私が小学5年生で、研修会E1のときに指した将棋を紹介します。

研修会は奨励会や女流棋士を目指すため、棋力向上のために入る人が多いです。下はF2クラス、上はB1クラスに分かれています。B1クラスからA2クラスに昇級した時点で15歳以下ですと、奨励会6級に編入できます。また、C1クラスからB2クラスに昇級すると女流2級の資格を得られます。

プロ棋士、女流棋士、奨励会員と対局ができることは研修会の特徴の一つで、私もたくさん教わり強くなりました。

当時、持ち時間は35分60秒でした。現在では30分60秒になっています。

クラスの分類や規定は変わることもありますので、最新の情報はこちらからご確認ください。

私が先手で相掛かりの棒銀をした局面。後手は△74歩とついてきた。先手が銀を活用するのに対し、後手は次に△73桂と桂馬を活用する狙いだ。

しかし、ここでの△74歩は危険だった。先手はチャンスを迎えている。どう指すのがよいだろう。

▲22角成△同銀▲95角。

これで王手飛車がかかる。飛車が取れるのはうれしい。何気ない序盤戦だが、こういう手を逃さないように、逆にうっかりしないように序盤から大切だ。

△73角▲84角△同角▲68銀△41玉▲69玉△31玉▲79玉△33銀▲96歩△14歩▲46歩△94歩▲16歩△54歩。

王手飛車をかけた後は局面が落ち着いた。お互い玉を囲い、端をつきあった。▲96歩に△94歩と端をつくことを、将棋の用語で「あいさつする」という。▲16歩に△14歩とつくのも同じように「あいさつする」という。

本譜の場合、▲96歩に△14歩と反対の端をついたのは玉側の端の方が価値が高いと思っているから。プロの対局で▲96歩△94歩▲16歩△14歩と端をつきあう場合もあるが、▲96歩△14歩▲16歩△94歩という順番で端をつきあう場合があるのはそのためだ。

先手が飛車角交換でポイントを取ったが、駒得をしたわけではない。こういう局面こそ、気を引き締めて良さを拡大する手段を考えたい。

まずは本譜から。

▲86歩△73桂▲85歩△93角▲95歩△86歩▲94歩△71角▲66歩△44角。

本譜は▲86歩から歩を伸ばして角を狙ったが、△86歩と垂らされ歩の裏をつかれてしまった。そして狙った角も転換され△44角と使われてはお手伝いになった感じだ。▲66歩では▲84歩△44角▲83歩成△同銀▲88歩と受けておけば堅いが、8筋を伸ばした手と関連がないので指しづらい。

戻って、先手の玉の守りは十分だったので▲86歩と左に手をかけず、右の銀や桂馬を使って攻めを考えるのが筋だった。具体的にはいろいろありそう。

▲45銀△73桂▲15歩△同歩▲54銀△22玉▲13歩△同香▲17桂。

初手はいろいろあるが、▲45銀は駒を前に出す自然な一手。△63銀と受けると▲82飛があるので、▲54銀を直接受けることができない。

△73桂と駒を活用するが、▲15歩△同歩▲54銀で次に▲12歩△同香▲43銀成△同金▲23飛成を狙っている。△22玉とそれを受けるが、▲13歩△同香▲17桂がいいリズムの攻め。▲13歩に代えて▲63銀成△同銀▲81飛も有力だが、後手玉と逆モーションになるのが気になるところ。

最後▲17桂に△24歩と受けると▲25歩△16歩▲24歩△17歩成▲43銀不成△28と▲12飛△同玉▲32銀不成で受けなしになる。

△24歩に代えて△24銀も▲25桂△14香▲13歩の攻めがうるさい。飛、銀、桂、歩に加えて持ち駒の飛車もあるので攻めが切れる心配をしなくても大丈夫。本譜の▲86歩と比べて、攻めに専念できる順だ。

ここからは上級者編。▲45銀に代えて▲25銀からの棒銀も有力だ。

▲25銀△73桂▲24歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛△33角▲23飛打△同金▲同飛成△32銀▲33竜△同銀▲22歩。

無難に銀交換になれば嬉しいが、△33角の反撃がある。そこで▲23飛打が切り返しになるが、相当読みが必要になるので指しづらい手。▲23飛打に△22歩も▲33飛成で、△同桂も同金も▲53角がある。これは先手陣が▲49金型で飛車の打ち込みに強いから成立する順で、レアケースでもある。最後▲22歩まで進めば、△同玉は▲41角、△同銀は▲53角△32玉▲41銀と追って寄せを狙える。後手の持ち駒は飛車しかなく、受けに適していない。

▲25銀からの順は捨ててもよいが、▲45銀や▲17桂を絡める攻めを考えるのは大切だった。最初の王手飛車くらいで喜んではいけないと戒めになった一局だった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA