐ持久戦を目指すと△53銀ー△64銀が良い格好になる。そこで一回▲29飛として、△64歩を見てから▲86歩と持久戦を目指す。
以下お互い駒組し合った局面は先手作戦勝ちだ。△64銀型ではないので、▲56銀が追われていないのが大きい。
最終図▲45歩と仕掛けて先手ペース。
手順 △53銀▲45歩△同歩▲同桂。
△53銀と上がる手は、△64銀と上がる余地を残している。この手に対してが持久戦を目指すのは相性が悪い。しかし今度▲45同桂が△53銀に当たるので、▲45歩と仕掛けていく。
手順 △88角成▲同玉△44銀▲31角△32飛▲75角成。
▲45同桂で両取りが掛かったが、△88角成が王手になり▲同玉△44銀で逃げられる。
▲88同玉は右辺から遠ざかった意味がある。
△44銀に▲31角△32飛▲75角成とした局面は、次に▲24歩を見ている。後手はこの瞬間に反撃したい。
手順 △42角▲66馬△43歩▲65銀。
△42角は▲24歩を防ぎつつ、馬取りにした手だ。▲同馬は△同飛で後手好調だ。▲24歩△同歩▲42馬はあるが、△同飛▲24飛に△33桂でも△22歩でも後手ペース。王手飛車のラインが気になる。
△42角に▲65馬は△43金で先手の駒が重い。
▲66馬に△43金も考えられるが、▲47金△35歩▲同歩△同飛▲36歩△34飛▲78金くらいで馬が大きく、先手持ちか。
△43歩には▲65銀で攻め続ける。以下△45銀は▲24歩△同歩▲11馬。△35歩には▲24歩△同歩▲54銀の要領。先手十分指せる。
手順 △55歩▲65馬△42飛▲55銀△同銀▲同馬△64銀▲43歩△同飛▲44歩△41飛▲77馬。
△55歩も有力だ。▲65馬△42飛▲55銀に△45銀は▲21馬で取り返せる。
▲55同馬に△64銀で馬に当てる。▲56馬は△74角。▲54馬は△43金で後手良しになる。よって先手は▲43歩から連打で止め、▲77馬と引いておく。
最終図以下△46歩や△55歩、△55角のいずれも有力で、まだまだ難しい将棋が続く。
手順 ▲95歩△同歩▲45桂△88角成▲同銀△44銀▲31角△32飛▲75角成△55歩▲24歩△56歩▲23歩成△28歩▲同飛△46角▲27飛。
▲45同桂△88角成▲同玉の変化も先手有力だったが、▲45同桂の前に▲95歩を入れ、△88角成に▲同銀と取る変化も有力だ。今度は先手玉が9筋から遠いので、気楽に捨てられる。
▲75角成まではさっきと同じ。▲75角成に△42角は▲24歩△同歩▲42馬△同飛▲24飛で先手良し。9筋を入れた効果で、▲21飛成のあとに▲93歩と垂らすだけで一気に寄せの形が見えてくる。
▲75角成に△55歩は今度▲24歩とできる。△28歩▲同飛のとき△55角の王手飛車がないからだ。
最終図は先手指せる。
手順 △42飛▲24歩△同歩▲35歩△同歩▲44歩△同角▲同角△同銀▲24飛。
最後に△45同歩と取らずに△42飛とした変化を見ていきたい。
▲24歩△同歩▲35歩がリズムの良い攻め。△35同歩に▲44歩で早くも先手良しだ。
▲44同角に△同飛も▲45桂△64銀▲22角で先手良し。後手は△24同角が勝る。
手順 △24同角▲44歩△同銀▲45歩△33銀▲16歩△43歩▲86歩△64歩▲87玉△63金▲78銀△74歩▲49飛。
△33銀と引かせることはできだが、この後の攻め方が難しい。先手の方針は、駒組をして後手の形の悪さを主張していくイメージだ。
▲16歩は将来の△15角を消した手。
△43歩は次の▲25桂△22銀▲44歩を消している。お互いじっくりした戦いだ。
先手の駒組は一例。最終図まで進むと先手ペースだ。次に▲25桂△22銀▲44歩△同歩▲同飛がある。後手としては△64歩ー△63金のせずに、△22銀ー△32飛や△22銀ー△33角のように早い動きを目指したい。
まとめ
今回は後手三間に対して▲56銀型▲45歩急戦について調べた。▲56銀に組めたのは、▲56歩を保留して早めに▲37桂と跳ねたからだ。
先手は急戦と持久戦のどちらの可能性もある。
△64歩と突いたら持久戦、△53銀を見たら急戦、が先手の基本姿勢。△64歩からお互い駒組し合うと先手作戦勝ちになる。
△53銀は持久戦になったとき△64銀と出る余地を残した手だが、▲45歩の仕掛けが成立する。
まだまだ未開の変化が多いが、先手有力の変化だ。