三段リーグで指した将棋を振り返りたい。
相手は四間飛車が得意で、想定通りの局面になり、用意の研究手をぶつけた。
問題図(▲34歩の図)
問題図は先手が私で、後手が相手だ。
△55同飛に▲34歩と取り込んだ局面だ。この▲34歩が研究手。
▲66銀が普通だが、△53飛▲34歩△66角からガンガン攻められて後手優勢。▲34歩△44角が入れば、▲66銀△53飛▲55銀打と手厚くできる。
しかしこの瞬間が怖い。
ここで2択の問題を出したい。
問題図に至るまでの手順
手順 ▲99玉△55歩▲同歩△95歩▲同歩△55銀。
問題図に至るまでの手順を簡単に見ていきたい。
本譜は△54歩に▲99玉と潜った。自然のようだが、珍しい一手。
▲88銀が間に合えば安心だが、この瞬間は9筋が薄い。後手は△55歩▲同歩△95歩▲同歩△55銀と攻めることができる。
用意の手があったので▲99玉の変化に誘導したが、後手に仕掛けさせないように手堅く指す人が多い。
手堅く穴熊に組む順
手順 ▲78金△71玉▲86歩△63金▲99玉△82玉▲88銀。
▲99玉と潜る前に▲78金と備える。そして△71玉に▲86歩と突く。この手がポイントだ。△85桂を防いでいる。
△71玉に▲99玉と潜ると、△55歩▲同歩△95歩▲同歩△55銀が成立する。△71玉に代えて△63金としても、▲86歩で合流する可能性が高い。
▲86歩に△84歩▲99玉△85歩と仕掛けても、▲88銀で問題ない。
これなら先手は無事に穴熊に組むことができる。
今の目で見ると、この順が正しいように思う。当時は単に▲99玉と引いて後手に仕掛けさせても先手指せると思っていた。研究は日々進歩する。
▲36歩を突かないのも有力
手順 ▲78金△35銀▲36歩△同銀▲24歩△同歩▲65歩△47銀成▲68銀引。
上記の順でも先手は穴熊に組めたが、▲36歩を保留し、▲78金を急ぐのも有力だ。
△35銀が気になるが、▲36歩△同銀▲24歩△同歩▲65歩と反撃して先手良し。△47銀成と成られるが、▲68銀引が固い。
△35銀は無理筋で、△54歩が予想される。以下▲68角△71玉▲99玉△63金▲88銀となれば、▲86歩を省略して穴熊に組むことができる。
この順も先手有力だ。
本譜△55銀以下の指し手
手順 ▲24歩△同歩▲35歩△44飛▲65歩△54飛▲56歩△65桂▲55角△同飛▲34歩。
▲24歩△同歩▲35歩にすぐ△97歩は、▲同香△85桂に▲34歩△44角▲56歩とする。△77桂成▲同桂で駒損になるが、▲54桂の王手飛車が残る。
△44飛は、▲34歩の取り込みを防ぎつつ、▲54桂のキズも避けている。
△44飛に▲88銀と手を戻すのもあったが、強く▲65歩と戦った。
△97歩▲同香△57桂不成の変化
手順 △97歩▲同香△57桂不成▲33歩成△69桂成▲55歩△79成桂▲35角△53歩▲79角。
△97歩▲同香△57桂不成の変化を見ていきたい。△57桂不成の変化をやるなら、△97歩を入れておくのが勝る。違いは最終図で分かる。
△97歩に▲33歩成は△98歩成▲同飛△57桂成で後手良し。
△69桂成から△79成桂とボロボロ取られるが、▲35角と打って取り返せる。
△97歩を入れていない場合、最終図で△97歩とたたくと、▲同角△95香▲64角で先手良しになる。▲97同角と取られないように先に△97歩とたたくのが大切だ。
最終図以下△96歩▲同香△85銀や△33桂が予想され、難解な将棋。
△57桂成の変化
手順 △57桂成▲33歩成△67成桂▲55歩△97歩▲同香△66角▲88角△77銀▲78銀打。
本譜は△57桂成と指してきた。奨励会の持ち時間は90分、切れたら1分だ。問題図の▲34歩の局面で、相手は40分ほど長考に沈んだ。自然な手だが、この手が最善だったようだ。
この場合は△97歩▲同香△57桂成でも合流する。
最終図▲78銀打と打った局面は形勢は互角だが、先手陣が怖くて好んで選びたくない。
当時は血気盛んだったのでこの順で先手いけると思ったが、今なら無難に穴熊に組みに行くだろう。
局面の結論と反省
問題図から△57桂成と△97歩▲同香△57桂不成が考えられるが、△57桂成が勝りそうだ。
最終図▲78銀打でどうかという将棋だが、先手陣が怖すぎて好んで選ぶ変化ではない。
今なら▲99玉と潜らず、▲78金△71玉▲86歩と無難に穴熊に組みに行く。一局だが、先手不満ないだろう。
研究を実戦で試すと新たな発見があって面白い。しかし自玉が怖い順はリスクが高いので、あえてやる変化ではなかったように思う。