今回は横歩取りを回避して▲58玉と上がる変化を検討したい。
目次
第1図 テーマ図
手順 ▲58玉△52玉。
今回は▲34飛と取らずに▲58玉と上がる変化を見ていきたい。
後手が横歩取りに誘導してきたので、後手の研究を警戒して回避した意味もある。
▲58玉と上がる手については、こちらの記事でも紹介した。
▲58玉に△76飛は、▲22角成△同銀▲34飛△33銀▲84飛(▲36飛も有力)と回ることができる。このとき▲58玉と上がっているので△95角の王手飛車がない。
▲58玉に△84飛は、▲22角成△同銀▲66角と打つ作戦がある。以下△82飛▲83歩△52飛▲34飛として、先手は飛角の働きで勝負する。
▲22角成△同銀▲66角と打つ変化は、こちらの記事も併せて覚えておきたい。
▲58玉に△41玉や△42玉、△82飛のように形を決めてくれれば、そこで▲34飛と取って、後手の作戦の幅が狭くなっている。
▲58玉に△52玉は妥協しない一手だ。
対して▲34飛と取ると、△88角成▲同銀△76飛▲77銀△26飛(△74飛も有力)と回ることができる。さっきと同じ理屈で、▲15角の王手飛車がない。
△52玉に▲34飛とするなら単に▲34飛としたい。
第2図 ▲22角成△同銀▲77角の変化
手順 ▲22角成△同銀▲77角△89飛成▲22角成△15角▲21馬△24角▲32馬△86桂▲69金。
図から▲38銀や▲36歩は、今度こそ△76飛と取られる。以下▲22角成△同銀▲34飛△33銀▲84飛としたいが、▲38銀と▲36歩のいずれも不格好だ。
▲22角成△同銀▲77角の成否を考えたい。
△23歩は▲34飛△33歩▲86角△34歩▲84飛が受けづらいし、△33角も▲22飛成△同角▲86角で先手指せる。
後手は△89飛成と踏み込むよりなく、一気に激しい戦いになる。
▲22角成に△15角が用意の切り返し。▲25飛なら△33桂。▲28飛なら△27歩▲同飛△26歩で止まる。
対して▲32馬△24角▲21馬とすると馬が後手玉から遠ざかるので、▲21馬△24角▲32馬が良い取り方だ。
△86桂は部分的に厳しいが、先手は駒得なので▲69金としっかりと受けに回る。
第3図 先手持って指してみたい
手順 △28歩▲同銀△78桂成▲同銀△99竜▲25歩△26飛▲39銀△35角▲55桂。
△28歩は手筋で、先手陣を乱すことができる。
▲28同銀に単に△99竜と取りたいが、▲68金寄と逃げられる。以下△88歩が間に合えば良いが、▲55桂△62玉▲43馬△52金▲34馬△89歩成▲43銀が厳しく先手良し。
△78桂成▲同銀△99竜に▲55桂は△42金と受け、以下▲64桂△62玉▲42馬△同角▲43桂成△64歩▲42成桂に△46歩と反撃して後手指せる。
一回▲25歩と打ち、△35角ならそこで▲55桂と打てば、△42金は▲64桂△同歩▲63銀△51玉▲43桂不成で先手優勢。△62玉は▲36歩△44角▲63桂成△同玉▲43馬が厳しい。
▲25歩に△26飛と打つ。
▲39銀に△25飛は▲33銀がある。△35角は▲36歩から追って後手の角が捕まっている。
▲33銀△29飛成▲24銀成△86桂は▲33成銀と入って、以下△78桂成▲43馬△62玉▲54桂△同歩(△72玉は▲61馬△同玉▲52金以下詰み)▲44角と王手飛車を掛けて先手優勢。
▲39銀に△57角成▲同玉△54香は▲56歩が好手。
単に▲68玉と逃げると△57金▲77玉△97竜▲87歩△86歩が詰めろになるが、▲56歩△同香を入れておけば最後の△86歩が詰めろにならない。
▲56歩に△同飛が怖いが、▲48玉△57飛成▲38玉△26歩▲16銀と受けて先手指せる。
▲39銀△35角に▲55桂と打った最終図は先手を持って指してみたい。
最終図以下△42金は▲64桂が痛い。
△62玉▲36歩に△同飛と取れるようにしたのが△26飛の効果だが、そのために飛車を使うのは寂しい気がする。
△62玉に▲43馬△54香▲34馬が予想される進行だ。
一手一手が難しく、変化は多岐に渡る。
後手が横歩取りに誘導してきたところを、先手の研究範囲に持ち込めるのが魅力の一つだ。
先手の有力な作戦の一つだ。