今回は角換わりで、右玉VS後手△22玉の形を検討したい。
先後逆の形でも現れる局面で、先後の違いについても注意して見ていきたい。
目次
第1図 テーマ図
手順 ▲66銀△86歩▲同歩△同飛。
第1図は先手番で右玉に囲っているのが珍しい。
右玉は▲48金ー▲58金を繰り返し、千日手歓迎で待機するのが考え方の一つだが、これは後手番の考え方だ。
先手番で千日手になるのは不満なので、先手右玉の場合は何か動きを目指す必要がある。
第1図から▲48金△54銀と進むと、こちらの記事で検討した変化に合流する。
その記事では後手が右玉だった。なのに同一局面になっている理由は、先手が▲48金ー▲58金と一手損したからだ。
あえて手損することで、後手の金の位置を調整している。
△62金型か△52金型かで攻め方が変わる。その違いについても、上記リンクの記事で検討した。
第1図から▲66銀と上がる。先手番らしい積極的な一手だ。
一方、▲66銀と上がると△86歩▲同歩△同飛と一歩交換される。
第2図 ▲55銀に△81飛の変化
手順 ▲55銀△81飛▲45歩△88歩▲77桂△89歩成▲44銀△88と▲68金左△87と▲66角。
△86同飛▲87歩△81飛となると、手順に△81飛と引きつつ一歩交換できる。
無事に一歩交換できれば後手作戦勝ちになる。
△86同飛に▲55銀と出て攻めを見せる。△54歩なら▲44銀△同銀▲77角で先手指せる。
▲55銀の局面が後手の分岐だ。
△81飛と引く手から見ていきたい。次こそ△54歩と突く狙いだ。
▲45歩には△88歩がまず見える。
だが、▲77桂△89歩成▲44銀(▲44歩は甘く、△88と▲68金左△87飛成で後手良し)△88と▲68金左△87と▲66角が好ポジションで形勢難解だ。
△87とに▲89飛△88と▲29飛なら千日手模様だが、▲89飛に△54銀と駒を活用されると後手指せる。
最終図以下、△77と▲同角△65桂▲66角△54桂▲55角とたくさん入るが、先手の角のラインを止めづらいので後手は丁寧に受ける展開になる。
第3図 良さを求めるなら△54歩
手順 △54歩▲44銀△42銀▲77角△31玉。
▲45歩に△88歩と打つのは形勢難解だった。
後手が良さを求めるなら、△54歩と突くのが有力だ。
▲54同銀△同銀▲72角は、△63角▲81角成△同角▲71飛△63角で後手良し。
▲44銀には△42銀と引いて銀挟みを狙う。
▲77角(▲66角は△65歩▲77角の交換が入り、将来△64角と打たれる)が気になるが、△31玉と引いておく。
最終図以下、▲87歩のような手だと△22角や△22金で何もできなくなる。
▲43銀成△同金右▲11角成△33銀となれば▲46香が厳しいのだが、▲43銀成△同銀▲44歩(▲11角成は△22銀▲12馬△33角で後手指せる)△33銀(△44同銀▲同角△33銀だと手順に▲66角と引かれるが、△65歩▲57角△64角の味が良く、これもある)▲43歩成△同金右で後手陣が厚い。
最終図から、▲53銀成△同金▲11角成△33銀が予想される展開だ。これなら▲46香を緩和できている。
後手は銀香交換の駒得だが、陣形を乱されている。
後手が好んでこの順を選ぶかは不明だ。
第4図 △81飛に▲84歩
手順 ▲84歩△15歩▲同歩△54歩▲同銀△同銀▲72角△84飛▲54角成△18歩▲同香△17歩▲同香△18角▲79飛△26銀▲28銀△35歩。
▲45歩以外の手も見ていきたい。
まずは▲84歩と垂らす変化だ。△同飛なら▲44銀△同銀▲66角とする狙いだ。
▲84歩に△15歩▲同歩△54歩とするのが好手順。
▲66銀と引くのは△84飛▲87歩△81飛としておいて、▲14歩に△15歩▲同香△17歩▲19飛(▲28飛は△19角)△26角で後手指せる。
1筋は右玉の急所なので、▲14歩の伸ばしは逆用できる。
△54歩▲同銀△同銀▲72角に△63角は、▲81角成△同角▲71飛△63角のとき▲83歩成とできる。
▲72角には△84飛が勝り、▲54角成に△18歩▲同香△17歩▲同香△18角と反撃する。
最終図は後手ペース。
▲84歩は後手の攻めを呼び込む。
第5図 △81飛に▲75歩
手順 ▲75歩△54歩▲同銀△同銀▲72角△63角▲81角成△同角▲71飛△63角▲74歩。
▲75歩も考えられる。△同歩なら▲74歩△同銀▲64銀とできる。
▲75歩に△54歩▲同銀△同銀▲72角△63角▲81角成△同角で銀得になるが、▲71飛△63角▲74歩と取り込んでどうか。
▲74歩に代えて▲73飛成とするのは、△35歩▲同歩△43銀の味が良い。以下▲55桂に△18銀と打って後手優勢。
最終図以下、△82角で飛車が狭いのが気になるなら、▲71飛に代えて▲83飛△63角▲74歩もあるところ。
▲55銀△81飛の局面で、▲84歩は△15歩▲同歩△54歩が好手順で後手ペースだが、▲45歩と▲75歩の変化は形勢が難しい。
ただ、いずれも後手が駒得になるので何とかしたい気もする。
第6図 ▲55銀に△65桂の変化
手順 △65桂▲66歩△54歩▲44銀△同銀▲65歩△55歩▲64歩△54銀▲87歩△76飛▲77金△75飛▲24歩△同歩▲23歩△同金▲41角△42金▲23角成△同玉▲76金打。
△81飛と引く手に代えて△65桂もある。▲44銀△同銀▲77角を消して、次に△54歩と突く狙いだ。
△65桂に▲66歩△54歩▲44銀△同銀▲65歩となって、後手は銀桂交換の駒得になったが、後手陣が乱れている。
▲77角の筋が復活したので、後手は何か受ける必要がある。
△81飛は自然だが、▲64歩△同銀▲72角と打ってどうか。
△55歩▲64歩△54銀(△同銀は▲97角で先手良し)と反撃含みに受けたいが、素朴に▲87歩で飛車の行く場所に悩む。
△82飛は▲71角、△83飛は▲72角△53飛▲45桂打、△84飛は横利きがなく、▲55歩△同銀直▲56歩△66銀(△64銀は▲66角)▲63歩成△同金▲67歩でも困る。
よって△76飛はやむを得ないが、▲77金△75飛▲24歩△同歩▲23歩△同金▲41角△42金▲23角成△同玉▲76金打で飛車が詰む。
最終図の形勢をどう見るか。
最終図以下△93角と打てみたいが、▲75金△同角▲31飛で難しい。
▲31飛までの局面を、後手を持って三段リーグで指したことがある。
本譜は▲31飛に△32角▲91飛成△39金▲同飛△27銀としたが、▲29玉で足りなかった。
一気の寄せは難しいので、▲31飛に△32銀▲91飛成△41歩と受けに回ることが予想される。
長い将棋になり、形勢は難しそうだ。
△81飛よりも△65桂が勝る、とも言いきれない。
テーマ図は後手が嫌な局面ではないが、具体的にどれを選ぶかは悩むところ。