序盤編の続き

▲45銀△63銀▲56角△52玉。

本譜▲45銀と仕掛けた。

代えて▲68金右から玉を固めるのも有力で、多くの実戦例があるが、積極的に仕掛けたい方には本譜の▲45銀がおすすめだ。

▲45銀に対して、本譜は△63銀と引いたが、△55銀も有力。以下、▲47金に対して、△65歩が自然なようだが、▲56銀とぶつけるのが狙いの一手。銀交換になれば▲63銀の狙いができる。

よって、△65歩に代えて△84飛とじっと浮くのが有力だ。ここで▲56歩、▲56銀、▲56金など先手の手が広く、三浦先生の用意の手がなんだったのかは気になるところだった。

この仕掛けは研究してみると面白いのでおすすめしたい。

本譜は△63銀と引いたため、▲56角と設置。34の歩を狙いつつ、2 筋方面から攻めを狙っている。△52玉はその攻めの当たりを緩和する狙いの早逃げ。

▲34銀△同銀▲同角△54歩▲15歩。

先手は無事に34の歩を取ることに成功した。

そこでじっと△54歩と突いたのだが、攻める手も考えたくなる。例えば△49角はどうか。

以下▲47銀△38銀▲同飛△同角成▲同銀△39飛▲49銀打△19飛成と進行する。

変化

△49角▲47銀△38銀▲同飛△同角成▲同銀△39飛▲49銀打△19飛成▲56角△84飛▲88玉△15歩▲55角。

後手は角銀と飛香の交換で敵陣に竜を作れているのでまずまずな感じもするが、そこで▲56角が味の良い一手で先手良し。38の銀に紐を付けつつ、次に▲75歩からの桂頭攻めを狙っている。

後手は△84飛と受けるぐらいだが、▲88玉と入城をするのが大人の戦い方。

この手は、場合によっては当たりが強くなってしまう可能性があるが、この場合は▲75歩からの桂頭攻めを防がれた直後で、玉頭付近での戦いが起きにくいのと、後手の竜筋からかわしているため非常に味が良い一着となっている。

後手は竜を生かして△15歩と側面からの攻撃をするぐらいだが、▲55角が見えにくい好手。

先手は鉄壁の要塞を誇っているため、△54香の田楽刺しなど怖くない。したがって11の香取りを防ぐよりないが、△33桂と跳ねると▲45桂と跳ねられて困る。

以下△54香▲33角成△同金▲同桂成△56香▲同歩と進んだ局面は、後手は大駒を全て手に入れているが、先手は金銀6枚あって手厚く、後手玉を狙いながら更に金銀を剥がすことができそうなので先手がはっきり有利だ。

また、▲55角に△33香と受けるのは、▲45歩と角の逃げ道を作りつつ、▲44歩△同歩からの▲45桂や▲45歩の合わせを狙っていけば良い。

先手は角を渡しても安全なので、どこかで▲65歩△同桂▲同角△同歩▲91角成の強襲も有力だ。

△49角は有力に見えたが無理気味だった。

他に攻めるとしたら△65歩は考えられるが、以下▲65同歩△同桂▲66銀△64歩▲65銀△55角▲56銀△99角成▲88銀△同馬▲同金まで進み、これもはっきり先手が有利だ。

変化

△65歩▲同歩△同桂▲66銀△64歩▲65銀△55角▲56銀△99角成▲88銀△同馬▲同金。

△65歩~△64歩は角換わりではおなじみの手順だが、この場合は▲65銀とすぐ桂を取られて▲44桂の王手金取りを狙われてしまうため危険な攻め方になっている。

後手は▲65銀の瞬間に△55角と切り返す手があるが、▲56銀~▲88銀で再び▲44桂を狙われて後手がはっきり苦しい。

△88同馬▲同金の局面で△33銀などと受けても▲45角と急所の63の銀を狙われてしまう。

しかし、もしその局面で△54歩と突いてあれば△44歩で角をただで取ることができる。

本譜の攻めずにじっと△54歩としたのは次の△65歩からの攻めを目指す一手だったのだ。

そもそも、本譜▲56角のような筋違い角を打たれた時に△54歩と突くのは好手になりやすい。

先手が角を手放しているために▲26角~▲45桂~▲53銀のような攻めを食らう心配が少ないし、▲45角~▲63角成のような強襲や、▲55桂のような手も消すことができるからだ。

先手は黙っていると△65歩から攻められてしまうため、▲15歩と端から仕掛けた。

△33銀▲56角△15歩▲29飛。

この▲15歩に対して素直に△15同歩としてしまうと▲24歩△同歩▲12歩で後手まずい。

ここは工夫して受けるか手抜いて攻め合うかで、本譜△33銀と受けたが、ここは攻め合った方が良かった。

攻め合いの中では△65歩が最有力だ。△49角はやはり無理筋で、△54歩型のために角を渡すと▲35角~▲45桂のような攻め筋を与えてしまうため、理にも合ってない。

△65歩に対して▲65同歩だと△65同桂▲66銀△64歩と進み、互角の形勢だろう。

後手は△54歩と突いてあるために▲45角のラインが無くなっているし、どこかで△44角と急所に角を設置することも可能になっている。

また、先手も▲45桂と跳ねて圧力をかける手はあるし、いつでも▲65銀と取れるのは大きい。

△65歩に対しては、無視して▲14歩と取り込むのも有力だ。

△33金とされた時に角をどこに逃げるかだが、▲45角がこの形では好手のようだ。普通は▲45桂と跳ねる余地を残す意味で▲56角と逃げる所なのだが、△55銀▲24歩△同歩▲45桂△32金▲24飛に△42角が好手で後手も戦える。

変化

△65歩▲14歩△33金▲56角△55銀▲24歩△同歩▲45桂△32金▲24飛△42角。

△42角は飛車取りにしつつ53の地点への守りを強化する一手。これに対して▲34飛と金取りに切り返そうとすると△31歩と受けられてしまい、次に△23金からの飛車取りが残るため先手忙しい。

また、▲29飛と下がるのも△28歩と叩かれる。▲28同飛には△56銀▲同歩△37角が激痛だし、▲69飛と逃げては後手玉への攻めが遠ざかっている印象だ。

しかし、これらの変化でも形勢としては互角だし、わざわざ▲45角とする意味は一見すると理解できないような気がしてくる。

▲45角に△44歩と突かれて結局▲56角と引くのでは▲45桂の狙いが消えているため明らかに先手の損に見えるだろう。

だがしかし、△55銀に対して▲24歩△同歩▲22銀という異筋の切り返しがあって先手が少し指しやすいのだ。

変化

△65歩▲14歩△33金▲45角△44歩▲56角△86歩▲同歩△55銀▲24歩△同歩▲22銀。

▲22銀に対して△32金とされた時に▲34角と王手で角を逃がすことができるのが△44歩を突かした効果。

▲22銀に△43金は▲24飛△56銀▲21銀不成で先手有利。

よって、▲22銀には△56銀と角を取るぐらいだが、▲33銀成△同桂▲24飛で次の飛車成が確定しているし、▲56歩も残っているため先手有利だ。

後手としてはこの変化は分が悪いので、▲24歩のところで△24同歩と取らずに△56銀と角を取る方が良さそうだ。

以下▲33と△39角▲29飛△57銀成▲33と△58成銀と進む。

変化

△65歩▲14歩△33金▲45角△44歩▲56角△86歩▲同歩△55銀▲24歩△56銀▲23歩成△39角▲29飛△57銀成▲33と△58成銀。

△58成銀に▲22飛成は△53玉▲43と△64玉▲62竜△57角成▲88玉△68金。
▲39飛は△57角▲88玉△39角成▲53歩△同金▲34角△62玉▲43と△87歩でどちらも難解な終盤戦に突入する。

後手としては上部脱出を狙える変化であり、勝負する価値はあったかもしれない。

本譜は▲15歩に△33銀▲56角△15歩と工夫して端を受けた。

△33銀▲56角△15歩▲29飛。

△33銀を打った効果で▲24歩に△同銀と取れるようになっている。

しかし、▲45桂がいつでも銀取りになってしまうし、本当は手持ちに温存して戦いたかったように思えるため、ここは先手が良く出来そうな局面だ。

本譜はじっと▲29飛。▲45桂と跳ねて時に△37角と打たれる手を未然にかわした損のない一手だ。

ここは代えて▲75歩とすぐに攻めてしまっても先手がはっきり優勢だった。

後手は桂頭をカバーしなくてはならないため、△84飛と浮くぐらいだが、▲76銀が好手。

位を保持しつつ、次に▲74歩△同銀▲75銀打や、▲74歩△同銀▲同角△同飛▲75銀打を狙っている。後手がこれを受け止めるのは困難だっただろう。

本譜の▲29飛で後手に巻き返す手があるかがポイントだ。

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