今回は奨励会5級のときに指した将棋を紹介します。この局面は△53銀型の急戦矢倉の序盤戦で、後手の私が△33銀と上がったところ。先手としては離れ駒ができたこの瞬間に仕掛けていきたい。

▲65歩△同銀▲73角成△同桂▲82角△42金右▲91角成△22玉。

▲65歩~▲82角で香得が確定。簡単に先手が良くなったように見えるが、△42金~△22玉が初めてみる方には驚きの手順で、定跡となっているもの。先手は香得で馬も作れているのだが、玉が不安定で歩切れが痛い。後手は守りが堅く歩を三歩持っているのが大きいため、形勢はバランスが取れているとされていた。ただ、うまく指せば先手が良くできるようだ。どうするか。

▲57銀△14歩▲68玉△84角

▲57銀は中央を厚くして良さそうだが、実は微妙な一手で、△39角と打つ手が生じていた。以下▲38飛△57角成▲同金△76銀▲同銀△同飛の局面は、△65桂と跳ねる手が残っているし、飛車を追われても△75飛で次に△25飛と回ることができるため、先手が受け切るのは大変だった。▲57銀に代えて▲82馬△14歩▲83馬と、飛車にプレッシャーをかける手が有力だった。以下△64飛▲73馬△56銀▲68金引で後手の攻めを受け止められそうだ。

本譜の△14歩は終盤に備えた手で、将来の▲24歩△同歩▲23歩△同金▲15桂の攻め筋を防いでいる。△84角は次に△55歩~△56歩と中央からの攻めを狙った手。先手はどのように対応するか。

▲75香△44飛▲73香成△55歩▲83成香△57角成▲同金△56歩▲58金△57銀▲同金△同歩成▲同玉△56歩▲48玉△57金▲59玉△47飛成▲39桂。

▲75香~▲73香成は攻めを呼び込み危険だった。代えて▲92馬△44飛▲83馬と角にプレッシャーをかける方が良かっただろう。

本譜は飛車を成ることに成功して良くなった。▲39桂と竜を追っ払いにかかったがどうするか。

△48金▲同飛△同竜▲同玉△28飛▲38銀△57歩成▲49玉△58と▲同玉△38飛成▲48歩△57歩▲同玉△56歩▲58玉△39竜▲55馬△57銀▲67玉△75桂▲同歩△69竜

こういう所で△44竜と逃げてしまうとおかしくなる。△48金~△28飛が厳しく、後手優勢に。以下はそのまま押し切った。

△53銀型の急戦矢倉ならではの感覚が問われる将棋で難しいが、その感覚を知っているかどうかで形勢に差が付きやすい戦法なので、得意戦法の1つにしてみても面白いかもしれない。攻め将棋の方にはオススメなので、是非試しに勉強してみてください。

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