今回は先手三間飛車の変化を検討したい。
さりげない序盤だが、重要な変化だ。
7手目▲68銀には△77角成
初手から ▲78飛△84歩▲76歩△85歩▲77角△34歩▲68銀△77角成。
△34歩に▲66歩が、前例の多い王道の指し方だ。
▲68銀は角道を通したまま駒組しようとする意図だ。対して、この瞬間に△77角成と角交換するのが大切になる。
その理由を見ていきたい。
△77角成としなかった場合
手順 △62銀▲58金左△42玉▲48玉△32玉▲38玉△52金右▲28玉△14歩▲16歩△54歩▲38銀△53銀▲46歩。
△77角成としなかった場合を見てみよう。
△62銀からお互い駒組をする。通常の対抗型と違うのは、振り飛車の角道が通っていることだ。
最終図から△44歩には▲56歩ー▲57銀と、▲66歩を省略して駒組ができる。
△33角には▲同角成△同桂▲77銀とし、次に▲88飛ー▲86歩の逆襲を狙う。角交換四間飛車には△64歩ー△63銀と構えるのが良い形だが、後手は△54歩ー△53銀と形を決めているので、受けの格好に適していない。
先手の角道が通っているので、後手の駒組に制約がかかっている。
△77角成▲同銀の変化
手順 ▲77同銀△45角▲36角△67角成▲63角成△52金右▲36馬△57馬。
▲77同銀には△45角と打つ。対して▲68飛△27角成▲36角△同馬▲同歩△32金▲28飛も考えられるが、振り飛車党にとっては望まない展開だろう。
△45角に▲36角と打つとお互い馬を作り合う展開になる。しかし最終図は先手の一歩損。後手満足の序盤戦だ。
▲77同桂の変化
手順 ▲77同桂△42玉▲88飛△32銀▲48玉△31玉▲38玉△14歩▲16歩△72銀。
▲77同桂なら△45角はない。△86歩▲同歩△同飛は▲65桂で先手指せる。後手はすぐには動けないので駒組に入る。
最終図は一局だ。
先手は機を見て▲85桂と跳ねる展開にするか、▲66歩ー▲67銀や▲56歩ー▲57銀とじっくり駒組する展開にするか、方針が問われる。
ただ先手番なので▲85桂から打開するプランにしないと、千日手模様だったり、作戦負けになりやすい将棋だ。振り飛車側に危機感のある序盤で、先手番でこうした展開を選ぶかは不明だ。
まとめ
▲68銀には△77角成が有力だ。
角交換せず△62銀▲58金左となると、△45角がないので、もう△77角成とはしづらくなる。
▲68銀が通ってお互い駒組になると、後手の駒組に制約がかかる。
▲68銀と上がったこの瞬間に△77角成としたい。
▲77同銀には△45角と打って馬を作る。▲77同桂には△42玉から駒組して、先手がどう打開するかという将棋になる。いずれも先手の方が神経を使う将棋だろう。