研修会のときに指したプロ棋士との駒落ち戦を解説していきます。
今回は研修会D2クラスのときの、金井恒太先生(当時四段)との二枚落ち戦を初手から解説します。
二枚落ちの下手で何をすれば分からない方は、銀多伝を目指すのが良い。ポイントは4筋と3筋の歩を五段目まで進めて位を取ることだ。
本局も銀多伝を目指したが、△55歩が上手の工夫。歩がただで取れるがどうするか。
△55歩に対し、▲55同角と歩を取ると、△54銀▲77角△45銀で歩を取り返され、更に36の歩取りにもなっており下手忙しい。
本譜は▲48飛と回り、▲38銀~▲46銀で4筋の位を守った。上手も△54銀とし、△42銀~△64銀と位を守る。このように、位を取ったらその位を守ることが基本の指し方である。
さて、無事に位を守れたが、玉の守りが手薄である。どのように囲ったら良いだろうか。
二枚落ち戦では、上手に大駒がないため、攻められるとしたら上部からだ。よって、78金、68銀、58金と上部を守るカニ囲いがおすすめだ。
本来は▲69玉と寄ってカニ囲いの完成だが、本局では積極的に▲77銀と上がった。次に▲66銀とすれば、55の地点は46銀、66銀、88角の3枚が利くことになり、54銀、64銀の2枚で支えている上手を上回ることができる。いわゆる数の攻めだ。
上手はその展開を嫌って△65銀右と上がってきた。上手の金駒が五段目まで進出してきて怖いところだがどうするか。
▲66銀とぶつけるのが良い手。△66同銀▲同角と進めば、次に▲41銀の割り打ちや、▲55銀の狙いが残る。上手は△76銀と歩を補充しつつかわしたが、▲44歩~▲55銀右から快調に攻める。金銀交換を成功させた後、▲46飛と引いたのがポイント。△73桂に対してどうするか。
▲44歩~▲55銀が狙いの構想。△55同銀▲同角と進めば、76の銀取りと、▲71銀△同玉▲73角成の2つの狙いがあり下手成功だ。
よって、本譜はじっと△65銀引~△54銀と辛抱された。ぐずぐずしていると△43歩で受け止められてしまうので何とか攻めを繋げていきたいがどうするか。
▲43金と打ち込むのは、△43同金▲同銀不成△45歩の切り返しがあり、少し危険。
ここは強引に▲53銀成~▲41飛成と飛車を成り込んでしまうのが分かりやすい。次に▲61金からの即詰みがあるため、△51歩を底歩で受けたが、▲21竜と桂を補充して下手大成功。次に▲33角成とされては上手に勝機がないため、△55銀打と必死の抵抗。さあ、相手陣の急所はどこだろうか。
上手の陣形は5筋にズラッと駒が並んでおり、5筋から攻め崩すのには骨が折れる。一方、7筋に目を向けると金駒が1つもいないため薄そうだ。よって、▲75歩の桂頭攻めが急所の一手だ。
上手も△65桂~△72歩としっかり受け、△47銀打と遂に反撃をしてきた。急に反撃されると嫌であるがどうするか。
▲76香~▲49桂としたが、桂馬で受けるのは安定感に欠けるため、あまり好ましくない。代えて、▲48歩と打ってしまうのが一番分かりやすかった。以下△58銀成▲同玉で上手の攻めは切れている。
本譜は再度△47金と打ち込まれ、少し嫌なところ。▲68金打では千日手になってしまう。どうするか。
▲48金打が好手。△58金に、今度は▲58玉と取り返すことが可能。48の金が47の地点を守っている。
上手も△78金~△55銀上~△89金と逆サイドからの攻めを狙ったが、▲54銀が決め手。△64銀引には、▲64同角△同銀▲71銀△同玉▲51竜で寄り形だ。
本譜は、△77桂成と下駄を預けたが、▲53銀成△同金▲42銀で上手玉は必至。△66桂~△67成桂~△66銀と王手をかけたが、▲66同玉ではっきり詰まず上手の投了。下手の快勝譜となった。
二枚落ち戦でプロ棋士に勝つのは非常に大変だと思うが、この将棋を参考にしていただければ幸いだ。
棋譜鑑賞用↓