テーマ図

今回は嬉野流(うれしのりゅう)に対して、後手の対策を見ていきたい。嬉野流は初手▲68銀から始まる。升田幸三賞を受賞した作戦だ。後手が振り飛車にするのも考えられるが、今回は相居飛車がメインだ。

①8筋の歩交換してから△83銀

手順 △86歩▲同歩△同飛▲87歩△82飛▲25歩△32金▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛△83銀▲79角△74銀。

後手が8筋の歩交換をし、棒銀を目指す順はどうか。▲25歩に△33角と受けることもできるが、▲36歩△32金▲46銀と角を目標にされるので一長一短ある。

先手も一歩交換し、後手は△83銀から△74銀と出てきた。次は△85銀だ。先手はどう受けるか。

手順 ▲46銀△85銀▲57角△86歩▲同歩△同銀▲83歩△同飛▲84歩△82飛▲25飛。

▲46銀△85銀▲57角と8筋に角を利かしておくのが一案だ。▲57角に△86歩は無理筋で、▲同歩△同銀に▲83歩と叩いて先手優勢。最終図▲25飛で、次の▲85飛が受からない。

△86歩に代えて△76銀もあるが、▲同歩△99角成▲77桂で銀香交換をどう見るか。

▲46銀に後手の本線は、△65銀▲55歩△44歩▲48銀△42銀と駒組する順だろう。

手順 ▲66銀△85銀▲57角△86歩▲同歩△同銀▲65銀。

▲46銀に△85銀は▲57角で8筋をケアできるが、△65銀が気になる。そこで▲66銀とする手もある。△85銀に▲57角とする。▲46銀と違って8筋に利いてないが、△86歩▲同歩△同銀に▲65銀と角道を通せば対応できる。

最終図以下、△87銀成は▲83歩△同飛▲84歩がある。

手順 ▲75銀△42銀▲48銀△41玉▲36歩△54歩。

▲57角に代えて▲75銀としても8筋を受けることができる。△86歩▲同歩△同銀は▲83歩△同飛▲84歩だし、△74歩にも▲46角のラインがある。よって後手はすぐ動くことが難しく、駒組になる。

最終図以下、後手は△33銀ー△31角と矢倉を目指して▲75銀を目標にする指し方が有力だ。後手不満ない。

②8筋の歩交換しないで△83銀

手順 △83銀▲66銀△94銀。

8筋の歩交換をしてから△83銀も有力だったが、歩交換に一手掛かる。その一手を惜しんで、すぐ△83銀と棒銀をする手も有力だ。

△83銀▲66銀に△84銀は▲96歩で、これ以上銀が前に出ることができない。8筋歩交換をしなかったデメリットだ。しかし△94銀とこちらに出る手がある。これが工夫の一着だ。

手順 ▲96歩△86歩▲同歩△同飛▲95歩△同銀▲同香△94歩。

△84銀だと▲96歩で前に進めなかったが、△94銀に▲96歩ならそこで△86歩と歩交換ができる。△86同飛に▲87歩△82飛の進行は、▲96歩が緩手になっている。

△86同飛に▲95歩と反撃したい。対して△85銀は▲87歩があるし、△83銀が形が悪い。△95同銀と取るのが良い。▲同香で銀損になるが、△94歩で取り返せる。

最終図から△95歩から△96歩が間に合うと先手がいけないので、ここ数手で何かアクションを起こせるかが勝負になる。

手順 ▲79角△95銀▲65銀△86歩▲同歩△同銀▲88歩△87歩▲76銀△88歩成▲同金△87歩▲78金△72金▲25歩△52玉▲24歩△同歩▲同飛△74歩。

▲79角と引く手も考えられる。△95銀に▲75銀もあるが、△86歩▲同歩△同銀で銀交換になるので先手不満だ。

▲65銀は嬉野流でよく出てくる手だ。将来▲76銀と引いて8筋をケアする狙いがある。△86歩▲同歩△同銀▲88歩△87歩▲76銀で8筋を守ることはできるが、△88歩成▲同金△87歩で拠点ができる。

以下後手は▲76銀を追うべく△74歩ー△75歩を目指すと良い。△72金はその準備だ。▲46角に△73桂を用意している。

最終図以下、▲23飛成は△75歩▲65銀△88歩成▲同金△87銀成で後手優勢。▲22飛成△同銀▲55角も△73桂▲22角成△28歩で後手指せる。

まとめ

今回は嬉野流に対して、後手の対策を見てみた。8筋を交換してから棒銀か、すぐ棒銀かに分岐する。8筋交換した後に△86歩▲同歩△同銀ともう一回歩を合わせるので、単に△83銀とできるなら一手得できる。

△94銀は工夫した一着で後手有力な変化だが、序盤早々、奇をてらうのは好ましくない。△86歩▲同歩△同飛▲87歩△82飛と一歩交換してから△83銀をおすすめしたい。

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