テーマ図

テーマ図は通常の三間飛車だが、後手の囲いの態度を保留しているのが工夫だ。後手は穴熊の可能性と美濃囲いの可能性がある。先手の手によって後手の指し方を変える意味だ。

▲98香の変化

手順 ▲98香△35歩▲99玉△51角▲88銀△36歩▲同歩△同飛▲37歩△34飛▲79金△33桂。

まずは▲98香の変化から。これには△35歩から石田流を目指す。▲98香ー▲99玉ー▲88銀と囲いの完成に3手かかるので、先手は早い動きに適していない。

一目散に穴熊を目指すが、その代わりに後手は△36歩から動いていく。最終図まで進むと後手十分の態勢だ。

この戦型では、石田流に組めれば振り飛車十分だ。先手としては石田流を阻止、または反発する指し方をしたい。

手順 ▲48銀△37歩成▲同銀△72銀▲16歩。

△36歩に▲48銀と引く手が有力だ。3筋に歩を打たずに頑張る意味だ。▲48銀に△15角▲36歩△同飛▲37歩△26飛となれば後手成功だが、△15角に▲59角と数で受ければ問題ない。

最終図は後手の石田流を阻止できている。△34飛なら▲68角と引いて次に▲35歩と打てる。

先手まずまずの序盤だ。△36歩に▲48銀と引く手は部分的に頻出する。応用できる手筋だ。

手順 △34飛▲55歩△同銀▲65歩△54歩▲64歩△同銀▲24歩△同歩▲46銀。

△36歩に代えて△34飛も考えられるが、これには▲55歩と反発する。△45銀とかわすと、▲65歩△同歩▲38飛△36歩▲同歩△同銀▲54歩△同歩▲35歩で先手良しだ。

△55同銀に▲65歩△54歩▲64歩△同銀▲24歩△同歩▲46銀と出る。次に▲68角や▲36歩△同歩▲35歩△32飛▲44角の狙いがある。最終図は先手指せる。

手順 ▲65歩△36歩▲同歩△65銀▲44角△33角▲同角成△同桂▲88銀△95歩▲同歩△76銀▲21角△54角。

△51角に▲65歩を目に付くが、△36歩▲同歩△65銀▲44角△33角と進んで振り飛車が捌ける。

△33同桂に▲67金と△76銀を防いでも、△49角が気になる。

最終図以下、▲32角成△同角▲31飛は△97歩▲同香△43角打で後手優勢だ。激しい戦いは振り飛車の望むところだろう。

手順 ▲78金△72銀▲67金右△51角▲65歩△同歩▲44角△33角▲同角成△同桂▲46歩。

△35歩に▲99玉と潜らず、▲78金△72銀▲67金右と駒組する手もある。▲99玉ー▲88銀の2手よりも先手陣が安定している。

これなら△51角に▲65歩と突きやすい。▲67金右と上がっているので、△65同銀の変化のとき未然に△76銀を防いでいる。

最終図は振り飛車が捌くのが大変で、先手持って指したい。

▲98香に△92香の場合

手順 △92香▲99玉△91玉▲88銀△82銀▲68金寄△71金▲79金△62金寄▲78金寄△72金寄▲68銀。

▲98香に△92香と上がると相穴熊になる。最終図を見ていただくと分かるように、先手の穴熊の方が固い。先手はスムーズに金を寄せることができる。

こうなると先手作戦勝ちだ。

▲67金の変化

手順 ▲67金△92香▲98香△91玉▲99玉△82銀▲88銀△71金▲78金△62金寄▲68銀△72金寄▲79銀右。

▲67金は穴熊の余地を残しつつ、△35歩なら▲78銀の一手で囲いを完成させようとする意図だ。▲67金を見て後手は穴熊を目指す。

先ほどは▲68金寄と金を寄せることができたが、▲67金と上がっているので▲68金引とすると一手損する。▲78金ー▲68銀ー▲79銀右と囲うが、先ほどより固さが劣る。

とはいえ4枚穴熊だ。最終図をどう見るか。

手順 △62飛▲36歩△45歩▲24歩△同歩▲65歩△同歩▲33角成△同桂▲24飛△66歩▲77金寄△28歩▲51角。

もう少し続きを見てみよう。△62飛は6筋を狙った手だ。これには▲86角と出ておいて牽制しておく手も考えられる。

▲36歩は次に▲35歩△同歩▲38飛の攻めがある。△45歩は▲38飛に△44角を用意した手だが、▲24歩△同歩▲65歩の仕掛けが成立する。

△66歩が金に当たるが、▲77金寄と逃げておいて後続が難しい。△28歩は▲同飛なら△27歩▲同飛△49角を狙った手だが、構わず▲51角が急所の一手。飛車が取れたら2枚飛車が早い攻めになるし、△61飛と逃げても手順に▲33角成と桂馬が取れて先手良し。

△62飛と6筋から攻めようとしているのに、先手から▲24歩△同歩▲65歩の仕掛けが成立するのはレアケースだ。

まとめ

△54銀型の三間飛車には振り飛車側に課題が多い。▲98香なら△35歩、▲67金には△92香という思想だが、いずれの変化も振り飛車が互角の戦いにできるか不明だ。

先手は▲98香と突っ張って指しても良いし、▲67金から相穴熊にしても先手不満ない序盤だろう。

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