目次
第1図
後手が△43銀ー△32金を保留し、△32銀型で構えて△74歩から△73銀や△73桂を急ぐのは最近注目されている指し方だ。
第1図のような図が後手のイメージだ。攻めの銀や桂馬の活用を急ぐことで、先手の早繰り銀を警戒する意味がある。銀よりも桂馬の方が攻めの足が早い、というのが後手の主張だ。
参考棋譜として、管理人VSたいちたの記事がある。その将棋はこちらから。
△43銀の雁木のときは、下の図がイメージだ。
先手は▲35歩や▲46銀ー▲35歩を狙っている。もちろんこの図も一つのテーマ図だ。
△32銀型に組むことができれば後手の作戦の幅が広がる。しかし組むまでに苦労がある。
今回は△32銀型に組めるかどうかに焦点を当てて考えていきたい。
第2図
手順 ▲46歩△43銀▲25歩△33角▲45歩△32金▲44歩△同銀▲58金右△85歩▲78銀△54歩▲79玉△62銀▲36歩△52金▲37桂。
一つは▲25歩を決めない、という工夫だ。
▲25歩を保留して▲46歩とつくことで、次に▲45歩の攻めを狙っている。
△43銀で▲45歩を防ぎたいが、それでも▲25歩△33角▲45歩の仕掛けができる。
以下△32金▲44歩△同銀で一回落ち着くが、先手は自然に駒組をして後手の△44銀が負担だ。
最終図は先手の作戦勝ち。
手順 △85歩▲45歩△86歩▲同歩△同飛▲78金△33銀▲44歩△52金右▲25歩△32金▲36歩。
▲46歩に△85歩も考えられる。
構わず▲45歩には△86歩▲同歩△同飛として▲78金を上がらせる。
先手は左美濃に組みたいが、先手の形が悪くなっている。
最終図は一局だが、先手は将来▲69玉ー▲68銀と形を整えることが視野に入る。
手順 ▲77角△43銀▲25歩△32金▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛△62銀▲78銀△74歩▲47銀△54歩▲58金右。
△86歩▲同歩△同飛▲78金の格好を嫌うなら、▲77角がよい。
△43銀▲25歩△33角は同じく▲45歩が成立する。
▲25歩に△32金は2筋の歩交換を許すが、攻めの銀を活用して▲77角を目標にする指し方だ。
とはいえスムーズに2筋の歩交換ができて先手不満ない。
▲77角では▲78銀も有力だ。
この変化は、△32銀に代えて△84歩ー△85歩を決める変化と合流している。
この手順なら後手は▲77角に限定できている。
第3図
手順 △33角▲47銀△85歩▲77角△62銀▲78銀△54歩▲56銀△53銀▲48飛△43銀▲79玉△32金▲36歩△52金▲58金右△74歩▲37桂△64歩▲35歩△同歩▲25桂△22角▲45歩△同歩▲22角成△同金▲66角。
△33角は▲45歩の仕掛けを警戒した手だ。しかし▲25歩を保留できているので、右四間飛車がやりやすくなっている。
以下駒組をして、▲35歩△同歩▲25桂がこの場合の打開の仕方だ。△22角ではなかった攻め方だ。
▲25桂△22角▲45歩を放置しても、次に▲44歩△同銀直▲33歩がある。
△45同歩には▲22角成△同金▲66角のラインで攻めが続く。
△33角は警戒した手だが、右四間飛車のとき後手が損をする。
つまり、先手が▲25歩を決めると後手は△32銀型に組みやすくなる。
▲25歩を保留して駒組をするのは△32銀型を防ぐ一つの対策だ。
第4図
手順 ▲46歩△32銀▲45歩△33銀▲44歩△同銀▲68玉△42飛。
もう一つは5手目▲46歩だ。
振り飛車にされると先手は形を決めすぎなので、これは居飛車党や雁木党の相手に有効になりやすい。
△32銀なら▲45歩とつく意図だ。
後手は△84歩と形を決めていないので、△42飛と回りやすい。
通常の四間飛車よりも先手が損しているが、居飛車党に振り飛車をやらせたメリットがある。
手順 △32金▲48銀△42銀。
▲46歩を見て△32金と上がり△43銀型の雁木を目指せば、先手は早繰り銀にできなくなっている。
この場合先手は右四間飛車で立ち向かうことになる。
5手目▲46歩は後手の作戦の幅を狭めているが、先手の作戦の幅も狭めているので一長一短だ。
まとめ
今回は△32銀型に組めるかどうかについて調べてみた。
警戒するなら、先手は①▲25歩を決めない。 ②5手目▲46歩とつく、のが有力だ。
①の▲25歩を決めないのはさりげない工夫だが、やりやすい。
序盤の▲25歩をつくかどうかだけでも、多くの変化が潜んでいる。
②の▲46歩は少々露骨だ。はじめから右四飛車を目指す人は有力な選択だ。
△32銀型にスムーズに組むのは難しい。