前回の続き

第8図

▲66角は△44角と合わされても効果が今一つ。▲83角から馬を作る順だが、構わず△24金とされ、▲74角成に△72金で、次の手がない。△46金まで進むと後手の駒に勢いがある。先手の駒が前に行きづらく、大変な将棋だ。

代えて一回▲66歩とつくのが味わいのある一手。△24金には▲65歩△73銀▲74歩△82銀▲55角でしびれる。▲66歩に△25歩は▲同飛△24金▲28飛(▲85飛は△84歩で王手飛車がある)で、後手陣をまとめるのは大変そうだ。以下△54歩に▲83角なら合流する上に、▲45銀と変化もできる。

手順中▲45銀に△62金は▲34銀△同金▲22飛成△同銀▲71飛で先手指せる。△26歩から飛車を押さえるが、▲66歩△54歩を入れずに単に▲83角と打った変化と比べて▲54銀と出れるのが大きい。この変化は先手の気分が良いだろう。と言っても、先手▲88銀の壁では威張れないのでこの後も難しい将棋が続く。

第6図の△75歩に▲66歩の持久戦を有力と言ったが、△75歩▲同歩△同銀に▲45歩と持久戦を目指す手もある。▲46角に△64銀は▲66歩△54歩▲65歩と反発できる。△64銀に代えて△92飛なら大きな利かしになる。

△76歩ならば▲66銀とぶつけることができる。

▲24歩△同歩▲25歩の状態だと△76歩に▲66銀は△同銀▲同歩△25歩で歩損になったが、今度は▲66銀とできる。△75角は△86角と△66角の両方を睨んでいて怖い手だが、▲48玉とかわしておけば受かっている。しかし▲16歩と▲56銀の組み合わせの理屈が不明で、△75歩ときたら▲24歩から反撃する方が理にかなっている。

第9図

先手は▲56銀でも十分対応できたが、△51玉型を生かして△22飛から逆襲する変化があった。▲47銀型ならば、同じように△22飛まで進んだとき▲36銀と上がる含みを残し、対応しやすくしている。

▲16歩に△42玉は▲56銀で、端の交換は先手が得をしている。△94歩と△42玉は手の意味が被っている。今度△86歩に対応できるか。

ちなみに▲24歩とするところで、▲56銀とするとこの変化と合流する。▲88歩で、▲87歩も当然あるが、△82飛▲24歩△27歩▲同飛△54角の反撃がある。このとき▲47銀型なので角にプレッシャーがかかっていない、△87飛成の後△67竜と回られる、などデメリットがある。▲88歩も▲75角の先手になっている。最終図も先手不満なさそうだ。

△94歩に▲56銀か▲16歩は難しい判断だが、持久戦の変化を選びたくなく、かつ△22飛の変化を警戒するなら▲16歩だ。▲16歩は▲56銀よりも穏やかな展開になりやすい。

いろいろ比較しながら検討したが、どれも先手不満のない展開を選べそうだ。ここからはテーマ図だった第3図から外れて、いろんな手を検討してみたい。

第10図

先手が▲37桂を跳ねた場合だ。▲37桂と跳ねると常に△35歩が付きまとい先手はストレスだ。具体的にどう咎めるのか。

▲37桂に△75歩は▲同歩△同銀は▲24歩△同歩▲45桂で先手良しになるので、△44歩とつくことになる。

今までは△94歩と△42玉の比較をしていたが、▲37桂の場合は△44歩の後▲45歩と仕掛けることが予想されるので、このとき居玉の方が固い。第10図から△52金▲48金△42玉▲29飛のように駒組すると、先手の手の価値の方が大きい。後手は先手陣が整備される前に動きたい。

後手は△54角が急所の一手になるが、あまり早く打つと追われてしまう。△65角は▲48玉、△43角は▲58飛で、54に角がいないと△35歩の攻めがなくなる。よって先に△75歩から仕掛ける。

△75歩の仕掛けには継ぎ歩がおなじみの反撃。▲25歩でに対して、△86歩の銀交換もあり△26歩と垂らした局面は一局だ。▲同飛は△15角で困る。無難に指すなら▲23歩成△同金▲26飛△24歩▲48金だが、まあこれから、という将棋だ。

本当は△86同銀に▲83歩と反撃したいところ。しかし、△72飛とされても▲86銀は△15角があるので取れないし、△83同飛▲65角に△74歩▲86銀△同飛▲87銀△82飛▲21角成△32銀▲11馬△65角と、▲83歩△同飛▲65角に△92角と、切り返しが複数ある。先手はもっと得した駒組をしたいし、後手としても銀交換だけで一局になるのは不満だろう。

△35歩は待望の攻め筋。▲同歩は△54角で、△36歩を狙う。△22歩と受けた局面は先手の手が広い。▲65角とこのラインに先着する手もあるが、△32角▲47角△54角となって、後手の角の方が自由だ。

▲76歩で△64銀と引いてくれれば▲48金から再び駒組が間に合うが、当然攻めてくる。先に△54角は▲45歩△86歩▲同歩△同銀▲88銀とかわされてこれ以上前に進めない。

△86歩▲75歩に△87歩成は▲83歩△同飛▲65角が痛い。▲75歩のタイミングで△54角が工夫した攻め。これで駒損が回復する。まだまだ桂頭にキズが残る。

▲37桂型は攻めに生かす順よりも△35歩と攻められる順の方が多そうだ。

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