ライター・まつぼっくりの初段への道の企画、前回は矢倉について解説した。
今回は将棋ウォーズの10分切れ負けから、対振り飛車の将棋を解説していきたいと思う。
先手:まつぼっくり 後手は相手。
初手から。
後手が四間飛車できたのに対して、先手はエルモ急戦にした。まつぼっくりはエルモ急戦がだんだん得意戦法になってきたようだ。
前回指した将棋は振り飛車側が△32銀型で、▲35歩△同歩▲46銀の仕掛けだった。△32銀型にも▲46銀もあるが、△45歩と追い返されてしまう。△45歩のとき▲35銀と出れるようにするための▲35歩だった。今回振り飛車は△43銀型なので今度▲46銀に△45歩が指しづらい。▲33角成に△同銀と取れないからだ。△32銀型と△43銀型の形の違いを察して指し手を変えていて、このあたりはエルモ急戦に慣れている。
後手は△63金と高美濃を完成させたが、ここでは△32飛や△22飛と備える方が無難だった。△22飛は見慣れない手だが、▲35歩に△同歩と取れるようにした手。▲同銀△34歩に▲24歩がきかず、▲46銀と撤退させることができる。歩交換は許すが一旦落ち着くので△63金から駒組をするゆとりがある。
本譜は▲35歩をみて△45歩の反撃をしたが、▲33角成△同桂▲34歩(単に▲57銀引もある)△同銀▲57銀引として、次に▲24歩があり先手が指せる形勢だ。
後手は△46歩から反撃したが先手の対応が適切ではっきり良し。最後の▲23歩成△同銀の図で、本譜の▲33角も優勢だが、▲37歩として次に▲48金を見せればそれまでだったようだ。これは見えづらい手だ。
後手の△27歩から△36角成は先手の飛車を押さえ込む良い手。先手も嫌な格好だ。ここは冷静に▲28飛と引いておけば怖いようでも何もなかった。△26歩には▲39香で歩切れがたたるし、△27歩も▲38飛でこれも後手は歩が足りない。▲28飛とじっと辛抱する手は相手に手番を渡すし、飛車もせまく怖い手だが、その不安を上回るほどに読みと自信が求められる。「何となく怖いから」の感覚に救われる局面もたくさんあるが、「何となく怖いけど自分の読みでは大丈夫」という局面もたくさんある。
本譜は▲37香とアクロバティックな切り返しで、△同桂不成なら▲23飛成と取れる仕組み。しかし、△27馬▲32香成のときに△49馬と金を取られてしまった。仕掛ける前に▲59金と離れ駒をなくす手を入れてなかった弊害が出てしまった。
将棋の局面は一期一会なので、ちょっとした形の違いで手が全然変わってくる。▲49金型には▲49金のメリットもあるしデメリットもある。▲59金でも同じことがいえる。その形のメリット、デメリットを理解して、その形を生かすような、または咎められないような指し方をするのが理想だ。
以下は横からの攻め合いになって、先手が足りない。△59馬は小ミスで、▲同銀△同金▲77玉とすれば悪いながらも何が起こるか分からない終盤戦だった。
【まとめ】
この一局を振り返って、先手は仕掛けでうまく立ち回った。後手の角を消して▲24歩を実現させるのは居飛車の理想といえる。一方で振り飛車は中盤でごちゃごちゃした戦いに持っていけるかが大切になる。△46歩から△47角はもたれた指し方で、相手の方も振り飛車に指し慣れているのを感じる。
▲37香のうっかりは残念だが、▲28飛と辛抱するのが怖いという気持ちも分かる。もう少し読みに重点を置いても良さそうだ。
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