前回の初段への道はライター・まつぼっくりの敗戦から弱点を探った。今回は勝った将棋からいいところ、伸ばすべき長所を探したいと思う。

前回の初段への道

将棋ウォーズ10分切れ負けの将棋から使わせていただいています。

先手が相手の方で、後手がまつぼっくり。

初手から、

序盤の一つポイントとなるのは後手の△94歩だ。ここでは先に△31角とする手も考えられた。

以下は進行例。

先手は矢倉に囲いたいので▲68角と引きたいが、▲77銀が間に合っていないので△86歩から歩の交換ができる。

後手だけ歩の交換ができるのでうれしい。進んだ図は先手は銀冠に組めたのが主張になり、後手は歩の交換ができたのが主張になる。

△75歩がいい動き。歩交換できるのは後手の得になる。

後手はこの形を目指すのが理想になる。攻めの飛角銀桂がすべて使えている。先手としてもこの形を許したくないので▲65歩から反発する。対して△84飛はどうだったか。▲46角のラインを気にした手だが、飛車が浮ついて良い形とは言えない。

代えて△42角は考えられる。以下は進行例。

△42角と一回引いて機を見て△64歩と反発する狙いだ。常に△64歩の反発は考えられるが、後手玉が41なので、当たりも強く、ひとまず矢倉囲いを完成させることをおすすめしたい。最後▲46角と出た手対しては△64歩、△74歩、△92飛のどれもあるところ。▲74歩を消しておいて、次に△45歩▲37角△44銀から△35歩と角を狙うイメージ。

△84飛に対して先手は▲46角としたが、△82飛型ならば▲74歩の狙いがあったが、△84飛型なのでやや効果が薄かった。▲57銀を優先したい。

▲46角に△44歩ー△45歩はいい反応で、先手の角が急所の駒だと見抜いている。先手の▲65歩もそうだが、相手に理想の形を作らせない指し方だ。

△35歩も角を狙った手で、先手の角よりも後手の角の方が安定していて後手好調の流れだ。しかし最終手の△95歩は甘く、先手の飛車角にプレッシャーをかける手を指したいところだった。△44銀や△43金右、△36歩▲同飛△44銀なども考えられる。△34銀が一目ではあるが、▲55歩と後手の角を狙われるので微妙なところ。

本譜、△95歩▲57銀に△64歩▲同歩△65歩が素晴らしい一手だった。△64歩▲同歩△同銀とすると▲65歩で△73銀と撤退させられるので、未然に▲65歩を消しておいて位を確保する良い手だった。次に△64銀とすれば安定する。先手の▲76銀に△86歩としたが、ここは当然△64銀としておけば後手が指せる形勢だった。本譜はせっかくの△65歩を取られてしまった。

残り時間は相手が5分に対して、まつぼっくりは2分30秒ほど。10分切れ負けの将棋は内容だけでなく、時間の使い方の戦略もあるので、焦りが出てしまったようだ。将棋ウォーズの切れ負け将棋で、目の前の勝利を考えると時間の使い方の戦略は大切だが、「強くなる」という視点でいくと最善を指す自分が良いと思う手を指すということを意識した方が良い。ただ負けたら熱くなるのも当然で、時間と内容の塩梅は人それぞれだ。

お互い残り時間が減ってきてからバタバタした将棋になった。まつぼっくりはかなり形勢が苦しかったが、諦めずに最後まで頑張ったと思う。最後まで何が起こるか分からないのが将棋だ。

最終盤の図。後手玉には詰みがある。残りはお互い30秒ほどだが、今までのお互いの実力からして冷静さがあれば読み切れたはずだ。

▲31角と打って詰んでいる。△32玉に▲42金が好手だ。焦っていると△49竜のききを見落としやすい。以下△21玉に▲23飛成で詰みになる。

本譜は▲21金と王手したが△13玉と逃げられて詰まない。まつぼっくりの逆転勝ちとなった。

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↓↓↓棋譜並べ用↓↓↓

【まとめ】

△75歩からの動き、相手の▲65歩はお互い主張がぶつかった。理想の形を目指したい、理想の形にさせたくないがぶつかっている。そんな中、まつぼっくりの△44歩~△45歩、△35歩の一連の流れは相手の理想の形を阻止する良い手順だった。

特に良い手だったのが△65歩。実力があっても発見するのが大変な手だ。ただ△65歩は△64銀まで指せてセットの手なのでそこは惜しいところ。

前回の将棋もそうだが、まつぼっくりは歩の使い方に特徴がある。歩の使い方がとてもうまい。歩の扱いがうまいと、攻めも受けも強くなる。まつぼっくりは攻めの傾向が強いが、受けに回っても強さが発揮されると思う。

一方で銀の扱いが不慣れだ。本局もだが、銀が活躍していない。銀は攻めの要なのでうまく使わないと攻めが頓挫してしまう。銀を使った手筋や攻め方を覚えると銀が扱いやすくなるはずだ。

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