今回は角換わり相早繰り銀について検討したい。

手順を追って見ていきたい。

目次

第1図 テーマ図

手順 ▲46銀△94歩。

第1図は先後同型の形だ。相早繰り銀と呼ばれる形だ。

相腰掛け銀と比べて、銀の足は早いが桂馬を活用する展開になりづらいのが特徴だ。

攻め駒は飛、角、銀、歩だけなので単調な将棋になりやすい

猪突猛進に攻め込む将棋ではなく、押したり引いたりの将棋になる。

第1図から▲46銀と出て、▲35歩の仕掛けを見せる。

対して△94歩が大切な一手だ。

代えて△64銀もあるが、▲35歩△同歩▲同銀△86歩▲同歩△85歩▲34歩△22銀(△44銀は▲同銀△同歩▲85歩で後手が歩損になる)▲46銀△86歩▲同銀の変化を与える。

最後△86同飛は▲95角が王手飛車だ。

▲46銀に△94歩なら、▲35歩△同歩▲同銀に△86歩▲同歩△85歩と継ぎ歩して後手不満ない。

第2図 ▲35歩と仕掛ける

手順 ▲16歩△64銀▲35歩△同歩▲同銀△86歩▲同歩△85歩▲24歩△同歩▲同銀△55角▲46角△同角▲同歩△24銀▲同飛△23歩▲28飛△86歩▲83歩△同飛▲84歩△同飛▲66角△82飛▲11角成△37銀。

▲16歩に△64銀と出た図は、また先後同型の形になっている。

△64銀にすぐ▲35歩と仕掛ける変化を見ていきたい。

△同歩▲同銀に△34歩は▲24歩△同歩▲同銀で先手成功の形なので、△86歩▲同歩△85歩と反撃する。

▲24歩△同歩▲同銀に△55角と打つ。

▲37歩は△24銀▲同飛△23歩▲28飛△86歩▲88歩△36歩で後手指せる。

▲46角△同角▲同歩と47のスペースを空けてから、△24銀▲同飛△23歩▲28飛△86歩と取り込む。

▲88歩と受けると、△36歩や△37歩(△38銀と打つ狙い)で後手ペース。

△86歩▲83歩△同飛▲84歩△同飛▲66角△82飛▲11角成に△87歩成は、▲同金△同飛成▲88香で竜を取って難しい将棋。

△87歩成を含みに、△37銀と打つのが好手だ。

▲同桂でタダだが、△36歩▲38歩△87歩成▲同金△同飛成▲88香のとき△78竜と潜り込める。

▲37同桂△36歩に、飛車の横利きをキープして▲26銀としても、△37歩成▲同桂△36歩▲26銀△34桂で後手指せる。

第3図 ▲24歩に代えて▲34歩

手順 ▲34歩△22銀▲66歩△86歩▲88歩△33歩▲65歩△同銀▲46角△64角▲68飛△73桂▲64角△同歩▲46銀△27角▲55銀△62飛▲75歩△63角成▲74歩△同馬▲66歩△54銀▲同銀△同歩▲86銀。

▲24歩△同歩▲同銀は後手指せた。

代えて▲34歩の変化を見ていきたい。

対して△44銀は▲同銀△同歩に▲85歩と戻して、先手が歩得になる。

△22銀と凹ませてから▲66歩と突く。

△86歩と取り込まれるが、先手も△22銀と引かせたのでバランスが取れている

▲88歩の受けに△33歩と合わせる。▲同歩成△同銀▲34歩に、今度は△44銀と出る。壁銀が解消できてば後手十分。

先手は△22銀がほぐれる前に攻めたい。

▲65歩△同銀▲46角△64角▲68飛が見慣れない動き方だ。

▲65歩に△73銀もあるが、▲33歩成△同銀▲46角で、次に▲75歩と▲24歩△同歩▲同銀△同銀▲同角を狙われるのが後手は気になる。

▲68飛△73桂の受けに、▲64角△同歩▲46銀と引いて次に▲55銀を狙う。

△27角▲55銀に△63角成は、▲18角△54歩▲33歩成△同銀▲66歩がある。

△62飛▲75歩に△63角成(△75同歩は▲86銀から▲75銀)と受けるのが勝る。

最終図は次に▲75銀打から▲74歩の狙いがある。△63馬と引いても、▲33歩成と歩を調達して、▲74歩△同馬▲75銀打ー▲74歩とできる。

形勢は難解だが、実戦的には先手が勝ちやすいかもしれない。

この変化は、こちらの記事でも詳しく検討した。

第4図 ▲66歩と突く変化

手順 ▲96歩△14歩▲66歩△75歩▲同歩△同銀。

次に▲96歩と受ける変化を見ていきたい。

対して△75歩▲同歩△同銀は、第3図と先後逆にして▲96歩だけ入っている局面になっている。

これはこれで難しいが、▲96歩の一手も大きいので後手としては指しづらい。

▲96歩△14歩で、また先後同型だ。

先手は▲66歩と突く。△55角のラインをケアしているので、次に▲35歩△同歩▲同銀△86歩となったとき▲同銀と取ることができる。

一方、▲66歩と突いたので、△75歩▲同歩△同銀▲24歩△同歩▲25歩のとき△76歩▲88銀(または▲68銀)に△66銀と歩を取られる変化が生じている。

プラス面もマイナス面もある。

第5図 △75同銀に▲76歩の変化

手順 ▲76歩△86歩▲同歩△同銀▲56角△77銀成▲83歩△68成銀▲同金△42飛▲35歩△同歩。

△75同銀に▲76歩と打つ変化を見ていきたい。

△86歩▲同歩△同銀に▲56角と打つのが狙い筋だ。

△77銀成に▲同金は△27銀で後手指せる。△77銀成を放置して▲83歩と叩く。

対して△72飛には▲77金ー▲88飛を狙い、△42飛には▲77桂と桂馬を活用する。

後手の飛車の逃げ方を見てから先手は取る駒を選ぶことができる。

だから後手も飛車を逃げる前に△68成銀と工夫する。

▲同玉なら△72飛、▲同金なら△42飛と回る意図だ。

△42飛に▲77金は△44歩▲88飛△45銀で後手ペース。以下▲同銀△同歩▲82歩成には△79角がある。

△42飛に▲77桂は△88角と打ち込める。

△68成銀と捨てることによって、▲77金ー▲88飛や▲77桂ー▲65桂の筋を警戒している。

△42飛に▲35歩△同歩とした図は、何気ないが先手の分岐点。

▲35同銀は△37歩▲24歩△38銀と打ち込む変化が予想される。

△35同歩に▲24歩と突いて、△同歩なら▲35銀△37歩に▲24銀と出ることができる。

しかし▲24歩に△同銀と取る変化が生じる。以下▲34銀△22銀▲77金や、△33銀打▲23銀成△同金▲同角成△27歩~△25歩▲28飛△34銀打でどうか。

後手は十分対応できている。先手が上手くいっているか微妙なところだ。

第6図 △75同銀に▲24歩の変化

手順 ▲24歩△同歩▲25歩△76歩。

次に▲24歩△同歩▲25歩と継ぎ歩をする変化だ。

△76歩に▲88銀と▲68銀のどちらもある。

第7図 ▲88銀の変化

手順 ▲88銀△66銀▲24歩△22歩▲68飛△84角▲86歩△同歩▲85歩△75角▲84角△同飛▲同歩△31金。

▲88銀に△44銀は▲24歩△22歩▲15歩△同歩▲13歩が気になる。△44銀ー△33桂と活用したいが、早いと咎められる。

△66銀と歩を取るのは自然な指し方だ。

他にも、△44歩▲24歩△22歩として、△42銀ー△43銀と立て直す指し方も有力。

▲24歩△22歩▲68飛に△84角と支える。代えて△75角は▲77歩、△93角は▲95歩で先手指せる。

▲15歩△95歩の格好なら▲68飛に△93角と打てるので、この変化になると後手が得している。

△84角▲86歩△同歩▲85歩△75角▲84角に△同角▲同歩△75角は▲83角で先手良し。

だから△84同飛が勝り、▲同歩△31金と引いた最終図は難しい。

△31金は▲82飛に△71金と寄れるようにしている。

最終図、後手は次に△57銀成の狙いが残っている。▲48金の受けには△73角と打って、△84角上や△46角▲同歩△57銀成を狙ってどうか。

▲88銀が壁銀なので、先手が怖い格好だ。

第8図 ▲68銀に△66銀の変化

手順 ▲68銀△66銀▲24歩△22歩▲25飛△44銀▲65飛△77歩成▲同桂△同銀成▲同金△74角▲66飛△47角成▲38銀△74馬▲45歩。

▲68銀に△86歩▲同歩△同銀は▲24歩△22歩▲83歩△同飛▲74角で、△73飛は▲56角、△82飛は▲83歩△62飛▲25飛で後手失敗だ。

第7図と同じように△66銀と取るのは、▲88銀型より▲68銀型の方が先手玉の守備力が高いので、▲24歩△22歩▲25飛のように強く戦うことができる。

▲25飛で△66銀が危ない。△35歩と突くのも、▲同飛△26角▲37角△35角▲同銀で先手良し。

最終図以下△33銀は▲55銀△52金▲76金から駒を押し上げていけば先手指せる。

▲45歩に△54桂は▲44歩△66桂▲同金△44歩▲23歩成△同歩▲55角が一例。飛車を渡すのは怖いが、先手が駒得なので上部を手厚くしながら指したい。

第9図 △86歩の変化

手順 △86歩▲同歩△同飛▲87歩△84飛▲24歩△22歩▲67銀△42玉▲37桂△52金。

第8図の変化は後手不満だった。

△86歩▲同歩△同飛▲87歩△84飛と歩交換しつつ、形を整えておくのが本命だ。

▲24歩△22歩▲67銀△42玉に▲15歩△同歩▲13歩は、△同香▲12角△31玉▲35歩(▲23歩成は△同歩▲同角成△24歩▲12馬△16歩で後手指せる)△同歩▲56角成に△16歩が好手で、先手の攻めを逆用できる。

▲37桂△52金となった最終図は研究課題。

▲25飛と浮いて△64銀に▲76銀と取りたいが、▲25飛には△35歩が好手だ。

対して▲35同歩は△24銀▲26飛△36歩▲同飛△28角で後手良し。

▲35同飛は△64銀と引いて次に△24銀を狙い、▲25飛には△34角と打って後手良し。

▲35同銀は△77歩成▲同桂△76歩▲65桂△64歩や、△64歩▲46銀△65歩▲同飛△64銀(▲25飛には△34角)とする順が有力で、後手も十分戦える。

すぐに▲25飛は戦果があまり上がらない。最終図から先手がどう駒組みするか、どう動きを見せるかに課題がある。

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