今回は先手矢倉に、後手が△63銀型を目指す将棋を検討したい。

△63銀と上がる将棋は、現在主流となっている後手の対策だ。

目次

第1図 テーマ図

手順 ▲24歩△同歩▲同飛△85歩▲34飛△44角。

図から▲48銀△73桂▲79角△85歩▲68角(次の△65桂を防ぐ意味)とする変化は、こちらの記事で検討した。

▲79角と引かず、▲88角のまま▲36歩ー▲37銀と繰り出す変化はこちらの記事で検討した。

先手が▲56歩と突かないのは、△54歩ー△52飛のように5筋が争点になるからだ。

△85歩を保留しているのは▲56歩を牽制するためで、△52飛と回る展開になったとき、△85歩の一手は不要になる上に、△85桂と跳ねる余地がなくなる。

▲56歩と突く将棋はこちらの記事で検討した。

今回は▲24歩△同歩▲同飛と歩交換する将棋だ。

先手が歩交換すると、後手が△54歩ー△52飛と回る展開ではなくなるので、△85歩と伸ばす。

△85歩に▲16歩と突く将棋は、こちらの記事で検討した。

▲16歩△14歩が入れば、将来▲17桂と跳ねることができるので先手が得する。第4図の変化と比較すると分かりやすい。

▲16歩△63銀▲28飛△23歩▲15歩が予想され、1筋の位をめぐる攻防になる。

今回はすぐ▲34飛と取る。

対して△44角と上がるのが後手の作戦だ。

後手の狙いを見ていきたい。

第2図 2筋を逆襲する狙い

手順 ▲24飛△22銀▲28飛△33桂▲58金△73桂▲46歩△54歩▲48銀△52玉▲69玉△26歩▲47銀△23銀▲36歩△62金▲37桂△81飛▲79玉△34銀▲29飛△21飛▲28歩△63銀。

後手の狙いを見ていきたい。

先手の飛車が不安定なので、▲24飛ー▲28飛と2筋に戻りたい。

飛車が2筋に戻る間に△22銀ー△33桂と指せるので、先手一歩得VS後手手得という構図になる。横歩取りと似ている。

以下、先手の駒組みはいくつか考えられるが、後手は△81飛ー△21飛と2筋をが逆襲するのが狙いだ。

△72銀型なら△62金、△62銀型なら△72金と上がりたい。△62銀型でも△63銀ー△62金とすれば△62金型に組めるが、△21飛と回るのが一手遅れる。

先手の駒組みを見て△63銀と上がる猶予があるかどうかを判断したい。

後手は△63銀ー△52金ー△62玉と右玉にする変化もある。2筋からは遠いが、△65桂と跳ねる展開はやりづらくなっているので一長一短ある。

最終図まで進めば後手十分。

現状、▲24飛ー▲28飛と戻る展開は先手がつまらないと見られている。

第3図 ▲24飛と寄らずに▲46歩

手順 ▲46歩△73桂▲24飛△22銀▲45歩△33角▲28飛。

▲24飛と戻る前に▲46歩と突く工夫がある。

対して△73桂には▲24飛△22銀としてから▲45歩と追うことができる。

第2図では△33桂が間に合っていたので▲45歩と追えなかった。

最終図は先手の主張が通った。

最終図以下、△86歩に▲同歩は△85歩▲同歩△同飛▲87歩△45飛▲48銀△44角と動くことができる。

だから△86歩に▲同銀が勝る。

△88角成▲同金△65桂(▲66歩なら△85歩の狙い。△57桂成は▲24角がある)には▲77桂が好手だ。今度△85歩は▲65桂と取れる。

+αの検討

▲46歩△73桂▲24飛に△86歩と突く工夫がある。

▲同歩なら△22銀▲45歩△33角▲28飛△85歩となって、△86歩▲同歩に限定できている。

しかしこれにも▲86同銀が有力だ。

以下△88角成▲同金△33角▲28飛△65桂に▲77桂と跳ねる。

△85歩は▲65桂と跳べる。△57桂成には▲58歩と受けておいて、△86飛▲57歩△76飛▲21飛成と成り込んで先手良し。

▲24飛に△86歩と突く工夫は、▲同銀として先手対応できる。

第4図 ▲46歩に△33金の変化

手順 △33金▲36飛△54歩▲45歩△53角▲68銀△42玉▲38銀△63銀▲16歩△22歩。

▲46歩に△33金は、直接咎めようとする手だ。

先手は▲45歩と角を追って、▲68銀と引く。後手の角を追って、先手の角が使えたのは先手の大きなポイントだ。

▲38銀に△28歩は▲44歩△29歩成(△44同歩も▲26飛)▲26飛△32玉▲22歩で先手良し。

▲16歩は次に▲17桂を狙った手だ。後手は△22歩と角のラインを未然に受けつつ、将来△24金ー△35金と飛車を狙う。

最終図はこれからの将棋だ。

第5図 △33桂の変化

手順 △33桂▲48金△54歩▲45歩△53角▲54飛△62玉。

△33桂と跳ねる手も有力だ。

△33金と上がる将棋よりもこっちの変化を好む人が多い印象だ。

△33桂に▲24飛△22銀▲28飛なら第2図の変化に合流する。

▲48金は工夫の駒組みだ。次に▲45歩△同桂▲46歩を狙っている。

代えて▲48銀もあるが、△86歩▲同銀△88角成▲同金△23金の変化のとき、▲48金の方が対応しやすい意図がある。

最終図はこれからの将棋だ。先手は2歩得したが、飛車の動きで手損を重ねている。

後手は△52金ー△63銀ー△73桂ー△81飛と右玉に組めれば理想形だ。後手の駒組みは分かりやすいが、先手は構想力が求められる将棋だ。

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