目次
第1図
今回は▲38銀と▲48銀を保留して、▲46歩とする順を検討したい。意図は2つ、①△33銀を上がらせたい。 ②△33銀を見たら▲48銀としたい、という狙いだ。
▲16歩△14歩の端の交換を入れて、▲38銀とするのは▲45桂ポンの急戦策を狙った作戦だ。
▲38銀型は▲48銀型に比べて金銀の連結が良い。飛車を切って攻めいったとき△29飛の打ち込みをケアしている。一方で△26角のラインができているが欠点だ。
▲45桂ポンの後手の対策として、早めに△74歩ー△73桂を急ぐ手が有力だった。
△74歩ー△73桂を急ぎ、△65桂を見せる。▲66歩とついたら△52金として、6筋に争点ができたので目標にしていく指し方だ。
その指し方の記事はこちらからご覧ください。
△74歩ー△73桂の指し方は後手有力の指し方だ。
そこで▲46歩だ。右銀の態度を保留することで、後手の△74歩ー△73桂を警戒している。
まずは△74歩ー△73桂とせずに後手が自然に駒組するとどうなるか。
手順 △33銀▲48銀△62銀▲36歩△42玉▲37桂△64歩▲35歩△同歩▲45桂△22銀▲15歩△同歩▲24歩△同歩▲同飛。
▲46歩に△47角の打ち込みは▲38角で大丈夫。
△33銀を見て▲48銀を選ぶ。
後手が自然に駒組すると、先手は▲45桂から仕掛けることができる。
▲38銀型でこの仕掛けをやりたい人が多いが、▲48銀型でも有力だ。▲48銀型は△29飛の打ち込みがあるが、△26角のラインがない。一長一短ある。
最終図も難解だが、▲45桂の仕掛けをやりたい、という意思は通っている。
第2図
手順 △33銀▲48銀△62銀▲36歩△74歩▲37桂△73桂▲45桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛△22歩▲15歩△同歩▲同香△同香▲12角。
△73桂に▲66歩や▲45桂に△22銀などの変化は上記の記事と類似する。
▲24同飛に△23歩は▲34飛で、△33桂は▲21角。△41玉は▲22歩△同金▲31角で先手良しだ。
△22歩はこの場合正着だ。
対して▲15歩の仕掛けが成立する。△15同歩に▲同香△同香▲12角まで進むと先手良しだ。
▲38銀型で▲15歩△同歩▲同香だと△42角が好手で後手良しになる。▲34飛に△15角が王手になる。▲48銀型なら王手にならないので、△42角が成立しない。
▲15歩には△52金▲14歩△65桂の攻め合いが予想されるが、▲15歩が取れない格好は後手嫌だろう。
▲48銀型のメリットは分かったが、なぜ▲48銀より前に▲46歩とするのか、その違いを見てみよう。
第3図
手順 ▲48銀△62銀▲36歩△64歩▲24歩△同歩▲同飛△55角。
▲48銀とすると、△62銀で△33銀を保留される。
対して▲24歩といくと△同歩▲同飛△33角▲34飛△42玉で、次に△86歩▲同歩△88歩と△28歩の両狙いになる。
▲34飛にすぐ△86歩▲同歩△88歩とするのは▲同銀と取られる。△42玉は32金に紐をつけた意味がある。
これが▲38銀型なら△62銀に▲24歩が成立する。同じように進んだとき、△42玉に▲78金と受けておいて問題ない。△28歩には▲17桂と逃げておいて△29歩成とできない。
▲36歩△64歩の交換を入れて▲24歩△同歩▲同飛も考えられる。今度△33角なら▲34飛△42玉▲39金と受けておいて、△86歩▲同歩△88歩は▲33飛成△同銀▲88銀で歩得の先手が模様が良い。
△86歩▲同歩△77角成▲同桂△86飛は▲87歩△同飛成▲96角のラインが生まれている。ここまで進めば先手優勢だ。
しかし今度は△55角がある。
以下▲46角は△77角成▲同桂△86歩。▲66角は△同角▲同歩△86歩▲同歩△88歩▲同銀△67角で馬を作ることができる。
先手が▲78金と上がれば△86歩▲同歩△88歩がなくなるので、次に▲24歩とできるようになる。しかし▲78金と上がると先手玉が薄くなるので▲45桂の仕掛けができなくなる。
よって▲78金を見たら△33銀と上がりやすい。
変化は多いが、つまり▲48銀だと△62銀と△33銀を保留される。▲38銀なら▲24歩といきやすいので△33銀と上がってくれる、というわけだ。
手順 △62銀▲24歩△同歩▲同飛。
▲46歩にも△33銀を保留することができるか、というテーマがある。
▲46歩に△62銀は▲24歩とできる。△同歩▲同飛△33角は▲28飛で問題ない。
飛車の横利きがあって、△86歩▲同歩△88歩ができない。
第4図
手順 △42玉▲24歩△同歩▲同飛△47角▲38角△同角成▲同銀△86歩▲同歩△88歩▲66角△33角▲同角成△同玉▲25飛△89歩成▲24角△44玉▲85飛△83桂。
▲46歩を見て△42玉は考えられる。
先手に早繰り銀の含みがあるときは玉が戦場に近づくので△42玉と上がりづらいが、▲46歩で早繰り銀の可能性がなくなったので、△42玉とできるようになる。
▲24歩△同歩▲同飛には△47角と打ち込む。
▲38角で消されるが、飛車の横利きがなくなるので△86歩▲同歩△88歩とできる。▲同銀は△33角で両取りだ。
△88歩に▲66角は切り返し。△13角なら▲28飛△89歩成▲15歩で先手良しだ。
△33角▲同角成△同桂だと▲88銀と戻され、△33角が消えている。怖くても△33同玉で先手を取りに行く。
進んで▲24角△44玉▲85飛△83桂とした局面は先手の攻めが細い。
これは後手指せる変化だ。
△42玉に代えて△64歩は▲24歩△同歩▲同飛△47角▲63角でお互い馬を作る展開になるが、先手だけ歩交換できているので不満ない。
手順 ▲28飛△65角成▲15歩△同歩▲13歩。
△47角に▲28飛と引く手が有力だ。△23歩と受ければ▲38角で消せる。
後手は△65角成と馬を作るが、▲15歩△同歩▲13歩と攻める。
△13同香は▲12角、△13同桂は▲15香がある。
△47馬としても▲15香△14歩▲38銀で先手指せる。
後手が嫌な格好だろう。
▲46歩に△33銀を保留するのは、後手に課題が残る。
第5図
手順 △33銀▲48銀△42玉▲36歩△64歩▲37桂△62金。
△33銀を保留するのを諦めて△33銀と上がる。その上で▲45桂を警戒する順はないか。
そこで現れたのが△62金だ。△52金のように備える方が手堅いが、△81飛ー△62金の格好を目指すとき一手損になる。
意味は難しいが、▲35歩と仕掛けた変化で効果が出る。
△62銀の変化と比較したい。
手順 ▲35歩△同歩▲45桂△34銀▲24歩△44歩▲23歩成△同銀▲34角。
△62銀のときと比べると分かりやすい。
手順中▲24歩に△同歩は▲66角△44角▲24飛が良い組み合わせで、△23銀は▲44飛。△23金は▲同飛成△同銀▲22歩で攻めが繋がる。
▲24歩に△44歩は▲23歩成で後手陣が崩壊している。
△23同金は▲22角、△23同銀は▲34角が激痛だ。
△62金となっていれば、最後▲34角がないので先手の攻めが細い。
最終図以下▲24歩△34銀▲23角は△43金▲34角成△同金▲23歩成△26歩で後手良しだ。
手順 ▲56角△86歩▲同歩△88歩▲24歩△89歩成▲23歩成△同銀▲53桂成。
▲24歩は無理筋だったが、▲56角は考えられる。
△86歩▲同歩△88歩に▲同銀は△55角のラインがある。
△88歩には構わず▲24歩として、△同歩は▲同飛△23金▲34飛△同金▲83銀で攻めが続く。
△89歩成に▲23歩成△同銀▲53桂成とした図は攻めが繋がっている。
▲23歩成に△同金は▲34角△同金▲21飛成で先手良しだ。
最終図以下△53同玉▲23角成△27歩▲同飛△36角や△53同金▲23角成△44角(▲68金と受けたら△23金▲同飛成△22歩とする狙い)が予想される。
手順 △89歩成▲23歩成△同金▲53桂成△同玉▲34角△同金▲21飛成△51金。
△62銀の場合に▲56角とするのは、進んで▲23歩成△同金で後手良しになる。
△62金の場合、▲21飛成のとき△71銀が受けづらかった。しかし△62銀の場合は▲21飛成に△51金と形良く受けることができる。
以下▲71銀には△33角がぴったりだ。
先手は△62銀なら▲24歩、△62金なら▲56角を使い分けることができる。
手順 ▲78金△74歩▲68玉△73桂▲47銀△81飛▲96歩△94歩▲48金△72銀▲29飛△63銀。
先手が▲35歩の仕掛けを見送った場合は駒組になる。
後手は銀を63に運びたいが、すぐ△72銀は▲71角と打たれる。
△74歩ー△73桂ー△81飛と構えてから△72銀と上がれば63に運ぶことができる。
最終図は角換わりの基本図に合流する。
△62金は▲35歩の仕掛けを警戒した手だが、それでも▲35歩は考えられる。駒組になっても後手が少々苦労している印象で、後手が選ぶかどうかは難しいところだ。
まとめ
今回は右銀保留の▲46歩について調べた。
意図は①△33銀と上がらせたい。 ②△33銀を見たら▲48銀としたい。
▲48銀にすることで、後手の△74歩ー△73桂を急ぐ指し方を牽制している。
▲46歩に△62銀や△64歩は▲24歩とできる。
▲46歩とついたことにより、早繰り銀の可能性がなくなったので△42玉と上がりやすい。これにも▲24歩は有力だ。
△33銀の保留を諦めて△33銀と上がると、▲48銀を選ぶ。
先手は▲45桂の仕掛けを狙っていく。△52金と上がれば警戒できるが、△81飛ー△62金と組むとき一手損する。
そこで△62金と工夫するのはアイディアだ。それでも▲35歩の仕掛けは考えられる。
▲46歩は先手有力の指し方だ。