テーマ図は見覚えのある方が多いだろう。後手の手待ち作戦に対して先手が▲45桂から仕掛けた局面だ。

私は角換わり腰掛け銀で一番重要な変化だとにらんでおり、この仕掛けが成立するかどうかを研究していきたい。
▲45桂に対しては△44銀と△22銀が考えられるが、今回は△44銀の変化を解説する。

▲45桂に△44銀は先手有利

結論から先に言うと▲45桂に△44銀と逃げると後手に思わしい変化は無い。「そんなこと知ってるよ!!!」と思われた方もいるかも知れない。
私もその中の一人だったのだが、いざ研究してみると知らないと指せない手がいくつもあり、とても面白かった。その中身を紹介しよう。


今回は▲45桂に△44銀という、先手が有利の変化を解説していくので、先手の手は最善手のみ解説していく。次善手以降の手は番外編で詳しく解説している。合わせて読めばより理解度が上がるのでおすすめだ。

△44銀に対しては▲24歩△同歩▲同飛と飛車先を交換する。

ここで後手は

①△23歩 と手堅く受ける手。

②△13角 と積極的に受ける手が考えられる。

①には▲29飛と逃げる一手。

そこで③△65歩 と攻める手。

④△63銀 と守る手が考えられる。

③の△65歩は損な一手。以下▲65同歩△75歩▲22歩△同金と進むのだが、その局面は後手の手番でよくある局面なのだ。

後手が今回のテーマ図で仕掛けられるのを嫌って△72金→△62金などであえて一手損する指し方は多くの方が知っていると思う。その将棋のテーマ図はこちら。

今回のテーマ図との違いは先手の王様が79ではなく88であること。
この局面から▲45桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛△65歩▲同歩△75歩▲22歩△同金と、先ほどまでの手順と同じように進行する将棋が多いのだが、その局面で▲79玉という手が多く指されている。

▲79玉の意味は後手の攻めから当たりを和らげることだ。ここで、後手の手番なのだが、今回のテーマ図ではすでに玉が79にいるため、先手の手番になっている。そのため、▲64歩などの有効な手をもう一手指せちゃうのだ。
そう考えると後手が大損の変化だ。

 ④△63銀が最善手。

この局面では、▲88玉も有力だが、▲25角から攻める手がおすすめだ。

▲25角に対して、

①△31玉▲34角△22玉 と22玉32金型で受ける手。

②△22金▲34角△32玉 と22金32玉型で受ける手がある。

①は一見普通の対応に見えるが、②に比べると少し危険である。

この局面では、

①▲24歩△同歩▲23歩

②▲15歩△同歩▲23角成△同金▲24歩△13金▲15香

③▲15歩△同歩▲14歩 

④▲88玉 の四つが有力だ。

①~④はどれも有力で先手が有利となるのだが、最も有力で勝ちやすい
①の▲24歩△同歩▲23歩を解説していく。

この▲23歩が王手で入るため、22玉32金型を咎めている。
この手に対して、

①△13玉 とかわす手
②△23同金▲43角成△41飛 と切り返す手が考えられる。

①△13玉は無理な受け方で、先手の攻めが決まる。
▲15歩△同歩▲53桂成△同金▲14歩△同玉▲22歩成がうまい攻め方だ。

最後の▲22歩成は、△同金の時に▲15香△同玉▲19飛△26玉▲11飛成が詰めろ金取りになるのが狙いだ。最後△13金としても▲38金と寄っておけば後手玉は寄り形。また、▲22歩成に対して角取りに△33金とかわされても▲45銀と銀取りを見せつつ繋げておけば後手玉は寄っている。

▲23歩に対しては、②△23同金▲43角成△41飛の方が良いだろう。
以下、▲44馬△同飛と進んだ局面でどう攻めるか。

この局面では

①▲35銀 と直接攻める手
②▲82銀 と間接的に攻める手が考えられる。

①▲35銀は、先手有利ながら難しいところがある。
②▲82銀は、はっきり先手が有利になる変化で、こちらを解説していく。

②▲82銀に、△92香と逃げると▲73銀成△同金▲35桂が激痛だ。

金を取ることができればかなり弱体化するし、
△34金と逃げると▲23歩△32玉▲53桂成で先手勝勢だ。
②の▲82銀には、△52銀と最後の▲53桂成を受ける手が最善だろう。△52銀には先手は▲91銀不成と香車を回収する。

先手は次に▲27香から玉頭を狙う手や、▲82銀不成からタイミングよく▲73銀成△同金▲35桂と攻める手など楽しみが多い。
後手は91の銀を使われては酷いので△72金と寄るぐらいだが、▲75歩から桂頭攻めて先手調子良い。▲75歩に代えて▲27香は、次に▲55銀を見せて良さそうだが、△54飛が好手。▲75歩にも△65歩で対応が可能だ。

▲75歩に△65歩と味良く守りたいのだが、▲55銀があるので無効だ。
後手はここで△47歩と鋭い一手を放つが、のちの▲55銀を残して▲38金とかわすのが良い。▲38金と冷静にかわされると後手は△83金と守るぐらいだが、▲74歩△同金▲82銀不成と先手の銀の活用の目処が立った。

後手は黙っていると▲73銀成△同金▲35桂から攻め潰される。しかし、
△34歩と▲35桂を受けると▲27香が厳しいし、△54歩と▲55銀の筋を消すのは▲73銀成△同金▲35桂

△34金▲23歩△32玉に▲53桂成が激痛。

△53同銀に▲45香で先手勝勢だ。
▲82銀不成に適当な受けがないとなると後手は攻めるしかない。
△86歩▲同歩△76歩▲同銀△65桂が良い迫力にみえる。

▲65同歩と取ってくれれば△66角で攻め合いが期待できる。しかし、冷静に▲68金と受けるのが好手。△57桂成と△77歩を同じに受けられては後手の攻めは切れている。一方の先手は、桂馬を取って▲35桂と打てば勝つだろう。

この局面で①△31玉▲34角△22玉は危険ということは感じられたと思う。


最善の受けは②△22金▲34角△32玉だ。

続きの【2】はこちら

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