目次
第1図
△44歩は同型にした手だった。前回は▲45歩の仕掛けに対して、△同歩とした変化を検討した。
今回は▲45歩に△65歩とする手を見ていきたい。
第2図
△65歩に▲44歩△同銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛の歩交換をしておくのは自然だ。
しかし、後手に歩を渡すので△86歩▲同歩△85歩がある。これが△66歩と取り込まないメリットだ。
▲85同歩は△同桂▲86銀△47歩で、▲同銀でも▲38金にも△66歩と取り込んでおいて、後手の桂馬が使えている。
▲65歩△86歩▲84歩は△同飛に▲66角を用意した手だが、△47歩が急所のたたき。▲47同銀は△87歩成▲同金△84飛▲86歩△55銀左と進んで、中央を制圧できる。
▲38金とかわしにも△55銀左とぶつける。
▲43歩のたたきには、△同玉、△52玉、△33玉のいずれも有力だ。△33玉は当たりを避ける逃げ場所だ。
先手は中央の厚みで負けてはいけないが、▲66銀打とアタックしても△54銀や△46銀打と繋げておいて、これは千日手濃厚だ。
▲65歩△86歩▲84歩の変化は千日手の可能性が高く、先手不満だ。
そこで一回▲45歩と押さえる手が考えられる。
対して△33銀と引くと▲85歩△同桂▲88銀として、△55銀左のぶつけが消えているので後手の攻めが細くなっている。
▲45歩に△86歩の取り込みも、▲44歩△87歩成▲82歩△同飛▲86歩で先手良しだ。
▲45歩に△55銀左を誘い、▲同銀△同銀▲44歩△同銀と銀を引かせて▲63銀とする。
▲63銀に△86歩の踏み込みは、▲43歩△同玉▲45歩△55銀▲62銀不成△87歩成▲44金で先手良し。
△47歩をきかして△61金と引いた図は難しい。しかし△38角や△86歩の楽しみが残っていて、先手が好んで指す変化ではない気がする。
第3図
△65歩に▲44歩と取り込むと、△86歩▲同歩△85歩の筋が生まれ先手不満だった。
▲65同歩とする変化はどうか。
対して△同桂は▲66銀△64歩に、▲24歩△同歩▲25歩と今度は継ぎ歩ができる。これは先手良しだ。
▲24歩△同歩▲25歩に代えて、▲44歩△同銀▲45歩△33銀▲46角△63金としてから▲24歩△同歩▲25歩としても先手良しだ。
△65同銀が有力だ。
▲同銀と取ると、△同桂▲66銀△47銀で後手指せる。
よって▲55銀になり、△75歩▲63歩△52金でそこで先手の手が広い。
▲63歩に△72金とするのは、▲44歩△76歩▲45桂で先手良しだ。この変化は▲45歩に△同歩とした変化と比較すると、先手良しが一目瞭然だ。
△52金に▲72角の打ち込みは、△82飛▲61角成△76歩▲66銀上△同銀▲同銀△47銀で後手指せる。以下▲49金には△46角の追撃がある。△47銀に▲71銀は△84飛▲62歩成△48銀成と攻め合えば良い。
△76歩に▲88銀の辛抱も△31玉の一手が味良い。▲64銀には△46角がぴったりだ。
▲72角はうまくいかない。
次に▲75歩と戻す手はどうか。△76歩に▲66銀上はやはり△同銀▲同銀△47銀がある。
△76歩▲88銀に対して、△54歩が見えづらい好手だ。▲64角は△53金▲73角成△55歩で後手大丈夫だ。
▲46銀と引くのは△64角がある。▲64銀かわすのも△46角で銀の動く場所がない。
▲62歩成△同飛▲63銀成はあるが、△同金▲72角△82飛▲63角成△52銀で今度は馬の行く場所がない。
これは後手が指せる変化だ。
△54歩には▲44銀になりそうだ。
▲44銀に△84飛は、▲64角と▲72角を消した手。
対して▲79玉と引いておく。△67歩のたたきや上部のプレッシャーを緩和した手だ。
▲79玉以下△66銀は▲69飛で先手良し。△66角も▲33銀成△同桂▲74銀△同銀▲64角の筋を狙うことができる。
▲79玉の図は先手十分に考えられる。
△52金に▲72角は後手指せる。△52金に▲75歩は先手選ぶ価値あり。
最後に△75歩▲64銀とする変化を見てみたい。
△76歩に▲73銀不成と踏み込む。しかし△77歩成以下攻められて先手悪い。
最終図▲62歩成に△43金右とかわした格好が固い。
第4図
▲65同歩の変化も考えられたが、後手に攻められる展開になるので、先手不本意という見方もある。
そこで△65歩に▲79玉とする手が有力だ。
▲79玉に△66歩▲同銀△86歩から一歩交換すると、▲24歩△同歩▲25歩で先手十分だ。
この変化は、△65歩に▲44歩とした変化と理屈が一緒だ。
後手は△66歩と取り込みづらい。
つまり▲45歩△65歩の仕掛けた図は、次にお互い▲44歩、△66歩と取り込みづらいという面白い局面なのだ。
△35歩▲同歩△66歩として△36歩を狙う手には、▲44歩△同銀▲24歩から攻めて先手指せる。
最終図▲36歩とした図は先手良しだ。
△35歩とつくなら、△66歩▲同銀△35歩の手順の方が難しい。
しかし、▲44歩△同銀▲24歩△同歩に▲63歩が急所のたたきだ。△同銀取らせて▲43歩△同玉▲35歩と戻した図は先手指せる。
▲43歩を入れずに▲35歩と戻す手も有力だが、△43歩と埋められる。先に▲43歩としたのはそれを警戒した手だ。
▲79玉に△45歩と戻す手はどうか。
▲同銀△55銀▲35歩△同歩▲34歩△22銀と進む。
そこで▲56歩△66銀▲44銀とする手も有力だ。以下△47歩なら▲66銀△48歩成▲63銀と攻め合う。際どい勝負だ。
▲56歩もあるが、△22銀には▲65歩と戻す方が勝りそうだ。△同桂と攻めを呼び込んで▲63歩△72金▲56歩と催促する。
△77桂成▲同金となって駒損するが、後手陣は壁銀でかなり傷んでいる。
先手指せる変化だ。
第5図
▲79玉にさらに△31玉と同型を維持する手もある。▲79玉△31玉が入ると、▲44歩、▲65歩の変化が大きく変わる。
玉の位置関係で、▲45歩△65歩の対処の仕方が変わるから面白い。
この局面は次回調べてみたい。
▲45歩△65歩▲79玉△31玉とした局面は、▲45歩と仕掛けずに▲79玉△31玉▲45歩△65歩とした図と合流している。
▲45歩と仕掛けずに▲79玉だと△41飛が工夫の一手だ。▲45歩には△52玉で対応できる。
▲45歩と仕掛けずに▲88玉と囲うと△31玉で、▲45歩の仕掛けを封じている。あとは△22玉ー△31玉ー△22玉を繰り返して千日手を狙う。
後手の△44歩は▲45歩の仕掛けを誘っている意味がある。