先手矢倉に対する後手の対策を検討したい。
目次
第1図 テーマ図
手順 ▲16歩。
今回は先手が▲16歩と突く将棋を検討したい。
先にこちらの記事からお読みいただくと、より理解が深まります。
▲16歩に代えて▲34飛△44角▲24飛△22銀という将棋もある。一歩得が大きいか、手得が大きいかという将棋だ。
▲16歩は、△14歩ならそこで▲34飛とし、以下△44角なら▲46歩△33金▲36飛△54歩▲45歩△53角▲68銀△42玉▲17桂とスムーズに活用する意図がある。
だから、このタイミングで▲16歩と突くと後手は△14歩と受けづらい。
第2図 ▲15歩の位の代わりに△65歩と位を取る
手順 △63銀▲28飛△23歩▲15歩△73桂▲58金△62金▲48銀△42銀▲96歩△94歩▲46歩△54歩▲47銀△65歩。
後手は△14歩と受けづらいので△63銀と上がるが、▲28飛△23歩▲15歩で1筋の位が取れる。後手はどこに代償を求めるか。
1つ目は、△65歩と位を取る指し方だ。
最終図以下▲56銀に△81飛だと、▲45銀△33銀▲66歩△同歩▲97角△67歩成▲同金右△64歩▲75歩△同歩▲66銀と動かれて先手ペース。
▲56銀には△41玉が勝り、これなら6筋の反発に対応しやすい。
第3図 先手が右玉を目指した場合
手順 ▲36歩△44歩▲37桂△43銀▲48玉△33桂▲29飛△31角▲56歩△52玉▲66歩△同歩▲55歩。
△65歩に▲56銀△41玉▲69玉△81飛の進行もあるが、▲66歩と反発する展開は先手玉が6筋に近いので怖い。
▲15歩の位に近づき、△65歩の位から遠ざかる意味でも、右玉を目指すのが自然だ。
▲36歩に△44角も有力。以下▲37桂なら△14歩▲同歩△同香▲同香△17角成▲29飛△18馬▲26飛△17馬▲29飛△18馬・・・と進んで千日手になる。▲26飛に代えて▲25飛と逃げても△33銀で飛車が狭い。
△44角と上がることで先手の右玉を牽制できる。
▲36歩に△44歩から駒組するのは無難な指し方だ。
▲66歩△同歩に▲同銀△65歩▲57銀もあるが、△66同歩に▲55歩と突くのは積極的な一手だ。△55同歩▲66銀△65歩に▲55銀と進出できるようにしている。
最終図は難解だが、先手の主張が通っている雰囲気もある。
後手としては▲36歩に△44角を選びたい気もする。
第4図 △65歩の位を取らずに駒組み
手順 △44歩▲66歩△43銀▲69玉△52玉▲56銀△33桂▲79角△81飛▲36歩△31角▲68角△53角▲79玉△21飛。
2つ目は、△65歩の位を取らずに駒組する順だ。
最終図△21飛と回って逆襲を狙う。
▲25歩と受けてきたら、△92香▲88玉△91飛と、今度は9筋を狙う。
この順も後手有力だ。
第5図 銀冠か金冠に組んで△14歩の逆襲
手順 △52玉▲46歩△33角▲47銀△24歩▲36銀△23金▲69玉△54歩▲66歩△81飛▲56歩△32銀。
3つ目は、銀冠か金冠に組んで△14歩と逆襲する順だ。
△52玉と上がり、▲46歩を見て△33角と上がる。単に△33角と上がると▲36歩ー▲37銀を選ばれる可能性がある。
△33角▲47銀に△24歩と突いて銀冠を目指す。▲69玉なら△22銀ー△23銀と組める。
△24歩に▲36銀は、△22銀なら▲25歩と打つ狙いだ。もう銀冠は間に合わないので、△23金と金冠にシフトする。
最終図。後手は次に△14歩▲同歩△同香という狙いがある。▲15歩を直接咎めた指し方だ。
第6図 △65桂と仕掛ける
手順 △73桂▲28飛△23歩▲15歩△62金▲58金△52玉▲48銀△65桂▲66銀△86歩▲同歩△同飛▲87歩△81飛。
4つ目は、△65桂と仕掛ける将棋だ。△62銀型ではなく、△72銀型に組むのがポイントだ。
△63銀を保留し、△62金ー△52玉と駒組する。
▲48銀に△63銀と上がれば第5図と合流する。△63銀と上がらず、すぐ△65桂と仕掛けるのが後手の工夫だ。
▲68銀なら△86歩▲22角成△87歩成が成立して後手良し。よって▲66銀とかわすことになるが、△86歩から一歩交換できる。
最終図は8筋の歩交換ができたものの、△65桂が負担なので一局の将棋だ。
まとめ
今回は矢倉で▲16歩と突く手に対する後手の対策を検討した。
△65歩と位を取る順。
△65歩の位を取らず、無難に雁木に組んで駒組みをする順。
△24歩と、銀冠か金冠に組んで△14歩と逆襲する順。
△65桂と仕掛ける順。
いずれも後手有力だ。好みの展開を選ぶと良いだろう。
▲16歩と突く将棋は一局ながらも、先手の利があまりない。主力の作戦にはなりにくい。