すぐに役立つ戦術を紹介したい。
今回は先手中飛車に後手が一直線穴熊に組んだ変化だ。
美濃囲いか、穴熊か
手順 ▲18香△12香▲19玉△11玉▲28銀△22銀▲39金。
先手中飛車に対して、後手は△74歩ー△73銀と繰り出す将棋が主流だ。
△73銀ー△64銀と繰り出して△75歩▲同歩△同銀を狙い、▲66銀と上がらせることで先手の角の働きを弱める。
一直線穴熊の作戦は早く囲えることが魅力だが、先手陣にプレッシャーを与えていないので、先手は▲56銀型に組める。▲56銀型は好形だ。
この理屈については、こちらの記事でも検討した。
図から▲38銀と美濃囲いに組み、△12香に▲65銀と棒銀をする作戦もある。
今回紹介するのは、▲18香から穴熊に組む順だ。
自然なようだが、▲56銀型+穴熊は珍しい指し方だ。
先手が穴熊に組む場合は、▲46銀ー▲36歩として▲35歩△同歩▲同銀と一歩交換したり、▲37銀引と固める将棋が多い。
最終図はお互い穴熊に組んだ。
△51銀を見たら▲45歩
手順 △51銀▲45歩△42銀▲44歩△同金▲48飛△43金引▲58金△44歩▲49飛。
後手は△51銀ー△42銀ー△31銀右と固めたいが、△51銀の瞬間に先手は▲45歩と仕掛けることができる。
△45同歩は、▲同銀△44歩▲54歩△42銀▲53歩成△同銀▲34銀で先手良し。
▲45歩を手抜いて△42銀が勝る。
以下▲44歩△同金▲48飛と回って先手好調のようだが、△43金引から△44歩と4筋を修復して難しい。
最終図はこれからの将棋だ。△31銀右と固めると、▲45歩△同歩▲54歩の仕掛けが気になる。
先手も▲48金寄ー▲38金寄と固めたいが、△24角の揺さぶりが気になる。
穴熊だが、お互いバランスを意識して指さなければならない。
早めに△51銀と引く工夫
手順 △51銀▲56銀△42銀▲46歩△43金。
後手がひたすら穴熊に組む順も難しかったが、△51銀と引いた瞬間に▲45歩と仕掛けられるのが気になる点だった。
後手は早めに△51銀と引く工夫がある。
早めに△42銀上まで組めれば、最終図から▲45歩は△同歩(先手の仕掛けが早いので、△22玉▲44歩△同金▲48飛△32金▲38銀△74歩のように反発する順も有力)▲同銀△44歩と収めることができる。
早めに△51銀とする作戦は、美濃囲い+▲65銀の棒銀にも対応できる。
▲56銀型+穴熊は珍しい指し方だが、作戦の一つに使えるだろう。