今回は研修会C2クラスのときに指した将棋を解説していきたい。
CクラスからBクラスへは大きな壁があり、私自身苦労した思い出がある。
Cクラスになると奨励会入会や女流棋士が見える位置にもなり、一局の重みもかかってくる。
今回は平手の対局。先手が相手で、後手が私だ。
序盤
先手は三間飛車で来た。最近も流行しているが、昔からある戦法だ。
対して後手は急戦策を選んだ。持久戦を目指すのもあり、棋風によるだろう。攻めるのが大好きな人は、急戦を選んでガンガン攻めたい。
本譜は△53銀左に▲98香と上がった。後手の角のラインを避ける、振り飛車党なら覚えておきたい一手だ。
しかしここではもっと優先すべき手がたくさんある局面だった。▲98香は後からでもよい。
▲46歩から▲36歩と美濃囲いを膨らませるのは価値が高い。居飛車の駒組次第だが、▲47金ー▲37桂まで組めれば振り飛車十分の格好だ。
序盤は価値の高い手を優先して指す、ことが大切だ。
変化
△75歩は手筋で、▲同歩なら△64銀▲74歩△75銀と進出する狙いだ。
△75歩を見てから▲67銀と上がれば大丈夫だ。
最終図は次に▲88角のぶつけもあり、居飛車の仕掛けに対応できている。
本譜に戻る。
▲67銀は上部に備えた手だが、△64歩から△65歩と仕掛ける筋は有力だった。
▲68銀型で△64歩とついても、次に△65歩は▲同歩△77角成▲同銀で8筋が受かる。
▲67銀を見てから△64歩とすれば、次に△65歩▲同歩△77角成▲同桂となり、△86歩で8筋を破ることができる。
通常は△64歩に▲88飛と回れば受かるのだが、この場合▲98香と上がっているので△99角のキズがある。この筋には注意が必要だ。
△64歩ー△65歩の仕掛けを警戒するなら、▲67銀と上がらないか、▲98香と上がらずに▲88飛と寄れる格好にしておく。
ところが本譜△64歩ー△65歩の理屈に気づかず、当初の狙い通り△73銀から△84銀と棒銀を目指した。
しかしこうなると四間飛車の場合と比べて、▲68飛から▲78飛と回っていないので手損がない。
▲98香の一手も生きる展開になった。
▲45歩の一手は、将来▲46角とのぞく筋を見ている。この一手も頻出する手だ。
序盤の駆け引きはあったが、振り飛車まずまずの序盤に落ち着いた。
中盤
△75歩から仕掛けて、いよいよ戦いが始まった。
本譜は▲65歩から捌きにいったが、△77角成▲同飛△76歩▲同銀△22角と進んで、先手の飛車が負担になっている感じだ。
ここは▲68角がいい手だった。▲45歩と連動している。
通常は△76歩▲同銀△65歩が手筋で、▲65同銀で取れないし、▲65同歩も△99角成とできるのだが、この場合は▲46角で先手指せる。このための▲45歩だ。
△65歩に代えて△66角も▲67銀で飛車交換になる。飛車交換になれば、振り飛車の方が玉が固いので振り飛車ペースだ。
△86歩▲同歩△88歩も手筋だが、▲85歩△同銀▲88飛が切り返し。以下△76飛▲85飛と進んでこれも振り飛車が捌けている。
終盤
進んで▲84馬とした局面。まず形勢判断はどうか。
駒の損得は、先手の銀得だ。しかし後手は攻めの桂香が△24桂と持ち駒にある。これは意外に大きく、見た目以上に駒損に感じない。先手は歩切れなのが気になる。
駒の効率は、お互い遊び駒なく働いている。後手は手順に▲98香を回収できる展開になると嬉しい。
玉の固さは先手。手番は後手。
トータルはだと、駒の効率は互角で、玉の固さと手番でプラマイゼロ。駒の損得が重要のカギになるが、やはり銀得の実利は大きく、やや先手持ちか。
本譜は△15歩▲同歩△17歩としたが、急所を外している。
▲17同桂△36銀に▲25銀が「桂先の銀」の格言通りで好手だった。「桂頭の銀」とも言う。
▲25銀は受けだけでなく、攻めにもきく攻防手だった。
代えてどう指す方が良かったか。
変化
△36桂では△44歩から逆襲も有力だが、一足も早く王手をかける方がより実戦的だ。
終盤は王手をたくさんかける、王手がかかる格好にしておくことが大切だ。
▲39玉に△78竜とプレシャーをかけておく。
▲37桂と跳ねたいが、その瞬間△26銀▲同歩△27桂があり、▲37桂と跳ねるには勇気がいる。
▲37銀打は△36桂を取りきる狙いだが、△35香でさらに厚みを加える。
ごちゃごちゃして受ける方も混乱するだろう。
正確に指されたら受け切られるかもしれないが、とにかく玉にプレシャーをかける指し方は重要だった。
本譜は▲25銀以下攻めを逆用され、一気に寄せ切られてしまった。
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