前回の続き

これまでは後手の早繰り銀に対して先手は腰掛け銀を目指したが、先手も早繰り銀を目指した場合も見てみたい。

第11図

以下駒組になる。

▲46銀で△75歩は▲同歩△同銀で、▲24歩△同歩▲25歩は△76歩▲88銀△64銀▲24歩に△同金と取られてしまう。

△75同銀に一回▲37桂になって、△44歩に▲24歩が考えられる。すぐ継ぎ歩ができないのを嫌う場合は先に▲16歩がより手堅い駒組だ。

このあたり、一手一手不透明な部分が多い。△32玉と寄るところでは△22銀の一手で駒組を済ませ、▲58金に△75歩と仕掛ける順も有力だ。△32玉はもうしばらく囲う作戦。

△33金型は23にきいているので、△22銀や△32玉の一手入れておくだけで▲35歩△同歩▲同銀に△34歩と追えることが多く、▲35歩に手抜いても▲34歩△同金となった格好が厚い。

これはこれで一局だが、先手早繰り銀と後手の△33金型の組み合わせは、△33金型の長所が生きそうだ。

第12図

さんざん△75歩と仕掛ける順を検討したが、△32玉と駒組する順もある。しかしこの瞬間に攻めないと▲66歩ー▲65歩▲65歩ー▲67銀が間に合う。

どちらも有力だが、▲67銀は穏やかな展開になるので先手は強く反発したいところだ。△73銀と引いたところで、▲77角や▲77桂、▲67銀右、▲67銀左などの分岐になる。

△33金型なので▲77角と打つ順も魅力だ。通常は△33銀だが、今回は受けの要である金を睨んでいる。▲77角以下▲36歩ー▲37桂ー▲48金のように駒組できれば不満ない。

一方で▲77角に代えて▲77桂とするのは、持久戦にして後手の形の悪さを主張する作戦。後手からの攻めが予想されるが、△33金型は上部に強いが、横からの攻めに弱い。攻められても反撃しやすい。▲67銀右なども同じような意味がある。

次の先手の手でその後の展開ががらっと変わる重要な岐路だが、どれも一局に近いので何を選ぶかは棋風だ。

ここまで△33金型早繰り銀を検討してみたが、後手が互角を維持できる順は少なかった。

後手は△33金型で早繰り銀を目指すよりも腰掛け銀を目指す方が本命だろう。先手後手ともにバリエーションは多いが、一つのテーマ図を評価してみたい。

第13図

お互い手なりに駒組した図。お互いの▲48金ー▲29飛、△62金ー△81飛の駒組も流行りの形だ。

第13図で▲45歩の仕掛けを警戒して、△41飛というマニアックな手もある。

▲45歩なら△同歩▲同桂△52玉がぴったりになる。しかし、玉飛接近形になるので▲75歩△同歩▲66銀△76歩▲75銀△63金▲45歩の仕掛けも気になるし、▲58玉△32玉▲66銀から▲55銀左を狙っても先手打開できる。

△41飛は▲45歩の仕掛けを間接的に防ぎ、千日手を視野に入れた手だが複数打開策があるのは後手不満だ。仮に△41飛に▲66歩△32玉▲79玉△22玉▲68銀△32銀▲77桂となっても先手不満ない。

△41飛に対して▲68銀ー▲67銀上と組み換えるのはよくある駒組だ。後手の△65歩の仕掛けを防ぎ、固くなっている。

△41飛では受ける展開になるので、後手は強く△32玉として、やってこいと▲45歩の仕掛け待ちたい。

△32玉に対して▲66歩とつくと

すかさず△65歩と先攻される。これも難しい将棋だが、先手は受け身になる。

もう一つ、▲79玉も自然な一手。

これも△75歩の仕掛けが考えられる。

以下進んで△35歩で桂頭を狙う。▲47角と受けても△34金で応援がきく。

最終図△41飛の局面次に△45銀を見ている。以下▲66角と打って難しいが、これも先手受け身なのが気になる。

やはり先手は妥協せず▲45歩と仕掛けたい。

▲45歩に△41飛と回るのは▲44歩△同飛▲45歩△41飛▲46角がいいラインで先手作戦勝ちが望める。

▲66銀△44歩の局面がちょっとしたポイントになる。

単に▲55銀左とぶつけると、△同銀▲同銀△86歩▲同歩△47銀がある。▲24歩に△同歩が入れば、▲47金△38角▲24飛△23歩(△47角成は▲23銀で先手良し)▲48金がぴったりになる。

しかしこの場合は手抜かれる。▲63銀から▲72角は挟撃の攻めで厳しいが、後手は△86歩を入れた効果で△86飛と走れる。▲63角成に△59角と打って、手数は長いが詰みになる。

よって▲24歩△同歩を入れてから▲55銀左とぶつける。これなら△47銀の変化が消える。

後手は△47銀と打てないので、ぼんやり△65桂と跳ねておく。先手は▲66歩と桂馬を取りに行きたいが、△86歩▲同歩△54歩▲64銀△45歩で、▲65歩に△66歩と垂らされるので味の良い取り方ではない。

△65桂以下も深く検討できるが、変化が膨大になり、やってみないと分からない部分もあるだろう。

まとめ

△33金型早繰り銀VS先手腰掛け銀で、①△42玉と②△94歩と持久戦バージョン。△33金型早繰銀VS先手早繰り銀。△33金型腰掛け銀VS先手腰掛け銀。の主に3つの変化を見てきた。

△33金型腰掛け銀VS先手早繰り銀など、まだまだ変化は多い。

△33金型早繰り銀には先手は腰掛け銀が有力だ。先手は早繰り銀にすると△33金型を生かされやすい。

後手が△75歩ときたら、▲24歩△同歩▲25歩と継ぎ歩をする。これはよく出てきた筋だ。①△42玉②△94歩のどちらも対応できた。△75歩と仕掛けない場合は▲66歩と銀を追う手が間に合う。

△33金型腰掛け銀には先手後手ともに、ちょっとした形の違いで変化が変わる。一つの案として先手も腰掛け銀にして▲45歩から打開するのが考えられる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA