三段リーグで指した将棋を振り返りたい。
問題図(△27角の図)
問題図は先手が私で、後手が相手だ。
本局は後手が雁木に組んだ。対して先手は▲37銀から攻めたが、思ったより戦果は上がらなかった。
問題図はその終盤戦。お互い玉が危険だ。
何枚入れば後手玉を詰ませられるかを正しく読むことで、次の一手が決まる。
ここで三択問題を出したい。
▲55歩か▲77銀が正着
手順 ▲55歩△38角成▲77銀△同歩成▲42金△61玉▲62銀成△同飛▲52金打△同飛▲同金△同玉▲34角△43金▲53銀△41玉▲23角成△32飛▲77金。
▲55歩△38角成▲77銀、または▲77銀△38角成▲55歩が正着だった。角金銀では後手玉は詰まないと思ったが、△77同歩成に▲42金と打って勝ち筋に入っている。
△61玉▲62銀成に△同玉は▲51角△72玉▲73金以下詰む。
バラバラにして▲34角と打って、△43銀合は▲82飛△62銀▲53銀△41玉▲42銀成△同玉▲62飛成△52飛▲53桂成△31玉▲22銀以下詰みになる。
△43金合▲53銀△41玉▲23角成△32飛合とすれば詰まないが、後手に飛車を使わせたので冷静に▲77金と戻せば、先手玉に詰めろがこない。
読み切れば一本道だが、かなり難解な手順だ。
▲77銀に△53金の変化
手順 △53金▲同桂成△77歩成▲62銀△同飛▲同成桂△同玉▲32飛△73玉▲74歩△64玉▲31角△53桂▲同角成△同玉▲33飛成△43歩▲38竜。
▲77銀に△53金▲同桂成を入れて△77歩成とするのはどうか。
これには▲62銀△同飛▲同成桂△同玉とバラバラにして▲32飛と打つ。△52桂は▲72金以下詰む。
詰みを逃れるなら▲32飛に△73玉だが、▲74歩△64玉▲31角と王手する。△55玉は▲46金△65玉▲66金△同銀▲同歩△同玉▲57金△同玉▲75角成以下詰み。
△53桂合は仕方ないが、▲同角成から▲33飛成、▲38竜と馬を取って先手勝ちになる。
最終図以下△78とは、▲65桂△64玉▲53角から追って詰む。
△53金▲同桂成に△49飛▲68玉△77歩成▲同金△76歩とするのは、上部が厚くなるので▲62銀からより詰みやすくなる。
この2つの膨大な変化を読み切らないと、▲55歩と角は取れない。至難の業だっただろう。
本譜▲39歩
手順 ▲39歩△38角成▲同歩△39飛▲49金△29飛成▲55歩△48歩▲同玉。
本譜は秒に追われて▲39歩と打った。▲55歩の変化は難解なので、実戦的な手だっただろう。
本譜は△38角成▲同歩△39飛と王手したが、▲49金△29飛成▲55歩と角が2枚入り形勢が好転した。
最終図から△45桂と、△36桂▲59玉△49竜▲同玉△57桂不成以下の詰めろをかけたいが、▲33角△61玉▲34角で抜かれてしまう。
では後手はどう指すべきだったか。
手順 △53金▲同桂成△38角成▲同歩△78銀不成▲55歩△69飛▲48玉△29飛成。
△53金と駒を補充するのが勝った。通常は▲同桂成で攻めが早くなるのだが、それよりも後手は駒が欲しい。
△38角成▲同歩△78銀不成▲55歩△69飛▲48玉△29飛成とした最終図は形勢不明。際どい勝負だ。
最終図から▲43金のように詰めろをかけるのは、△56桂▲57玉△67銀成以下詰む。このための△78銀不成だった。
▲34角は攻防手だが、△39銀▲57玉△65桂▲56玉△55歩▲65玉△64銀から手厚くされると先手勝てない。
▲83角も攻防手だが、△57銀(△39銀だと▲57玉△45桂打だと▲68玉で先手優勢)▲同玉△45桂打▲56玉△55歩▲65玉△64銀とされると先手足りない。
角の攻防手が利かないので、先手は▲62金や▲52金の筋を考えることになりそうだ。
▲39歩に対するこの手順は後手も見つけるのが大変で、その点ツキがあっただろう。
▲39飛の場合
手順 ▲39飛△38歩▲55歩△39歩成▲77銀△53金▲同桂成△49角成。
▲39飛は悪手だ。△38歩と打たれ、後手の攻めが早くなる。▲49飛と逃げても△28角成で挟撃態勢になる。
遅れて▲55歩△39歩成▲77銀としても、△53金と銀を補充してから△49角成として、先手玉は詰み筋に入る。
局面の結論と反省
▲55歩△38角成▲77銀とすれば先手勝ち筋だ。△同歩成は▲42金。△53金▲同桂成△77歩成には▲62銀から王手していって△38馬が取れる。
ただこの2つの変化は読み切るのが非常に大変だ。
実戦の▲39歩は最善を逃したものの、形勢が互角だったのはツキがあった。対する後手も最善手は非常に指しづらい手順だった。
最善手が指せなくても、自分から崩れないことが大切だ。