基本図
序盤の駆け引きはお互いにいろいろある。▲58玉型は早い戦いに適しているので、▲58玉型を見て一歩交換をしておいて飛車を深く引き、持久戦を目指すのは後手の作戦の一つだ。後手は駒組勝ちを目指している。
△64歩に代えて△34歩も考えられる。しかし今度は▲24歩△同歩▲同飛で34の歩を狙われる。どうせ取らせるつもりなら△64歩の方が良いだろうという意図だ。
△64歩にも▲24歩△同歩▲同飛と取りに行く。このとき後手のプランをどうするか。
手順 ▲24歩△同歩▲同飛△63銀▲35歩△23歩▲26飛△74歩▲76歩△73桂▲37銀△62玉▲48金△52金▲36銀△81飛▲16歩。
▲24歩△同歩▲同飛に△63銀と紐をつけるのは自然な一手だ。このとき△14歩の効果で、▲23歩は△13角▲28飛△24歩で受かる。
△63銀には▲35歩と突く。この手が大きく、後手は簡単に△34歩と突けなくなっている。▲35歩自体は▲24歩△同歩▲同飛とする前でもできたが、単に▲35歩は△13角で回収される。
以下は一例の進行だ。後手は右玉に囲って戦場から離れる。先手は好機に▲25銀から▲24歩まで実現できれば良くできる。後手はその前にアクションを起こしたい。例えば最終図以下、△34歩▲同歩△44角▲同角△同歩(次に△55角)▲88銀△42銀のようなイメージだ。
形勢は難しいが、後手が勝ちづらい点と後手の最善手の難易度が高い点をどう見るか。後手を好んで持ちたい人もいるが、このような展開を避ける派も現れた。
そこで改良したのが△64歩取らせる作戦だ。
手順 △23歩▲64飛△52金▲35歩△34歩。
△23歩と打ち、あっさり△64歩を取らせる。一歩損するが、先手は飛車の動きで手損するので後手は手得する。△23歩に▲26飛と引くと問題なく△34歩と突ける。▲24歩と合わせる筋はあるが、今度は手損の攻めになるので怖くない。
△52金と上がった局面の仕組みが少し複雑だ。先手は▲35歩と伸ばしつつ、▲36飛や▲26飛と戻ることができれば満足の形になる。
しかしすぐ▲66飛と引くと△34歩と突かれてしまう。これではすんなり2筋に戻ることができない。
そこで▲35歩と突いてから▲66飛ー▲36飛や▲26飛を目指す。後手もすんなり許したくないので△34歩と頑張る。▲34同飛は△63銀。▲34同歩は△55角で後手良しになる。
先手が▲35歩と突かなかった場合の変化も比較してみたい。
手順 ▲65飛△63銀▲35歩△54銀▲66飛△34歩▲86飛△85歩▲36飛△35歩▲同飛△44角▲25飛△22銀。
▲65飛に△34歩なら▲35歩で、△52金に▲35歩△34歩▲65飛とした変化と合流する。しかし途中下車してくれたので▲65飛に△63銀とする変化が出てくる。
△63銀に▲35歩△54銀▲66飛は、いくら先手の理想形を実現したいからと言っても手損しすぎだ。
最終図は後手不満ない。△33銀から△34銀と盛り上がっていけば自然に作戦勝ちが見込める。
手順 ▲25飛△34歩▲76歩△44歩▲48金△42銀▲46歩△54銀▲37桂△43銀上▲47銀。
▲25飛と戻る手も自然だ。しかし▲25飛の格好も△33桂が当たるのでまだ安定していない。以下は一例。
最終図から攻めるなら、△35歩▲同歩(▲同飛は△33桂)△65銀▲77金△45歩や△33桂▲29飛△65銀▲77金△45歩の攻めが有力。後手が主導権を握っているだろう。
比較
似た形でこんな将棋がある。
よく似ているが、大きな違いは後手の7筋の歩が取られているか、6筋の歩が取られているかだ。
7筋の歩が切れていると△72飛とできるメリットはあるが、8筋のままで働きが良いのでそんなに大きなメリットではない。むしろ後手に7筋の歩があると▲74桂のキズがない、▲55角のコビンをケアしていると固い。
次に後手の銀の位置△64銀と△54銀はどうか。△45歩と突く展開になるなら△54銀型が生きるが、△65銀と出る展開になるなら大差ない。
6筋の歩が切れていると、将来△66歩と攻める余地がありそう。
このような展開になるなら6筋の歩を取らせた方が後手勝りそうだ。
先手は一歩得に満足して飛車を戻ると主導権を握られる可能性がある。先手はもう少し突っ張った指し方をしたい。
手順 ▲65飛。
差し出された△34歩は取れない。▲65飛と引いて、△55角を消しつつ▲35歩に紐をつける。先手の飛車をめぐる攻防が始まる。