三段リーグで指した将棋を振り返りたい。
問題図は、対局中かなり迷った局面だ。こうした2択の局面が一番迷うのだ。
本局は結果は幸いしたが、前回の三段リーグ自戦振り返り#3の将棋と同様、着地に課題が残る一局となった。
問題図(△28飛とした図)
問題図は、先手が私で、後手が相手だ。
先手の金香得で、先手良しという感触があった。
問題図は合い駒するか逃げるかの2択だ。ここで三択問題を出したい。
▲38歩の変化
手順 ▲38歩△同と▲29歩△同飛成▲59金△37銀成。
合い駒を節約するなら、▲38歩だ。しかし△同とで攻めが早くなる。
▲29歩は△同となら▲38金打で飛車を取る狙いだが、△29同飛成で後手の攻めが厚くなる。
▲59金△37銀成となった最終図は、23の馬取りと△48とを狙っていて後手良し。▲56馬と引いても△47銀が厳しい。
後手玉にすぐ寄せがあるという状態なら▲38歩△同と▲29歩の手筋は有力だが、この場合はまだ後手玉が遠い。しっかり受ける必要がある。
これが正着 ▲58香の変化
手順 ▲58香△48と▲21馬△49と▲43馬△52金打▲41馬△61玉▲63銀。
▲58香と合い駒するのが正着だ。
△48とに、▲21馬△49と▲43馬とギアを上げる。これが受けづらい。
△52金打に▲41馬が鋭い一手。△同玉は▲42銀△同金▲33桂△51玉▲41金以下詰む。▲41馬に△61玉と逃げるよりないが、▲63銀で受けなしになる。
この▲21馬から▲43馬が思ったより早い攻めになる。
手順 △58と▲同金△47銀▲79玉△58飛成▲69銀。
△49とは▲43馬が厳しく、先手勝ちだった。△58と▲同金△47銀と千日手を狙うのはどうか。先手良しと思っていたので、先手は千日手は避けたい。この順がクリアできなかったので▲58香と打てなかった。
しかし△47銀には▲79玉が好手だった。△58銀成は詰めろが消えるので、▲43馬△52金打▲41馬と同じ手順をやれば先手勝ち。詰めろをかけるなら△58飛成だが、▲69銀と先手を取って受けることができる。
最終図以下、△49竜▲43馬△52金打▲16馬△19竜▲25馬のように後手の攻めをいなしながら攻めれば先手の優位は揺らがない。
手順 ▲39金打△同と▲同金△27飛成▲45馬△37竜▲38歩△32竜▲24歩。
もし▲79玉が見えなかったら、△48とに▲39金打という保険もあった。
△39同と▲同金△27飛成に▲45馬と引けば、後手の竜が狭い。△36銀は▲38銀で竜が取れる。
やむなく△37竜だが、▲38歩△32竜と竜を撤退させて先手玉が安全になる。最後▲24歩からぼちぼち攻めればこれも先手良し。
勝つまではまだまだ長いが、玉の安全を優先するのが勝率が高くなるコツだ。この順が一番実戦的で良かっただろう。
※実戦的・・・指し手の良し悪しよりも、残り時間や局面の分かりやすさ、複雑さなどを考えた上で選んだ指し手のこと。
本譜▲79玉の変化
手順 ▲79玉△78銀▲88玉△17銀不成▲56馬△85歩。
本譜は▲79玉と引いた。これも悪い手ではなかったが、怖すぎた。▲79玉は△37とから遠のきつつ、合い駒を節約する意図がある。△48となら▲21馬△49と▲78銀が固いという読みだ。
しかし△78銀▲88玉に△17銀不成の勝負手が飛んできた。一歩持って△85歩と打つ狙いだ。読みになく、慌てた。
▲56馬△85歩にどう対応するのが良いか。
手順 ▲38歩△87銀成▲同玉△86歩▲同銀△95金▲77銀打△86金▲同銀△95銀▲82歩△86銀▲78玉。
▲85同歩は△同桂で寄り筋になる。▲38歩と飛車利きを止めておくのが冷静な一手だ。
△87銀成▲同玉△86歩▲同銀△95金と千日手狙いで指すが、▲77銀打△86金▲同銀△95銀と金銀を入れ替えてから▲82歩△86銀▲78玉と銀を見捨てれば先手良しだ。以下△82飛は▲83歩△同飛▲74馬が厳しい。
本譜は△85歩に▲58香 形勢急接近
手順 ▲58香△87銀成▲同玉△86歩▲同銀△85歩▲77銀△48と。
本譜は▲58香と打った。このタイミングで▲58香と打つなら、△28飛のときに▲58香と打つ方が勝るのは一目瞭然だ。後手だけ手が進んでいる計算だ。
▲58香△87銀成▲同玉に△86歩▲同銀△95金は、▲77銀打△86金▲同銀△95銀▲82歩で、上記と同じ理屈で先手優勢。でも対局中は形勢不利にしてしまった、と思っていたので千日手にする予定だった。
本譜は△87銀成▲同玉に△48とと勝ちにこられた。しかしこれが疑問で、▲74馬が味の良い手となり再び先手が良くなった。△49とは▲72銀が詰めろ飛車取りになるし、△86歩▲同銀△85歩は▲同銀△同桂▲82歩で先手優勢だ。
△48とでは、一回△86歩▲同銀△85歩を決めるのが大切だった。これなら▲85同銀に△86金が痛く、後手良し。▲77銀と引かせてから△48ととすれば、今度▲74馬なら△86金▲98玉△49とが詰めろになる。
これは形勢不明だ。
※味が良い・・・感触の良い指し手のこと。
局面の結論と反省
▲58香と合い駒するのが良かった。
△48とに、勝ちに行くなら▲21馬だ。しかし先手にとってリスキーな順であるため、△48とに▲39金打が実戦的で良かっただろう。
本譜は▲79玉で耐えてると読んだが、△78銀▲88玉△17銀不成の勝負手を見落とし、その後の読みが不安定になった。
▲79玉という怖い手を指すのなら、△17銀不成は当然読みに入っていなければならない。ここは▲58香と打ち、▲21馬か▲39金打のどちらかの順を読み切りたい局面だった。