第1図
今回は▲37桂と跳ねた局面を調べてみたい。
後手が△14歩と受けるのは現代調。▲25桂~▲13桂成の攻め筋が無くなっているが、▲15歩△同歩▲13歩の攻めのとき一手早い。
後手は穴熊を目指したいが、どの順番で組むか。
△12香の前に△43金、△32金と金を寄せるは自然だ。
一見手堅い駒組に見えるが、▲65歩ー▲56銀と組まれると余計に△12香と上がりづらくなっている。
△12香は危なく、▲25桂△42角▲45歩として先手ペースだ。
▲56銀と上がった局面は振り飛車が目指したい局面だ。居飛車としてはこの図を避けたいところ。
△32金と上がらずに△12香は有力。▲25桂△42角▲45歩と攻めたとき、△32玉と寄るスペースがある。
進んで、▲65歩の合わせが手筋。△65同歩なら▲同飛△64歩▲45飛として攻めが続く。
後手は▲65歩に△52金▲64歩△62歩と受ける順も考えられる。
▲65歩に代えて▲56銀もある。△32金なら▲65歩で振り飛車が目指したい局面に合流する。
△12香には▲45歩とつける。▲65歩とついてある状態では▲45歩に△45同歩と取られてうまくいかなかった。
最終図▲65歩を伸ばした局面は難しい。
△43金や△32金を入れず、すぐ△12香はどうか。
これなら▲65歩△11玉▲25桂に△22角と引ける。最終図は先手失敗だ。
▲65歩はうまくいかなかったので、▲45歩と仕掛ける。一歩取ったら常に▲15歩△同歩▲13歩の筋がある。
▲44歩に△同角は▲45銀△55角▲34銀とできる。
最終図は▲64歩と▲25桂を狙っている。
最終図▲65歩に△55歩とつけるかが、後手としては大きな問題だ。
▲47銀引では悔しいので▲55同銀△同銀▲25桂としたい。以下△24角▲55角△56歩は▲同歩で面倒をみて、先手からは▲15歩の攻めが早い。
△86歩▲同歩△55歩とすれば▲同銀とは取りづらいが、今度は一歩が入ったので▲47銀引としやすくなる。
第2図
第1図と似ているが、先手玉の位置が▲48玉だ。▲48玉型の方が端攻めしたとき遠いので、攻めやすい。
この図になるなら、第1図より第2図の方が良い。
先手は▲65歩ー▲56銀の形を目指して、▲25桂ー▲45歩と攻めれば先手ペース。
△32金に代えて△24歩と▲25桂を消す手には、▲26歩から▲25歩を目指す。
手順中、▲65歩が先か▲56銀が先か、難しいところ。
▲65歩だと△12香に▲25桂とはできない。△43金を保留していて、▲44歩が金に当たらない。
最終図△32銀とした図は先手は桂損が確定して失敗。
すぐ▲25桂は無理だったが、一回▲56銀と溜める手はある。
△11玉に▲45歩から攻めて、最終図▲34歩とした図は先手良し。
先に▲56銀だと△12香に▲45歩と仕掛けることができる。▲65歩をついてないのを生かしている。
△11玉なら▲15歩△同歩▲44歩△同銀▲13歩が好手。
以下△13同香は▲25桂、△13同桂は▲65歩で一歩入ったら▲14歩がある。
先手指せる変化だ。
いずれの変化も△11玉が危険だが、△12香と上がったのに△11玉と入れないのは不本意だ。
▲65歩か▲56銀かはどちらでも大丈夫そうだ。
まとめ
振り飛車は▲65歩ー▲56銀と組んで、▲25桂を狙うのが理想だ。▲65歩を保留すると▲45歩の攻め方もできる。
相手の形を見て、使い分けることができる。
第1図は互角の範疇だが、第2図は後手が避ける傾向にある。
第2図を避ける後手の具体的な案として2つある。
第3図
一つは△74歩から急戦する。▲39玉に△64銀もあるが、△55角とする55角戦法も有力。
第4図
もう一つは△33角として、
(1)▲39玉なら△22玉から穴熊を目指す。
(2)▲36歩なら△74歩から急戦を目指す。▲36歩とついてもらった方が、△55角のラインや△24桂のキズがあり美濃囲いが弱くなっている。
こうした理屈が分かると、△33角に(3)▲96歩とする意味も見えてくる。
▲96歩は実質一手パスのような手だが、一手損してでも第2図を目指したいという意味だ。
第3図、第4図はまた別の将棋だ。