目次
第1図
今回は△62銀を保留し、△54歩と△74歩の両方を優先する指し方を見ていきたい。
前回は△62銀と上がる指し方を見た。その変化はこちらから。先にこちらの記事から読んでいただくと、この記事の理解がより深まります。
第2図
ここで△54歩は▲46銀。△74歩は▲35歩△同歩▲26銀△34銀▲56歩と、後手の手に応じて先手は手を変えることができる。それなら△62銀を保留して、△54歩と△74歩の両方突いておこうとする意図だ。
第1図から▲46銀と▲35歩△同歩▲26銀の両方が対応できるかどうかが焦点になる。
第3図
手順 ▲35歩△同歩▲26銀△34銀▲56歩△43金右▲68角△42角▲35銀△64角。
まずは▲35歩△同歩▲26銀と仕掛ける順から。
△34銀に▲38飛△43金右▲35銀は△同銀▲同飛△34歩▲36飛△62銀で先手不満だ。銀交換はできたが、先手が手損になる。
▲56歩に△75歩▲同歩△72飛を狙うのは、△75歩に構わず▲68角△76歩▲35銀として先手指せる。この変化は第2図で△74歩とした変化と考え方が似ている。
後手は△54歩と突いてあるので、▲68角に△42角ー△64角がきく。▲35銀と出る前に▲46角と工夫しても△64角とぶつけられる。
最終図以下▲37歩は△35銀▲同角△36歩が嫌らしい。後手指せる変化だ。
手順 ▲38飛△43金右▲75歩△42角▲74歩△64角▲95角△41玉▲73歩成△同桂▲74歩△62銀。
面白い手順として、▲38飛△43金右▲75歩とする手もある。△同歩なら▲35銀△同銀▲同飛として次に▲75飛を狙っている。
▲75歩には△42角から△64角が良さそうだ。9筋の交換が入っていないので▲95角があるが、△41玉▲73歩成△同桂▲74歩△62銀で先手の攻めが軽い。
後手は桂損になるが、楽しみが多い。
▲35歩△同歩▲26銀の仕掛けは後手が対応できそうだ。
第4図
手順 ▲46銀△75歩▲同歩△72飛▲66角△53金▲77銀△64金▲76銀△62銀▲35歩△45歩▲37銀△35歩▲33角成△同桂▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲26飛。
△54歩を見たら▲46銀は雁木における一つの格言だ。理由は△54銀がないからだ。
▲46銀に△75歩▲同歩△72飛はよく出てくる反撃だが、▲66角と受けられたとき△62銀を保留しているのが裏目に出る。△62銀ー△73銀ー△64銀と繰り出すのに時間がかかる。
△53金で代用するが、攻めに金を使っているので後手玉が薄くなるのが気になる。
▲35歩に代えて▲68金上も有力だ。
△45歩に▲同銀と取ると△75金で、▲同銀△66角▲同歩△75飛で十字飛車だ。△66角に▲73歩も△同飛▲74歩△同飛▲同銀△99角成で後手良し。△75金に▲同角も△99角成で後手指せる。
最終図は▲37銀と引かせているのが後手の主張だ。先手は歩交換しつつ▲26飛と構えることができた。
△64金が手厚いのか、それとも薄くなっているのか難しい。評価分かれるところだろう。
手順 △53金▲35歩△45歩▲同銀△35歩▲56銀△62銀。
△53金は見慣れない手だが、上部を厚くした手だ。
▲35歩の仕掛けに△45歩▲同銀△35歩とする。
△54歩ー△53銀のとき、△45歩▲同銀△35歩とするのは▲56銀と引いておいて先手不満ない。△42玉から囲うと戦場に近づく意味があり、後手の駒組が難しかった。
△53金型ならば▲56銀と引いたあと、△62銀ー△73桂ー△52玉のようにバランス重視の形を目指せる。△53金型ならば△45歩としても駒組負けしないという主張だ。
このあとの駒組も見てみたい。
手順 △62銀▲46歩△73桂▲68金上△64歩▲45歩△52玉。
先手は▲33角成△同桂▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲26飛とすれば、歩交換しつつ▲26飛と引けるが、後手も△86歩▲同歩△同飛▲87歩△81飛と手順に下段飛車に構えることができるので一長一短だ。
最終図は先手がどう動いていくかが課題だ。先手が何もしないでいると、△81飛ー△63銀ー△62玉のように右玉のような格好になり、ますます先手が動きづらくなる。
具体的には▲75歩だ。△84飛と受けても次に△75歩とすると、▲74歩△同飛▲82角の筋がある。△75歩となかなか取れないので後手も覚悟がいる。
手順 △62銀▲35歩△45歩▲同銀△35歩▲24歩△同歩▲33角成△同桂▲54銀。
もう一つ△53金と上がる意味だが、△53金に代えて△62銀とすると▲35歩の仕掛けのとき△45歩とできない。
理由は△35歩に▲24歩△同歩▲33角成△同桂▲54銀が成立するからだ。△同銀は▲24飛で十字飛車だ。これははっきり先手良しだ。
手順 ▲46銀△62銀▲35歩△53銀▲38飛△64銀。
▲46銀に△75歩▲同歩△72飛と△53金を見てきた。
ちなみに▲46銀に△62銀ー△53銀ー△64銀と一目散に繰り出すと、第2図で△54歩▲46銀△53銀の変化と合流している。
後手がどの変化を選ぶかは好みだ。
第5図
手順 ▲46銀△62銀▲35歩△45歩▲同銀△35歩▲56銀△74歩▲78玉△73桂。
△54歩を見たら▲46銀の格言通り、▲78玉と寄らず▲46銀と繰り出す順も考えられる。しかし結局合流する可能性が高い。
△35歩に▲24歩△同歩▲33角成△同桂▲54銀は△55角がある。▲54銀に代えて▲44銀△同銀▲24飛△23歩▲44飛とする順はあるが、先手の飛車がいじめられる展開になる。▲44飛以下△55角は▲77角で受かるが、△53銀▲46飛△45銀とする順は有力だ。
最終図はさっきの変化と似ている。後手が△53金と上がれば同一になる。
▲46銀に△74歩▲35歩△45歩としても似たような感じだ。
△54歩に▲46銀と繰り出す順はあるが、▲35歩と仕掛けても△45歩で対応される。▲88銀が浮いているので▲54銀と出ることができない。▲78玉と寄れば▲88銀に紐がつくが、今度は△53金で▲54銀を消される。
▲78玉保留を生かすのは難しそうだ。
まとめ
△62銀を保留し、△54歩と△74歩の両方突く手を検討した。
▲35歩△同歩▲26銀△34銀▲56歩△43金右▲68角は△42角から△64角がある。これは後手が対応できている。
▲46銀の変化が本線だ。対して△62銀▲35歩△53銀は前回の変化と合流する。有力であるものの、△62銀を保留したメリットはない。
▲46銀に△75歩▲同歩△72飛は▲66角と受けられて、後手の銀を繰り出すのに時間がかかる点が気になる。
▲46銀に△53金の変化は、▲35歩に△45歩▲同銀△35歩▲56銀から駒組になる。△53金が上部を守っている。以下先手がどう打開するかが課題だ。