基本図

基本図で▲67銀と上がる手には、△55角戦法が有力だ。その変化はこちらで検討した。先にそちらの記事から読んでいただくとより理解が深まります。

△74歩は持久戦と急戦の態度を保留する手だった。しかし持久戦になったとき△74歩はそんなに急がなくてもよい手になる。そこで先手は△74歩を咎めるべく早い動きを目指す指し方がある。今回はその変化を検討したい。

手順 ▲28玉△33角▲36歩△22玉▲37桂△44歩▲65歩△12香▲56歩△11玉▲55歩。

▲28玉を見たら後手は△22玉から穴熊を目指す。「▲28玉には△22玉、▲36歩には△64銀」はこの戦型の仕組みだ。

先手は△74歩を咎めるべく、▲56歩から▲55歩と動く。△43金を保留しているのは▲55歩に手抜けるようにした意味だ。△43金型で▲55歩だと、次に▲54歩△同銀▲55歩で銀が取られる。△52金型なら▲54歩△同銀▲55歩に△43銀と引ける。

最終図、後手はどう対応するのが良いか。

テーマ図

手順 △55同歩▲15歩△同歩▲55角△92飛▲13歩△同香▲25桂△51角▲13桂成△同桂▲26歩△22銀▲77桂。

△55同歩は自然な応手だが、この場合は疑問。▲15歩と突いて先手がペースを握る。以下△15同歩▲55角△92飛▲13歩と攻める。

▲13歩に△同桂は▲64歩△同歩▲同角が成立する。一歩入ったら▲14歩がある。△13同香は仕方ないが、▲25桂が気持ち良い手だ。

最終図▲77桂とした局面は先手指せる。次に▲85桂と一歩補充する狙い。一歩持ったら▲14歩がある。

手順 △22銀▲54歩△同銀▲64歩△同歩▲同飛△63金▲69飛△64歩▲15歩△同歩▲13歩△同香▲25桂△73桂。

△55同歩は素直すぎた。△43金と上がっていないのを生かし、5筋を放置して△22銀と上がる。

▲54歩△同銀▲64歩△同歩▲同飛と2枚を歩交換できるが、△63金▲69飛△64歩と収めて後手が手厚い格好だ。

▲15歩△同歩▲13歩は持ち歩を生かした攻めだ。△同香▲25桂に△24角とかわすのが自然だが、▲13桂成△同銀に▲44角△12玉▲71角成や▲26香で攻めが続く。

▲25桂に手抜いて△73桂が良いだろう。最終図以下▲33桂成△同銀で角桂交換の駒損になるが、△65桂や△16歩の楽しみがあり後手良しだ。△16歩から△12飛と回る手の味が良い。

手順 ▲15歩△86歩▲同歩△73桂▲14歩△65桂▲66角△16歩。

▲64歩△同歩▲同飛を入れずに単に▲15歩と攻める手も考えられる。△15同歩なら▲13歩△同香▲25桂△24角▲47金と上がって、次に▲44角や▲64歩、▲13桂成△同桂▲57香など複数の攻めが狙える。

△63金ー△64歩の格好なら▲25桂に△73桂で後手良しだったが、この場合△73桂だと▲33桂成△同銀▲95角で先手指せる。

▲15歩には手抜いて△86歩▲同歩△73桂が勝る。最終図は後手の桂馬が捌けていて、後手十分だ。

このあたり、ガチガチに固める通常の穴熊と感覚が異なる。バランスを重視する穴熊で、これが現代穴熊だ。

手順 ▲67銀△43金▲47金△86歩▲同歩△55歩▲同角△86飛▲88歩△45歩▲33角成△同桂。

▲54歩と取り込まず、▲67銀と活用する手もある。対して△86歩▲同歩△55歩は▲15歩△同歩▲13歩の攻めを与えるのでリスクがある。

▲47金に△32金もあるが、▲54歩△同銀▲56銀で▲55歩を狙われる。▲54歩に代えて▲66銀ならよくある形に戻るが、△55歩▲同銀△86歩▲同歩△75歩と攻めて後手指せる。

▲47金に△86歩▲同歩△55歩と戻す。今度▲15歩△同歩▲13歩は△同銀と応じて後手指せる。後手は銀桂交換の駒損になるが、1筋を逆襲できる。▲67銀にすぐ△86歩▲同歩△55歩とする変化と比べて△43金の一手が入っているのが大きい。

△55歩▲同角△86飛▲88歩に△82歩もあるが、ここは強く△45歩と戦いたいところだ。最終図はこれからの将棋だが、後手の駒に勢いがあり後手を持ちたい。

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