三段リーグで指した将棋を振り返りたい。

本局は相手が三間飛車を採用した。中盤でリードを奪い、形勢良しのまま終盤戦に入った。勝ちを読み切れるか。

問題図(△92玉の図)

問題図は先手が私で、後手が相手だ。本当は相手が先手だが、分かりやすいように先後逆にして検討したい。

▲74桂打の王手に△92玉と逃げた局面だ。▲74桂打に△同歩は▲46角の王手飛車があった。

私の残り時間は5分を切っている。勝ちを読み切れるか。

ここで三択問題を出したい。最善を当ててほしい。

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三段リーグ

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△92玉の局面。先手の最善は?

最善は▲67金だった

手順 ▲67金△同歩成▲93銀△同玉▲75角△84銀▲85桂△92玉▲93香△同桂▲81角△同玉▲31竜。

すぐ▲93銀から詰ましにいくのは、△同玉▲75角に△84銀でも△84歩でも足りない。

そこで▲67金と一枚補充する。

対して△74歩は、▲66金△58金▲78銀△57桂▲88玉△69桂成▲46角が絶品で先手優勢。

△67同歩成に、▲93銀から入るのが重要だ。▲93香から入りたくなるが、△同玉▲75角△84歩▲同角△83玉で詰まない。このとき香を持っていれば、▲93角成△同香▲84銀以下詰む。

▲93銀に△同桂は、▲81角△同玉▲31竜△71銀▲82銀△同金▲同桂成△同玉▲94桂以下詰む。見えづらい詰まし方だ。

▲93銀△同玉▲75角に△84銀は、▲85桂△92玉▲93香△同桂▲81角でさっきと同じ詰まし方で詰む。

▲94桂を跳ねさせないように▲75角に△84金とするのは、▲85桂△92玉▲93香△同桂▲同桂成△同玉▲85桂以下詰む。

ちなみに、▲93香の入りでも△同玉▲82銀△同金▲75角△84金▲同角△同歩▲85桂△83玉▲82桂成△同玉▲94桂△同香▲93銀△同桂▲同桂成△同玉▲83金△同玉▲75桂の順で詰むが、難しい詰まし方で、初手▲93銀から入った方が易しい。

対局中、第一感は詰みだった。でも詰みを発見できない。焦りとともに、1分将棋に突入した。

本譜▲62桂成

手順 ▲62桂成△68香成▲88玉△78成香。

本譜は▲62桂成とした。この手が▲93銀以下の詰めろになっている。詰みが見えなかったので、確実な詰めろに切り替えたのだ。

しかし△68香成▲88玉に△78成香をうっかりした。

▲78同玉は△67金▲88玉△77金▲同玉△69竜で、後手玉がゼットになる。先手玉は詰めろで負けだ。

パニックに陥った。

ゼット・・・絶対に詰まない玉のこと。

手順 ▲97玉△77成香▲85銀△93桂打▲94銀△82金打。

▲78同玉は先手負けなので、▲97玉しかない。

△77成香が詰めろ逃れの詰めろだが、用意の手があった。▲85銀だ。これが△85桂を消しつつ、▲93銀以下の詰めろ逃れの詰めろになっている。

だが勝負は終わらない。△93桂打も詰めろ逃れの詰めろだ。対する▲94銀も詰めろ逃れの詰めろ。4連続の詰めろ逃れの詰めろだ。

▲94銀で残したかな、と思ったが、相手は1秒で△82金打と埋めてきた。

さっきよりもパニックに陥った。

本譜は▲72成桂

手順 ▲72成桂△同銀▲74桂△同歩▲64角。

本譜は▲72成桂としたが、これが悪手だった。△同金なら先手負けだった。▲84金としても△85桂打▲同金△同桂▲同銀で、後手玉の詰めろが途切れるので△69竜が間に合う。

しかし本譜は△72同銀と指してきた。これがお返しの悪手となった。

▲74桂が詰めろ逃れの詰めろ。△同歩が、△85桂打▲86玉△76成香▲同玉△75金までの詰めろだが、△75金を消す▲64角が、詰めろ逃れの詰めろ竜取りとなり、これが決め手となった。

最後はツキがあった。

では▲72成桂に代えて何が正着だったか見ていきたい。

正着の▲31竜

手順 ▲31竜△69竜▲93銀成△同金▲81竜△同玉▲72成桂△同玉▲82金△同玉▲74桂打△同銀▲同桂△同歩▲73銀△同玉▲65桂。

▲31竜が駒を渡さない詰めろだった。

△62金としても▲93銀成以下詰むので△69竜と詰めろをかけるくらいだが、▲93銀成から入って長手数だが詰む。

最終図までいけば、あとは追い詰めだ。

▲82金に代えて▲64桂△同銀▲63銀△同玉▲52銀△同玉▲44桂としても詰む。ただこの順は▲69歩が消えたから詰む筋で、△69竜に代えて△18竜や△88金とされると詰まないので注意が必要だ。

▲31竜は詰めろっぽいという感覚はあるが、1分将棋で正確に読み切るのは大変だ。

もう一つの先手の勝ち方

手順 ▲82金△同金▲94桂。

△77成香▲85銀△93桂打▲94銀△82金打に、▲31竜とすれば先手勝てた。

もう一つの先手の勝ち筋を見ていきたい。

△77成香に単に▲94桂は詰めろになっていないので、△84金や△74金と上部を厚くしつつ詰めろをかけられると先手負け。▲82金△93玉で詰まない。

▲94桂の前に▲82金という手があった。△同玉は▲72成桂で、△同銀は▲71銀以下、△同玉は▲61銀以下詰む。▲82金に△93玉は、そこで▲85銀と打てば△93桂打がないので分かりやすい。

よって△82同金になるが、▲94桂が詰めろ逃れの詰めろになる。

この順も先手勝ちだが、難易度が高いことには変わりない。

局面の結論と反省

問題図では▲67金と一枚補充し、△同歩成に▲93銀以下の詰みがあった。銀から入るのが盲点になった。

残り5分という状況で詰みを読み切れず、▲62桂成と確実な詰めろに切り替えたが、△68香成▲88玉△78成香をうっかりしてパニックに陥った。

勝ちを読み切れず保険で指した手は、読みの量が少ないので、うっかりが出やすい。

局面としては▲62桂成でも先手優勢だった。これはツキがあった。

7割8割詰みだと思えば詰ましに行くが、分からないのに詰ましに行くのは一番ダメなので、▲62桂成に切り替えることができたのは良かったと思う。

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