将棋倶楽部24の高段タブより、勉強になった将棋を紹介していく『24観戦記』のコーナー。
今回は、九段vs八段のハイレベルな対抗形をお届けする。
先手:R3130
後手:R2958
初手からの指し手
対四間飛車のミレニアムは
1)▲37歩型
2)▲36歩型
3)▲37桂型
の3つに大別される。
1)▲37歩型には△35歩と位を取っての石田流組み換え、2)▲36歩型には△45銀(歩の両取り)と出るような揺さぶりが考えられる。
いずれも居飛車が悪くなるわけではないが、本譜の3)▲37桂型はそのいずれも防いでおり最も用心した構えと言えるだろう。序盤の駒組み1つ取っても、意味を知れば対局者の性格まで伝わってくるので、観戦がおもしろくなるはずだ。
▲37桂型は振り飛車からの速攻を防ぐ効果がある反面、▲38飛からの揺さぶりをかける手段がなくなるデメリットもある。飛車側に手数をかけた分、玉形整備もやや遅れている。▲59銀と引いた局面は後手がダイヤモンド美濃の好形に組み切っているのに対し、先手は右銀が浮いている格好だ。
ここから後手は動いていく。
次に▲68銀と上がられては、仕掛けを封じて堅く囲うという先手の主張が通ってしまうので、後手はここで動いていく。△65歩▲57角△55歩がこの形の常套手段で、▲同歩△45歩まで進んで一気に飛車角が働いてきた。
とはいえ、先手もこの動きは織り込み済み。角の下に回り込む▲58飛がアクロバティックな対応で、▲93角成と角の素抜きを決め、△64角の切り返しにも▲45飛とスライドして飛車交換に持ち込む。
大立ち回りの後▲68銀と手を戻した上図は、ド派手な進行ながらまだ定跡。ここからが本当の勝負だ。
次回に続く