前回は△43銀型の将棋を検討した。

△43銀型で△35歩とする将棋はこちら。△54銀ー△65銀とする将棋はこちらから。先にこれらの記事を読んでいただくとより理解が深まります。

テーマ図

前回は△43銀型で△35歩から石田流を目指す順を調べたが、後手は思うほど成果が上がらなかった。

そこで△43銀を上がらないで、△42銀型で待機するのが後手の工夫だ。

穴熊には△43銀から△35歩、左美濃には△54歩から△53銀と使い分ける作戦だ。

手順 △43銀▲99玉△35歩▲88銀△51角▲46歩△34飛▲47銀△33桂。

△43銀と上がってないので、▲56歩を保留しやすい。トマホークの可能性が早々に消えているからだ。

そこで▲56歩を保留して穴熊を組むことができるが、△34飛ー△33桂と石田流に組んで後手不満ない。以下は△54銀ー△74歩ー△73角が良い格好だ。

穴熊に組んだことよりも、後手が石田流に組んだことの方が大きい。

手順 ▲56歩△34飛▲55歩△36歩▲同歩△同飛▲66角。

▲46歩ー▲47銀の格好は先手不満だが、▲56歩ー▲55歩と△54銀を防ぐ順は有力だ。

▲55歩だけついておいて、▲68金寄ー▲79金とひたすら固める作戦だ。

これは△51角を咎めた意味がある。△42角型なら▲55歩のあと、機を見て△54歩とつく味がある。

一方で△42角と引いた場合は、▲46歩ー▲47銀を目指しやすくなっている。△74歩ー△73角の転回に時間がかかるからだ。△54歩ー△64角とする順はあるが、△54歩と突くと△54銀と上がれなくなる。

▲55歩と突いたので、△36歩▲同歩△同飛で△76飛から動く順はあるが、▲66角と受けておいてどうか。

先手は△42角なら▲46歩ー▲47銀△51角なら▲56歩ー▲55歩と使い分けるのも有力だ。

手順 ▲56歩△82玉。

▲98香とするのは、穴熊宣言をする手だった。先手はもう一手▲56歩として、穴熊か左美濃か、態度を保留する手も考えられる。

これには後手も△82玉で様子を見る。

△82玉で先手はついに態度を決めなければならない。▲57銀は中間の手だが、▲48銀型左美濃には組めなくなる。▲48銀型左美濃に組むことで、△35歩に▲46歩ー▲45歩や▲46歩ー▲47銀を用意している。

▲98香には△43銀、▲78銀には△54歩ー△53銀を、後手は選ぶことができる。この後出しジャンケンが、△42銀型で待機するメリットだ。

手順 ▲78銀△54歩▲86歩△74歩▲87銀△84歩▲78金△73桂▲98香△53銀▲99玉△64銀▲68金右△83銀▲88金△62金寄▲78金右△52飛。

▲78銀と左美濃を見て、△54歩ー△53銀と構える。

△83銀に代えて△62金寄とする手もあるが、▲26飛から▲36飛を狙われる手が気になる。△52金で待機していれば△43金と上がれる。

△83銀▲88金△62金寄に▲26飛は△65桂▲66角△52飛で次に△55歩と攻める。▲88角と引けないからこそ成立する筋だ。

最終図まで進んで、後手は次に△55歩▲同歩△同銀という明快な狙いがある。後手は工夫して駒組したが、これはこれで一局の将棋だ。後手三間飛車は先手に先攻される展開が多かったが、この展開は後手が先攻できるのが大きな点だ。

手順 ▲98香△43銀▲99玉△35歩▲88銀△51角▲57金△34飛▲46金△33桂▲68角。

▲98香には△43銀から△35歩と石田流を目指す。しかし普通に指すと▲57金で△35歩を狙われる。▲57銀よりも3筋が固い。最終図まで進むと、後手が困っている。

まだしも▲57金に△36歩▲同歩△同飛だが、▲46金△31飛▲35歩で3筋の位を奪還できる。

手順 △54銀▲66歩△35歩▲88銀△51角。

一回△54銀と上がるのが勝る。次に△65銀があるので▲66歩と止めるが、そこで△35歩から石田流を目指す。これなら石田流に組める。

最終図以下、▲57金△34飛▲46金なら今度は△45歩と追うことができる。

まとめ

△43銀型石田流には、▲48銀型で待機し左美濃に組む順が有力だった。▲48銀で待機することで、△35歩に▲46歩△51角▲45歩の仕掛けや、▲46歩△51角▲47銀△34飛▲38飛の仕掛けを狙っている。

先手のこの対策を嫌って登場したのが、△42銀型の石田流だ。

▲98香には△43銀、▲78銀には△54歩から△53銀を目指す姿勢。

いずれも一局だが、先手の手を見て後手の指し方を変えることで、後手の作戦の幅が広がっている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA