今回は6月25日から行われている社団戦で指した将棋を解説する。

社団戦は、初心者からアマ強豪まで、様々な将棋指しが集まる大規模な大会で、7人制の団体戦である。

1部から7部までで構成されており、今回私は上から二番目のリーグの2部で参加させていただいた。

1日4局で、この将棋は初戦の対局。持ち時間は15分30秒なので、超長考派の私にとっては苦手な早指しだが、久しぶりの将棋大会にワクワクしていた。振り駒の結果、後手となった。

初手からの指し手

戦型は角交換四間飛車。△52金と上がった手を見て角交換をして向かい飛車に振り直された。△74歩は地味に大事な一手で、▲86歩△同歩▲同銀と動かれた時に、△33角▲77角△73桂を用意している。こうなると先手の銀がこれ以上進撃することができない。

本譜は▲66銀と銀を中央に使った。次に▲75歩から動く狙いだが、どう対応するべきか。

△33角と打ったが、これは角を手放すのでもったいない対応。代えて△64歩とし、▲75歩△同歩▲同銀にそこで△44角と打つのが基本的な対応。△64歩と突いてあるため、▲66銀には△65歩で痺れる。よって、▲66角と合わせるぐらいだが、△66同角▲同銀に再度△44角と打ち、次の△65歩を狙うのが良い。

本譜の△33角には▲77桂と跳ねられて簡単に受かってしまった。以下は駒組みとなったが、角を手放している分後手の作戦負け。最後△24歩に代えて△73桂と跳ねたいところだが、▲71角から馬を作られてしまう。先手は△73桂と跳ねたのをみて▲71角と打つのが大事なポイントで、桂が跳ねてない状態で▲71角と打つと、△72飛▲26角成に△75歩から桂頭を攻められてしまいまずい。本譜の△24歩は仕方ない一手であった。

▲56歩や▲46歩など、色々考えられる局面だが、さっそく▲85桂から仕掛けてこられた。△85飛とすぐ取り返せるため、知らないとびっくりする一手だが、△85同飛に▲86歩とし、△82飛なら▲85歩から飛車先を伸ばしていくのが狙い。後手は歩切れのために受けづらいのがポイントだ。本譜の△45飛と横に逃げる手には▲82角から香を取り返して手を作っていく。後手は△73桂~△65桂で捌きを狙う。本譜は▲46歩としたが、▲68金とし、△66角▲同歩△57桂成の筋に備えておく方が有力だった。

本譜の▲46歩も狙いのある一手。後手はどう対応すべきか。

△46同飛に▲65銀が先手の狙い。91に馬がいるため、この銀を取り返すことができない。しかし、そこで△88歩▲59飛△49飛成▲同飛△65銀としていれば後手が有利だった。駒の損得は飛香と金銀の交換だが、後手玉が鉄壁なのが大きい。

本譜は▲65銀に△55角と切り返したが、▲47歩が冷静な受けで、はっきり駄目になってしまった。最後▲28玉と寄られた局面は銀と角桂香の交換という悲惨な状況に(笑)後手の主張点は端歩を詰めている点と、先手が歩切れな点なので、敗勢だがそこだけは死守しなければならない。ここからどうするか。

敗勢の時に暴発するのは負けを早めてしまう。逆転のコツは囲いの変形。△23銀は銀冠への組み替えを目指した一手で、上部に厚みができれば△35歩と突いて攻めやすくなる意味もある。しかし、▲46香から飛車を取られたのは痛い。ついに駒の損得は銀と飛角香の交換という前代未聞の駒損になってしまった。しかし、それでも最後まで諦めない。△32金~△44歩~△43銀と上部への厚みを増やしていく。ただし、△43銀に代えて△31銀と打ったほうが粘り方としては良かったと後から反省。32、42のどちらにも利いているし、31の地点を埋めることにより、先手から▲31銀と打つ手も防いでいる。

さて、先手から見ると勝勢でどう勝つか悩むところだがどうするか。

▲44香は疑問手。後手に手がないことを見越して、▲39玉と唯一のウィークポイントである端から遠ざける手や、▲64馬△同歩▲42銀と絡んでいれば先手がはっきり勝ちだった。

本譜は△61香が痛打。馬が取れて一気に差が縮まったが、次の一手を間違えてしまった。

△66香は悪手。代えて△56歩として王手で角を打つ筋をちらつかせるのが良かった。

本譜の△66香は、▲66同歩と取り返せば△45角が飛車金両取りになって良いのだが、当然▲41馬が厳しい一手で、次の▲31銀が分かっていても受からない形になった。△31佳と打っても▲42銀で受けにならない。あわてて△42歩としたが、▲42同飛成△同金▲31銀とされていたら後手玉は崩壊していた。

しかし、本譜は▲42同馬だったので、△31桂と打つことができた。今度は▲42銀と打つ手が消えており、一気に後手玉が見えなくなった印象だ。▲62飛成まで進んだ局面は逆転模様。ようやく楽になってきた。

△56歩がやはり急所。▲32銀成~▲41銀とされたが、△57歩成ではっきり後手が勝ちに。先手は▲32銀成△同角▲41銀としたいが、△17銀以下長手数の詰みがある。

あの必敗形をひっくり返すことができて興奮状態。しかし、30秒将棋は何があるか分からないので再び身を引き締めた。

▲12歩から端に嫌みをつけてきたが、△42歩が冷静な一手。この歩を取り返すと△64角で王手飛車だ。

その後も正確に指し、△58金を見て先手投了。劇的な逆転勝利を収めることができた。反省点は沢山あるが、奨励会で培ってきた粘りの技術と諦めの悪さが生きて勝つことができたので良かった。

なんとか初戦を取ったので、2局目にも気合いが入った。

棋譜鑑賞用↓

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