奨励会3級のときに指した将棋を紹介します。この局面は一手損角換わりの中盤戦で、先手の私が▲44銀とぶちこんだのに対し相手が△42歩と受けたところ。駒の損得は無いが、玉の固さは先手に比べて後手は薄いし、駒の効率も後手の飛車の働きが悪くはっきり先手が有利だろう。ここからどうやって有利を拡大していけばよいだろうか。

▲35歩△同歩▲24歩△同歩▲35銀△33銀▲25歩△34歩▲44歩△54金▲56歩△同銀▲24歩△22歩。

この局面で、▲43銀成と金を取ってしまうと△43同歩で後手玉が安全になってしまう。▲35歩〜▲24歩〜▲35銀がうまい攻め方。後手玉は2筋が弱いので、そちらでの攻めを見せつつ、次の▲44歩を狙っている。後手は△33銀と守りを固めたが、▲25歩が良い感触の次歩。△25同歩と取ると▲25同桂で、33の銀に当たってくる。後手は目障りな銀をどうにかしようと△34歩と打ったが、▲44歩が良いタイミングの突き出し。△44同銀引は▲44同銀△同銀▲24歩△22歩▲29飛でまずいので、△54金とかわしたが、▲56歩~▲24歩が好手順。△35歩と銀を取ると▲23角が王手銀取りとなる組み立てで、後手はここも△22歩と受けるよりない。

ここまで気持ち良く攻めて調子が良かったのだが・・・

▲25桂△35歩▲33桂成△同玉▲34歩△同玉▲32角△46桂。

▲25桂が調子に乗りすぎの一手で、悪手。敵陣には侵入したが、自ら入玉の手助けをするような形になってしまった。実戦も入玉をされて敗北。この時の私は「中段玉は寄せ難し」という言葉を知らなかったのか。今振り返っても頭を抱えてしまうような悪い見本だ。

では▲25桂に代えて何が良かったのだろうか。

▲46銀△55金▲同銀△同角▲59飛△57銀成▲同飛△46角▲58歩△56銀▲88玉△57銀成▲同歩。

▲46銀が冷静な一手。駒が下がっておかしいようだが、次に▲57歩で銀の捕獲を狙っている。受けるには△55金ぐらいだが、▲55同銀△同角に▲59飛が好手。△46角▲88玉△57角成は▲55角~▲68金打、△46角▲88玉△57銀成は▲79角△56銀▲58金で先手優勢。単に△57銀成はしゃれた一着だが、▲57同飛△46角▲58歩△56銀に▲88玉が冷静。飛車と金銀の二枚替えで、後手は相変わらず飛車の働きがイマイチなため先手優勢だ。

うまくいってる時こそ、自分に酔いすぎないように(?)盤面全体を見渡して冷静になるべきだった。

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