前回の続き。

※初手からの進行は上記の動く盤でご確認いただけます。

▲68銀まで、華々しい斬り合いがひと段落といった局面。
局面を整理すると

玉の堅さ・・・圧倒的に先手
駒の効率・・・やや先手(△93香、△42金、△21桂などがマイナス要因)
駒の損得・・・後手桂得
手番  ・・・後手番

となっている。ではどっちが有利かというと、意外に判断が難しい。
直線の殴り合いになれば間違いなく玉形で圧倒する先手が勝つが、お互いに手出しができず長引けば、駒得と△75歩からの桂頭攻めが残る後手が有利という状況だ。

双方に勝ちパターンにつながる主張がある場合は、優劣が判断しづらい。大味な進行のようで、両者とも繊細なルート探索を余儀なくされているのだ。

上図以下

すぐの攻めは大丈夫と見切って△19馬、そして▲22飛△41飛がこの一手の受け。
後手の人は攻め合いで勝てないことは百も承知なので、相手につけ入る隙を与えないことに全力を注いでいる。次は△55馬と引いて飛車を捕まえる狙いがあるので積極的な受けと言えるだろう。

▲46角と合わせて△55馬の狙いを防いだが、△同馬▲同歩の局面で再び後手の手番となり、うまく手を稼いだ印象だ。

手元の水匠5にかけてみると、▲46角に代えて▲54歩(△55馬なら▲42飛成~▲53歩成)か、次の▲24歩に代えて▲32角と打ち込むなど、局面の速度を上げるような手を多く示していた。

相手の攻めを遅延させ、駒得を維持拡大するという後手の狙いが実を結びつつあるのに対し、先手は殴り合いに持ち込めず堅さを生かせないでいる。その差が少しずつ形勢に響いてきており、▲23歩成の局面は後手に絶好の一手が発生している。

上図以下

と金に防波堤が破壊される寸前、根元の飛車に狙いをつける△55角が絶好の一手。
これで先手の攻撃陣は金縛り状態になっている。勢い▲32とから飛車の取り合いに進むが、3手かけた「と金」が駒得に結び付かなかったのは痛い。

△88桂成と利益確定した上図は、いつの間にか銀香得にまで駒得を拡大しており、その間後手陣はほとんど荒らされていない。後手の手を稼ぐ技術が光っている。

反面、相手の勝ちパターンに引きずり込まれてしまうと、超強豪でも自然な手の積み重ねでは抜け出すのが難しいということでもある。ソフトが推奨していた▲54歩や▲32角は、局面の流れをぶった切るような手で非常に指しづらい。

お互いに主張があるなかで、自然なセオリー通りの手を貫くべきか、相手の理想を阻むことに専念するべきかの判断が形勢を分ける。この辺りが「中盤戦が最も難しい」と言われる理由だと思う。

見事有利に持ち込んだ後手だが、最終図では角取りの処理をどうするべきだろうか。


次回に続く。

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