今回は先手矢倉で▲34飛と取る将棋を見ていきたい。
▲34飛に対して、後手の対策としては珍しい指し方を検討したい。
目次
第１図 テーマ図
手順 ▲24歩△同歩▲同飛△63銀▲34飛△33角。
▲24同飛に△85歩と伸ばし、▲34飛に△44角と上がるのが主流の対策になっている。
この変化はこちらの記事で検討した。
△85歩ー△44角は、反撃含みの指し方なので一気に激しくなることがある。
今回は検討するのは△63銀▲34飛に△33角と上がる将棋だ。
△44角と上がる将棋に比べて、ゆっくりした将棋になる。
一方で、ゆっくりした展開になると一歩損が響きやすい。
後手は主張点を作らないと作戦負けになるので注意が必要だ。
第２図 ▲36飛と引いた場合
手順 ▲36飛△44角▲46歩△54歩▲45歩△53角▲68銀△22銀。
△33角は▲24飛と戻らせない意味がある。
△33角に▲36飛と引いて▲26飛を見せるが、後手は△44角と上がって阻止する。
△44角以下▲46歩△54歩▲45歩と角を追って△53角に▲68銀と角道を通すが、△22銀と上がってどうか。
最終図から▲32飛成△同飛▲23歩は、△33銀▲22金△52飛▲21金△44歩と対応して後手指せる。
第１図から▲24歩△同歩▲同飛△85歩▲34飛△44角▲46歩△33金▲36飛△54歩▲45歩△53角▲68銀・・・と進んだ変化と比べて、後手の形が良いのが主張だ。
△33角ー△44角で手損をするが、▲36飛と引かせるために△33金と上がる必要がない、という見方もできる。
最終図は一局だが、後手としてはまずまずだろう。
第３図 ▲35飛に△24歩から銀冠
手順 ▲35飛△24歩▲36飛△22銀▲26飛△23銀▲69玉△42玉▲48銀△72飛。
▲36飛は△44角と上がられて、飛車が２筋に戻れない。
▲35飛と引く手が考えられる。
▲25飛を防いで△24歩と打つが、そこで▲36飛と引く。
対して△44角には、▲46歩△54歩▲45歩△53角▲68銀△22銀に▲32飛成△同飛▲23歩と強襲して先手良し。
第２図と違って△27飛の反撃がない。
△44角は指しづらくなったが、ゼロ手で△24歩を発生できたので△22銀ー△23銀と銀冠に組みに行く。
先手は一歩得して無事に２筋に飛車が戻れた。後手は手順に銀冠に組めた。お互いに主張がある。
▲69玉△42玉▲48銀に△72飛と寄って、次に△75歩▲同歩△同飛の歩交換を狙う。
最終図は一局に近いが、先手は▲36歩ー▲37桂ー▲35歩と指したい手が多い。
銀冠に組めたものの、後手が忙しい展開と言える。
第４図 ▲35飛に△23金ー△22飛
手順 △23金▲25飛△22飛▲28飛△24金▲48銀△25金▲38金△42銀。
△24歩に代えて△23金と上がる手を見ていきたい。
▲25飛に△22飛と回って棒金するのが狙いだ。
最終図は後手まずまず。
最終図以下、▲46歩には△26金▲27歩△25金としたい。
△26金に代えて△26歩が自然だが、将来▲47銀ー▲36歩ー▲37桂と追い返される。
△26金▲27歩△25金▲47銀△62玉▲36歩に△35歩▲同歩△同金▲36歩△34金と形を整えておいて、△82玉ー△72金まで囲って、振り飛車のイメージで指したい。
第５図 △23金に▲68銀の変化
手順 ▲68銀△32銀▲25飛△88角成▲同金△24歩▲28飛△33桂▲48銀。
▲25飛△22飛は後手まずまずだった。
▲25飛に代えて▲68銀と引く手はどうか。△88角成は▲31飛成が王手になる。
▲68銀に△32飛と回る手もある。▲25飛なら△22飛で第４図と合流する。
しかし、じっと▲36飛と引いて次に▲24歩△同金▲33角成△同桂▲21角を狙われると後手が怖い格好だ。
▲68銀に△32銀と上がるのは無難な一手。
以下駒組みしてこれからの将棋だ。負担になりがちな先手の角を交換できている点が利点で、先手としては第４図の展開よりもやってみたい変化だ。