三段リーグで指した将棋を振り返りたい。
今回は相掛かりの将棋となった。序盤作戦勝ちになったかな、というところでこちらがミスし、かなり差がついてしまった。
しかし一瞬のチャンスがきた。ものにできるか。
問題図 (△53金の図)
問題図は先手が私で、後手が相手だ。本当は私が後手だが、見やすいように先後逆で検討したい。
問題図は▲34角に△53金と受けてきた局面。
実は△53金が疑問で、ここは△33銀▲55角△79銀▲同玉(▲77玉は△34銀▲28角△68角▲66玉△47香成で先手負け)△29飛成▲88玉△34銀とすれば、はっきり後手良しだった。
△33銀に▲45角と取れるが、△29飛成でやはり後手良しだ。
つまり▲34角も疑問で、代えて▲25角や▲32角なら難しかった。
このあたり、お互い時間がなく形勢が揺れている。
ここで三択問題を出したい。これは一目で当ててほしい問題だ。
本譜▲54桂 これが正着
手順 ▲54桂△同金▲43角成△62玉▲52金△71玉▲54馬△47香成▲44馬△82玉▲66角△48飛成▲77玉△84歩。
▲54桂が鋭い一手。▲42と以下の詰めろで、△51銀と受けても▲42と△同銀▲62金△41玉▲23角成で合い駒がなく寄りとなる。
▲54桂と打てて手応えはあったが、▲43角成△62玉に▲52金が敗着となってしまった。単に▲54馬は△47香成▲44馬△53銀で負けと思い、読みを打ち切ってしまった。しかし先手が良くする順があった。後述したい。
本譜は▲66角が詰めろ逃れの詰めろになっているのを期待したが、△48飛成▲77玉△84歩が冷静な一手で、これ以上詰めろが続かない。
はっきり負けにしてしまった。
手順 ▲54馬△47香成▲44馬△53銀。
△62玉に▲54馬と、単に金を取るのが良かった。
△53銀打と弾きたいが、▲52金△同玉▲43と△62玉▲55角が絶好手となる。▲52金に△71玉と逃げても▲53金とボロッと駒を取れる。
△47香成▲44馬に△53金は、▲52金で、△同玉は▲43金△61玉▲62銀以下詰む。よって△71玉になるが▲53馬△82玉▲66角として先手勝勢だ。
△53銀は、▲52金なら△同玉▲43と△61玉で耐える意図だ。
先手玉は△48飛成以下の詰めろがかかっている。この局面が先手足りないと思ったのだが・・・
手順 ▲55角△48飛成▲77玉△44銀▲同角△53歩▲49歩。
まず先手玉の詰めろを解消する▲55角はどうか。これも悪い手ではない。
△48飛成▲77玉△44銀▲同角に△53金は、▲同角成△同玉▲54銀と打って先手良し。△同玉は▲43銀以下詰みだし、△62玉は▲53銀打△71玉▲62金と物量で押し切れる。
△53歩は金を温存することで、次に△85桂打または△68角以下の詰めろになっている。
攻めていたはずの先手が先に詰めろをかけられてしまった。では最終図は先手負けかと言われるとそうではない。▲49歩と際どく利かす手がある。これで先手玉の詰めろが消えている。△38竜と逃げても先手玉の詰めろが消える。
▲49歩に△57竜と引くのが勝り、形勢不明だ。
△53銀に▲52金 先手が勝ちに行く変化
手順 ▲52金△同玉▲43と△61玉▲55角△48飛成▲77玉△57成香。
△53銀に▲55角と出る変化は形勢不明だった。
先手が強く勝ちに行くなら▲52金だ。△同玉▲43と△61玉で詰まないと前述したが、そこで▲55角が詰めろ飛車取りとなる。
△48飛成▲77玉で飛車は逃げられてしまうが、今度△44銀と角を取ると▲62銀以下詰む。放置しても▲62銀△同銀▲同馬△同玉▲44角以下の詰めろになっている。後手玉は受けづらい。
受けても一手一手の寄りと思うが、▲77玉に△57成香が好手だ。これが△67成香以下の詰めろで、▲62銀△同銀▲同馬△同玉▲44角に△同竜を用意した詰めろ逃れの詰めろになっている。
万策尽きたと思われるが、先手にまだ手段が残っている。
手順 ▲34馬。
△57成香が詰めろ逃れの詰めろで先手負けと思うが、▲34馬がさらなら攻防手になる。次に▲53とを狙いつつ、△67成香に▲同馬を用意している。後手玉から遠ざかるので見えづらい一手だ。
▲34馬に△67成香▲同馬△43竜と粘っても、▲88玉が冷静な一手。駒の損得はないものの、先手の方が玉の安定度が高く、先手良しだ。
△53銀に▲52金と踏み込んで先手が指せていそうだ。
局面の結論と反省
結論としては、問題図は▲54桂と打って先手良し。
しかしその後の手順の難易度が高い。△54同金▲43角成△62玉▲54馬△47香成▲44馬△53銀に、▲52金△同玉▲43と△61玉▲55角△48飛成▲77玉△57成香の順は、先手負けと判断するのが一般的だろう。最後の▲34馬にたどり着けるかどうか。
△57成香の局面になって▲34馬を見つけるのと、読みの中で▲34馬を見つけるのでは難易度に雲泥の差がある。
△53銀に▲55角△48飛成▲77玉△44銀▲同角△53歩の順も、最後の▲49歩が見えるか見えないかでは大きな違いだ。
負けと判断した局面が実は勝ちだった、ということは何度もある。負けだと思っても、最後まで読む姿勢が大切だ。