第1図

後手が角換わりを目指さず、力戦調の将棋を目指すのは最近出てきた指し方だ。第1図以下の指し方はこちらで紹介した。

△14歩を突くことで、△64歩と突いたとき▲24歩△同歩▲同飛に△63銀と上がれるようにしている。

手順 ▲24歩△同歩▲同飛△63銀▲23歩△13角▲28飛△24歩。

△14歩の効果で、▲24同飛に△63銀と受けることができる。以下▲23歩△13角▲28飛には△24歩で何事もない。

テーマ図

手順 ▲16歩。

第1図になっても一局の将棋だが、△64歩を牽制する指し方がある。それが▲78金を省略して、▲16歩を突く工夫だ。

同じように△64歩と突くとどうなるか。

手順 △64歩▲24歩△同歩▲同飛△63銀▲23歩△13角▲28飛△24歩▲15歩△23金▲14歩△22角▲38銀。

▲24同飛△63銀と受けたとき、今度は▲23歩が成立する。▲68銀の効果で△13角▲28飛となったとき△57角成とできない。

△24歩の受けに▲15歩の攻めがある。

最終図▲14歩の取り込みが大きく、先手十分だ。このあとは▲27銀から棒銀を目指すイメージだ。

手順 △35角▲38銀△44角▲78金△34歩▲46歩△54銀▲47銀△33桂▲69玉。

△24歩では△35角とする方が勝る。以下は駒組になる。

最終図はこれからの将棋だ。▲23歩をめぐる攻防になる。▲23歩が垂れているのは後手も怖いところで、後手が好んで指すかは不明だ。

▲78金を省略し、▲68銀+▲16歩とするのは有力な指し方だ。対して後手にも工夫がある。それが△85歩を省略し、△84歩型で待機する案だ。

同じように▲68銀+▲16歩とすると何が違うだろうか。

手順 △34歩▲77角△同角成▲同銀△22銀▲38銀△33銀▲78金△64歩▲46歩△63銀▲47銀△74歩▲36歩△73桂▲68玉△42玉▲37桂△81飛▲96歩△94歩▲48金△62金▲29飛。

後手は△34歩から角換わりを目指す。△14歩+△62銀の当初の目的は角換わり拒否だが、通常型の角換わりより後手が少しでも得になるなら角換わりを目指しても良いという姿勢がある。

△34歩に▲77銀と上がると矢倉になる。後手は△33銀と上がる矢倉は目指せないが、現在先手の矢倉に対する後手の主流の対策は早めに動きを見せる指し方だ。

△34歩に▲22角成△同銀は先手が一手損する。▲77角△同角成▲同銀で角換わりになる。

以下普通に駒組すると△84歩型の分後手の手が広くなっている。

△84歩型を咎めるなら▲45桂速攻や▲37銀の早繰り銀が考えられるが、後手が△85歩と突けば結局通常の角換わりと合流してしまう。腰掛け銀をやりたい人にとっては不本意だろう。

▲24歩△同歩▲同飛△13角▲34飛△23銀▲36飛△57角成。

▲24歩と突けるかどうかは一つのテーマだ。▲24歩△同歩▲同飛に△35角は後手の飛車の横利きがないので▲34飛で困る。この場合△13角と反撃する。

▲34飛に△33歩は▲24角△同角▲同飛△35角▲28飛△57角成▲78金。△33銀は▲14飛△22角▲23歩△同金▲11飛成△同角▲56角で先手指せる。△23銀と上がるのが良い。

▲36飛に△57角成と馬を作ることができた。この局面は▲38銀△85歩が入っている場合で出てきた局面だ。その局面と比較してみたい。

比較

手順 ▲22歩△35歩▲26飛△22金▲24歩△34銀▲68銀△25歩▲57銀△26歩▲56角。

後手が△33銀と上がらず△62銀とするのは▲45桂速攻を警戒する指し方だ。

▲38銀△85歩が入っている場合だと、△57角成に▲22歩と打って先手指せる。△同金は▲31飛成なので△35歩と打ってから△22金と戻すが、▲24歩△34銀▲68銀で後手が困っている。

△84馬は▲56角△25歩▲46飛となって先手優勢。▲68銀に△25歩も▲57銀△26歩▲56角が好打だ。△34銀が受けづらい。

最終図以下△54飛は▲65角打△64飛▲34角で、どちらの角を取っても▲43角成が詰めろ飛車取りになる。

手順 ▲22歩△35歩▲26飛△22金▲24歩△34銀▲68銀△47馬。

同じように▲22歩と打つと、以下△34銀とかわされたとき、△57馬のうまい追い方がない。▲48銀は△67馬、▲68銀は△47馬と逃げられてしまう。

最終図は後手良しだ。

手順 ▲24歩△同馬▲22歩△35歩▲46飛△22金▲43飛成△52金▲46竜△34銀。

▲24歩△同馬を入れてから▲22歩と打つ手も考えられる。△35歩▲46飛△22金▲43飛成と進んで竜VS馬の構図になる。しかし、先手は歩損と手損をしている。

最終図は後手不満ない。

手順 ▲78金△64歩▲38銀△63銀。

▲16歩と突かないとなると▲78金になり、後手は無事に△64歩と突ける。

これで第1図に戻る。

先手は▲68銀+▲16歩と工夫して△64歩を牽制したが、後手も△85歩を保留した工夫を見せた。

どの変化も一局の将棋だが、こうした序盤の駆け引きが面白い。

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