テーマ図

手順 ▲75歩△32銀▲56歩△44歩▲46歩△43金▲68角。

今回は先手三間飛車に対して、後手が△53銀型で持久戦を目指す変化を見ていきたい。先手三間飛車に対する後手の対策はいろいろあるが、最近では△64歩ー△63銀と組む急戦調の将棋が増えている。今回の△33角から△22玉と持久戦を目指すのはオーソドックスな作戦だ。

テーマ図から、先手は▲75歩から石田流を目指す。先手は石田流を目指さないと、三間飛車にした甲斐がない。

▲75歩を見て後手は△32銀と上がる。△32金から穴熊を目指す手も考えられるが、時間がかかる点が不安だ。▲75歩に代えて▲56歩と後手の態度を見る手には、△44歩▲46歩△43金と後手も囲いの態度を保留する指し方が有力だ。以下▲75歩を見たら△32銀、▲47金や▲36歩と囲うなら△12香から穴熊に囲えば良い。

このあたりの仕組みはこちらの記事で検討した。先手は石田流に組めれば作戦勝ちだ。後手は石田流を阻止する、という目的がある。石田流をめぐる攻防が、この戦型の肝だ。

最終図▲68角は重要な課題図だ。ここで△24歩、△94歩、△24角、△42角、と手が広い。後手がどのような方針で指すかを検討したい。

▲68角に△42角の変化

手順 △42角▲74歩△同歩▲同飛△73歩▲79飛△64銀▲65歩△75銀▲76歩△84銀▲96歩△74歩▲66銀。

△42角の変化から見ていきたい。▲76飛は△64銀で▲75歩が目標になる。先手は▲74歩と歩交換をして、目標になっていた▲75歩を捌く。

▲79飛と引いた局面は「石田流を阻止する」という目的を果たしている。

対して△64銀は積極的な動きだ。しかし▲65歩の反発が好手。△同銀は▲75歩で次の▲77桂を狙って、銀挟みになる。

△75銀には▲76歩と追う。△86歩は▲75歩△87歩成▲74歩△同歩▲57角△88歩▲74飛△73歩▲79飛と引いておいて後手駒損なので不満。代償としてと金が活躍すれば良いのだが、△89歩成▲同飛△88とは▲83歩△同飛▲84歩があるのでスムーズな活用が難しい。

仕方なく△84銀と下がるが、▲96歩△74歩▲66銀とした局面は先手不満ない。最終図以下△73銀は▲75歩から動いていける。

途中△64銀があまり良い手ではなかった。石田流を阻止する、という目的を果たしたのだから△24歩から駒組してどうかという将棋になる。

手順 △42角▲96歩△64銀▲76銀△24歩▲97桂△33角▲77角△42角▲65歩△75銀▲同銀△同角▲44角△同金▲75飛△66角▲79飛△88角成▲69飛△78馬▲66飛△77馬▲69飛△78馬。

△42角に▲96歩と待つ手はどうか。△24歩や△94歩なら▲97桂と跳ねる手を用意している。▲97桂と跳ねると、▲76銀から▲85桂や、▲74歩△同歩▲同飛△73歩▲75飛と動く筋ができる。

△64銀▲76銀と上がらせて△24歩と駒組する。△42角▲74歩△同歩▲同飛△73歩▲79飛△64銀の変化で▲76銀とすると、△74歩▲65歩△75銀とできる。7筋の歩交換をしていないからこそ、▲76銀と上がれる意味がある。

△24歩に▲65歩△53銀▲67銀は△64歩と反発して後手指せる。△24歩に待望の▲97桂だが、△33角の揺さぶりが好手だ。▲85桂には△45歩と戦って後手指せる。▲77角の受けに△42角と引いて千日手を目指す。

▲68角△33角▲77角では千日手になるので、▲65歩と反発したいが△75銀▲同銀△同角▲44角△同金▲75飛△66角で対応できる。▲85飛は△同飛▲同桂△89飛と先着して後手良し。

▲79飛と引くが、△88角成▲69飛△78馬▲66飛△77馬▲69飛△78馬で千日手濃厚だ。

手順 △24歩▲97桂△94歩▲65歩△64歩▲74歩△同歩▲同飛△72歩▲75飛△65歩▲85飛△同飛▲同桂△89飛▲61飛。

△64銀▲76銀の交換を入れてから△24歩と駒組するのが有力な手順だった。△64銀▲76銀を入れないとどうなるか。

△24歩▲97桂△94歩に▲65歩が好手だ。すぐ▲74歩△同歩▲同飛としたいが、△62銀が良い受け。以下▲65歩△73銀▲76飛△75歩で押さえ込める。▲65歩に△33桂だと今度▲74歩△同歩▲同飛△62銀▲66銀△73銀▲76飛で△75歩が打てない。▲66銀が間に合うのが大きな点だ。

▲65歩に△64歩と反発する。▲74歩△同歩▲同飛に△72歩が見慣れない手だ。その効果は最終図に分かる。最終図以下、△99飛成▲81飛成△66香のようになったとき、▲73桂成を消している。将来△96竜から▲85桂が取れる可能性もある。最終図から△93桂は▲同桂成△同香▲57角、△73桂は▲同桂成△同歩▲63歩で先手指せる。

△72歩は△93桂や△73桂とぶつける意味より、▲81飛成のあと▲73桂成を消している意味がありそうだ。

これはこれで難解な将棋だが、△64銀▲76銀を入れておけばこうした変化を避けることができる。

▲68角に△24歩の変化

手順 △24歩▲74歩△同歩▲同飛△73歩▲78飛△64銀▲65歩△同銀▲75歩△45歩▲77角△46歩▲33角成△同桂▲77桂△56銀▲同銀△89角。

△42角に代えて△24歩とする変化を見ていきたい。これも似た展開になる。

△24歩に▲74歩△同歩▲同飛△73歩▲78飛には△64銀と繰り出す。▲75歩がある状態で△64銀と出ると▲65歩△同銀▲77桂の銀挟みがあったが、7筋の歩交換をしてくれると△64銀と出やすくなる

この理屈は非常に大切だ。後手は▲74歩を恐れなくても良い。▲74歩を恐れて△84飛と浮くと▲65歩から▲74歩△同歩▲57角と動く筋が発生するのでむしろ損になる。

△64銀に▲65歩△同銀▲75歩で銀挟みを狙うが、△45歩で後手指せる。△42角型で△64銀と出ると▲65歩の反発が成立したが、△33角型だと▲65歩△同銀▲75歩に△45歩があるので後手指せる。

△33角型の方が△64銀と出やすい、という点も重要な理屈だ。

△45歩に▲77桂は△66銀がある。最終図が後手良し。▲79飛型にして△45歩▲同歩で△99角成なら▲77桂で先手良しになるが、▲45同歩に△86歩▲同歩△87歩で後手良しになる。

▲74歩に代えて▲76飛としても、△64銀▲65歩△同銀▲78飛で合流している。▲76飛と浮いたら△64銀、▲74歩と歩交換してきたら△64銀と覚えておいて問題ない。

手順 ▲76飛△64銀▲57角△42角▲65歩△同銀▲79飛△86歩▲77桂△76銀▲同銀△87歩成▲74歩△86と▲65銀△77と▲同飛△88飛成▲67飛△99竜。

▲76飛を見たら△64銀と上がる。▲65歩△同銀▲78飛は△45歩で後手指せるので、▲57角△42角の交換を入れてから▲65歩とするのはどうか。

△65同銀▲79飛△86歩▲77桂に△76銀が好手だ。▲同銀△87歩成とすることで、と金と銀が近くなる。

▲74歩は△同歩なら▲85桂△86と▲65銀で捌く意図だが、▲74歩を手抜いて△86と▲65銀△77と▲同飛△88飛成と成り込んで後手良し。△86と▲65銀の交換を入れずに△77と▲同飛△88飛成とすると▲87飛がある。

最終図は後手が駒得で良し。

手順 ▲96歩△42角▲97桂△64銀▲76銀△33角。

△24歩に▲96歩と待つと△42角で、単に△42角とした変化と合流する。後手番で△42角ー△33角と揺さぶって千日手を狙うのは、常套手段だ。

後手は千日手歓迎、の前提のもと戦える。△64銀を用意しておけば先手が石田流に組むのは難しい。

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