すぐに役立つ戦術を紹介したい。
今回は後手四間飛車に対する先手の駒組みについてだ。
テーマ図
手順 ▲36歩△95歩▲78玉△42飛。
9筋の駆け引きについては、こちらの記事で検討した。
この記事の先の変化を検討したい。
図から▲56歩もあるが、△84歩から雁木の将棋になったとき、▲56歩が形の決め過ぎになる。
▲46歩ー▲47銀ー▲56銀の将棋や、▲36歩ー▲37銀ー▲35歩の変化がやりづらくなっている。
▲78玉も同じ理屈で、△84歩のときに先手の作戦の幅が狭くなっている。
図から▲36歩は、後手の居飛車と振り飛車のどちらでも対応できるようにした手だ。
△84歩なら▲37銀ー▲35歩と仕掛けることができる。
こちらの記事と似た変化だ。
この記事では▲58金右を保留するのがポイントと紹介したが、この場合は△94歩と▲58金右が交換になっている計算なので先手が得している。
△95歩は態度を保留した一手。
端に2手掛けたのを見て、▲78玉と寄る。
▲78玉に△84歩は、▲37銀△85歩▲77角△32金▲88銀と進んで9筋の2手分が甘い。
後手は△42飛と振り飛車の持久戦にして、9筋の位を生かしたい。
▲36歩を咎める△32飛
手順 ▲56歩△62玉▲77角△72玉▲88玉△52金左▲57銀△82玉▲98香△54銀▲66歩△32飛。
お互い駒組みをする。
▲98香に△92香は、▲99玉△91玉▲88銀△82銀▲79金と囲って先手ペース。
▲66歩を保留できているのが大きい。
▲98香に△54銀と上がり▲66歩を突かせ、△32飛と寄って動きを見せる。
一歩損をして安全に穴熊に組む
手順 ▲65歩△同銀▲67金△72銀▲78金。
図から▲99玉は、△42角▲38飛△72銀▲88銀△24歩▲同歩△22飛▲28飛△24飛のように動くことができる。
先手陣がバラバラなので怖い格好だ。
安全に穴熊に組むために、▲65歩と突く手が面白い。
△65同銀で一歩損するが、先手の角道を通して△42角を引かせないようにする狙いだ。
最終図から▲99玉ー▲88銀の2手が間に合えば先手まずまず。
△54歩▲99玉△35歩▲同歩△45歩のように戦ってみたい。
形勢は難しいが、序盤早々一歩損するのを先手はどう見るか。
▲57銀を保留する工夫
手順 ▲66歩△82玉▲67金△72銀▲78金△32飛▲98香△42角▲68角。
▲57銀を保留して▲66歩と工夫してみる。
▲57銀(△53銀)を保留する似た考え方に、こちらの記事がある。
▲66歩△82玉▲67金に△92香は、▲78銀△91玉▲86歩・・・から銀冠に組んで、将来▲96歩△同歩▲同銀と逆襲できる。
後手としては▲98香や▲78金を見たら△92香、▲78銀を見たら△72銀と使い分けたい。
△72銀を見て、先手は▲78金から穴熊を目指す。
以下△32飛▲98香△42角と▲36歩を咎めて動きたいが、このとき▲57銀を保留した効果で▲68角と受けることができる。
▲38飛より安定した受け方だ。
最終図まで進めば、先手は一歩損することなく、安全に穴熊に組むことができる。
一方で、△54銀と上がっていないのに▲66歩と自ら止めるのは少し悔しく感じられる。
▲66歩△82玉▲67金に△64歩と、先手の様子を見るのは有力だ。
▲98香や▲78金を見たら△92香、▲78銀を見たら△72銀を後手は選ぶことができる。
まだまだお互い工夫の余地がありそうだ。