すぐに役立つ戦術を紹介したい。
今回は先手三間飛車に対する後手の駒組みについてだ。
テーマ図
手順 ▲57銀△22玉▲36歩。
▲56歩と突かずに▲28玉ー▲38銀と美濃囲いに組んで、▲67銀ー▲75歩ー▲59角と石田流を目指すのが前例の多い進行だ。
▲56歩ー▲57銀は持久戦を目指した駒組みだ。
▲36歩と突いた図がテーマ図。
先手は後手の駒組みを見て、次に▲28玉ー▲18香と穴熊に組むか、▲37桂ー▲29玉とミレニアムに組むかを決める。
後手は何を指しても一局だが、工夫した駒組みをしたい。
△53銀を保留する△32金
手順 △32金▲37桂△44歩▲28銀△43金右▲29玉△42角▲39金△86角。
△53銀を保留して△32金と上がる工夫がある。
先手の穴熊にもミレニアムにも対応できるようにした一手だ。
△32金に対して▲37桂ー▲28銀とミレニアムを目指してきたら、後手は△42角と引いて動きを見せる。
△42角と引けるのが△53銀を保留した効果だ。
△42角に▲88飛には△74歩と突いて、次に△75歩▲同歩△72飛と仕掛けて後手ペース。
△42角に▲65歩は、△74歩ー△73桂で▲65歩が目標になる。
△42角に▲39金と囲う手には△86角が成立する。代えて△86歩▲同歩△同角▲88飛△85歩▲48金寄は今一つ。
最終図以下▲86同歩△同歩▲59角は△87歩成▲68飛△35歩▲同歩△36歩で後手指せる。
△86角に▲88飛は△77角成▲同桂△51銀で、角交換をすると先手陣のバランスが取りにくい。
先手穴熊には△44銀型にできる
手順 ▲28玉△53銀▲18香△12香▲19玉△11玉▲28銀△22銀▲39金△42金右▲46銀△44銀▲48金寄△41金▲38金寄△31金寄。
△32金に▲28玉から穴熊に組んできたら、後手も穴熊に組む。
△44歩を後回しにしている効果で、▲46銀に△44銀と上がれるのがポイントだ。
△44銀型の方が△44歩ー△43金と上がる穴熊よりも固い。
最終図はこれからの将棋だが、固い穴熊に組めたので後手まずまずだろう。
一方で、△32金と上がっているので△42金右-△41金ー△31金寄の分、手損している。
先手としては手損させたならまぁ良し、という見方もできる。
▲48金寄の工夫
手順 ▲48金寄。
△32金に対して▲48金寄とする工夫がある。
△53銀なら▲37桂△44歩▲29玉・・・とミレニアムに囲って、△42角と引けなくなっている。
△44歩には▲28玉△53銀▲18香・・・と穴熊に組んで、△44銀型にできなくなる。
△32金は後手の手を見て駒組みを決めようとする手だが、▲48金寄で先手は態度を保留できる。
一方で、▲29玉ー▲38金-▲46歩ー▲47金左のような駒組みの可能性はなくなっている。
テーマ図で、△42角と引く変化と△44銀と上がる変化の両方の可能性を残すなら△32金だった。
△42角と引く変化をやらないなら△53銀でいいし、△44銀と上がる変化をやらないなら△44歩でいい。
人それぞれの考え方が現れる局面だ。