テーマ図

今回は先手で▲55角戦法を検討したい。後手の△55角戦法はこちらで検討した。違いは△32銀型か△43銀型かだ。

△32銀型は後手の飛車先が通っているので、△43銀型より振り飛車が捌きやすい。ねじり合いよりも、一直線の攻め合いの展開が多い。

①△63金

手順 △63金▲35歩△同歩▲46銀△36歩▲35銀△54歩▲77角△37歩成▲同桂△36歩▲24歩△37歩成▲26飛△31桂▲23歩成△同桂▲24銀。

まずは自然に△63金と受ける手から。対して▲46銀は、△54歩▲77角△82玉で▲35歩には△45歩と反攻できるので先手が仕掛けづらくなる。▲35歩△同歩▲46銀と勢いをつけて攻めるのが勝る。

△36歩とかわすのは手筋だが、構わず▲35銀と出る。△54歩▲77角△37歩成▲同桂△36歩で桂損になるが、▲24歩と攻めて先手ペースだ。

▲23歩成に△同銀も▲24歩△32銀▲34銀で攻めが続く。

手順 △54金▲88角△45金▲同銀△同歩▲24歩△同歩▲22金。

△36歩に代えて△54金から△45金と力づくで受ける手も考えられる。△54金には▲77角△45金▲同銀△同歩▲26飛△82玉▲16歩とじっくり指しても先手十分。

▲24歩△同歩▲22金は△32銀を取って飛車を捌く意図だ。▲22金と打つなら▲88角と引く方が勝る。▲77角型で▲22金だと、△77角成▲同桂△33銀▲21金△46歩▲同歩△同飛▲55角△49飛成▲33角成△46角▲48飛△89銀の筋が気になる。壁銀だが、▲88銀の格好の方がこの場合は固い。

最終図は先手指せる。

②△63銀

手順 △63銀▲88玉△43銀▲77角△74歩▲66歩△73桂▲78金△45歩▲67金右。

次に△63銀とした変化を見ていきたい。これには先手は2通りの指し方がある。まず1つ目は、△63銀で美濃囲いが崩れたので▲88玉から穴熊を目指す順だ。

最終図で△72銀と引くと、よくある穴熊対美濃囲いの図だが、先手は▲88角→▲55角→▲77角で1手損、後手は△72銀→△63銀→△72銀で2手損。トータルで先手の一手得になる。

最終図から先手が無事に穴熊に組めれば作戦勝ち。後手は△54銀左から藤井システム調に戦いたいが、▲24歩△同歩▲35歩△同歩▲65歩の仕掛けも視野に入る。後手陣が乱れているので怖いだろう。

手順 ▲35歩△同歩▲46銀△36歩▲26飛△45歩▲35銀。

△63銀にも同じように▲35歩△同歩▲46銀と仕掛ける手も有力。△36歩と伸ばす手に▲35銀と、△63金と同じ手順に進めるのもある。これも先手指せる。

もう一つ、▲26飛と浮いて次に▲35銀と出る手も有力だ。△63金型の場合は▲26飛に△82玉▲35銀△54歩▲77角△45歩と捌く手がある。この変化になったとき、△63銀型では薄くて後手陣がもたない。

手順 △45歩▲33角成△同桂▲35銀△34歩▲24歩△同歩▲34銀△46歩▲同歩△同飛▲24飛△49飛成▲22飛成△21歩▲32竜△14角▲33銀不成△32角▲同銀成△39飛▲68金寄△32飛成▲44歩。

△45歩は△32銀型を生かした反撃だ。△33同桂も工夫した取り方で、△33同銀は▲35銀△34歩▲24歩でむしろ当たりが強くなる。

▲22飛成までは一直線の攻め合いだ。▲22飛成に△14角は▲36歩が好手で、△同角▲59金引で△32銀の紐がなくなる。

△21歩は強気の催促だ。▲32竜に△14角が両取りになる。しかし▲33銀不成(または成)と切り返す。△58角成は▲同金△同竜▲77玉で後手の攻めが細い。

△32角▲同銀成△39飛で銀を取られるが、最後▲44歩と垂らして先手良し。先手駒得で、手番を握って攻めることができている。

手順 △33同銀▲35銀△44銀▲34銀△35銀▲38飛△36歩▲77角。

△33同銀は当たりが強くなると言ったが、▲35銀に△44銀とぶつける手は考えられる。▲同銀は△同飛で後手の飛車が軽い。▲34銀とかわすのが良い。

△35銀に▲77角は△33歩と打たれるので、▲38飛△36歩を入れてから▲77角と打つ。最終図以下、△44角は▲55歩。△46歩▲同歩△同飛は▲47歩△56飛▲11角成で先手指せる。

③△65歩

手順 △65歩▲66歩△同歩▲同角△43銀▲88玉△63金▲67金△62飛▲78金△74金▲77角。

最後に△65歩を検討したい。これには▲66歩△同歩▲同角と一歩交換しておくのが良いだろう。

▲67金に△74歩▲98香△73桂▲99玉と駒組すると、穴熊に組めたのが大きく先手作戦勝ちになる。△62飛から△74金は早い動きを目指した手だが、じっと▲77角と引いておく。

最終図は次に▲66歩と打てれば固い。先手持ちだ。

まとめ

今回は▲55角戦法を検討した。後手の△55角戦法と質が変わる。後手の△55角戦法は持久戦と急戦を天秤にかける指し方だったが、今回は基本的には▲35歩と仕掛ける姿勢だ。

△32銀型は振り飛車が捌きやすいが、攻め合いの展開になっても先手が指せる。これは▲55角と出て、△63金なら駒が偏るし、△63銀なら玉が薄くなっているからだ。

後手四間飛車に▲55角戦法は有力な指し方だ。

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