テーマ図
今回は▲48銀と▲38銀の違いについて考えてみたい。
テーマ図は▲38銀型で▲45桂ポンの攻めを狙った図だ。▲45桂ポンの攻めを見せて△52金と上がらせる、という目的がある。△52金と上がらせると、△62金ー△81飛の格好に組むとき一手損する。
対する後手の対策は△74歩ー△73桂を急ぐのが有力だった。
まずは以前検討した記事の復習からしていきたい。
手順 ▲45桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛△22歩。
△73桂に▲78金は△65桂と跳んで後手指せる。
△73桂に▲66歩と受けたら△52金と上がり、△64歩ー△42玉ー△63銀ー△54銀ー△84角のように駒組して、将来6筋が争点になる。△62金ー△81飛の格好を目指すと一手損するが、▲66歩と突かせれば△52金と上がっても腹は立たない、という主張だ。
怖いのはいきなり▲45桂の攻めだが、△44銀▲24歩△同歩▲同飛△22歩と受けるのが好手で、受かっている。
△22歩に代えて△23歩は、▲34飛△41玉▲22歩△同金▲31角でつぶれる。
手順 ▲15歩△同歩▲同香△42角。
△22歩に▲15歩から攻め続けたいが、△同歩▲同香に△同香は▲12角で先手良しだが、△42角が好手で後手良しになる。
最終図から▲34飛は、一回△15角が王手になる。これが▲48銀型なら△15角が王手でなくなるので、先手指せる変化だ。
つまり、▲38銀型で△74歩ー△73桂は有力だが、▲48銀型では最後▲15歩の攻めが成立する。▲48銀型の場合後手は違う対策を立てたい、ということだ。
▲38銀型で△74歩ー△73桂を急ぐ指し方はこちらから。
▲48銀型で△74歩ー△73桂を急ぐ指し方はこちらから。
▲48銀型に組むには先に▲46歩を突く
手順 ▲46歩△33銀▲48銀。
▲48銀型に対する後手の対策を見る前に、先手の注意事項を確認しておきたい。
▲78金と上がるのは▲45桂ポンの攻めに適してない。
△14歩に▲48銀と上がると、△33銀を保留して△62銀と上がる手が考えられる。以下▲24歩△同歩▲同飛△33角▲34飛△41玉で、次に△28歩▲17桂△29歩成と△86歩▲同歩△88歩と2つ狙い筋がある。
△14歩に▲38銀の場合、今度△62銀は▲24歩△同歩▲同飛△33角▲34飛△41玉のとき△28歩▲17桂△29歩成の筋がない。よって最後▲78金と△86歩の筋さえ消しておけば先手指せる。
▲38銀なら△33銀と上がってくれるが、▲48銀だと△33銀を保留される可能性がある。そこで先に▲46歩と突く工夫だ。
対して△62銀なら▲24歩△同歩▲同飛と歩交換できる。以下△33角には▲28飛と引ける。
▲46歩に△42玉も考えられる。▲37銀ー▲46銀の早繰り銀の可能性が無くなったから指しやすくなった手だ。▲46歩と突いてない状態で△42玉と上がると早繰り銀にされ、後手が損する。
△42玉以下、▲24歩△同歩▲同飛△47角▲28飛(▲38角は△同角成▲同銀△86歩▲同歩△88歩▲同銀△33角で後手良し)△74角成▲15歩△同歩▲13歩でどうか。
後手としても△33銀を保留するためにリスクを負うのは嫌だろう。▲46歩△33銀を見て、先手は▲48銀型を選ぶ。
銀の動きを保留し、▲46歩を急ぐ指し方はこちらで検討した。
テーマ図に戻ろう。
△73桂に代えて△52金の変化
手順 △52金▲24歩△同歩▲45桂△22銀▲24飛。
△73桂に代えて△52金とする変化を考えたい。対して▲24歩△同歩▲45桂と仕掛ける変化だ。
▲24歩に代えて▲45桂△22銀▲24歩としても合流する。△74歩が突いてあるので▲24歩に△同銀は▲55角がある。
最終図▲24飛と走った図は、次に▲55角がある。後手はどう受けるか。
手順 △55角▲66角△同角▲同銀△73角▲34飛△33歩▲74飛△46角▲71角△19角成▲77桂。
すぐ△73角と打つと、▲66角のラインが嫌。
△44角▲34飛△42玉と対応するのは、▲35角△同角▲同歩と手順に歩を進めて先手まずまず。
一回△55角と打ち、▲66角△同角▲同銀を入れてから△73角と打つ。△73角で△64角と打つと、▲34飛で、△33桂は▲21角△42金右▲32角成△同金▲24金だし、△33歩は▲64飛△同歩▲55角と打って攻めが続く。
△73角には▲34飛△33歩▲74飛と回る。
最終図。先手は▲71角と打ったが、後手は△19角成と香得をした。▲82角成は△同馬で固い。そこで先手は▲77桂と力を溜める。
手順 △44香▲46歩△同馬▲53桂成△同金▲45歩△同香▲47歩△64馬▲62角成△同玉▲71銀△61玉▲82銀成△同馬▲84飛△83銀▲85飛△44歩▲41飛△72玉▲65桂△52金▲83飛成△同玉▲21飛成△31金▲75桂△74玉。
▲77桂とした図は後手の指し手が広いが、△44香と催促するのが有力だ。▲46歩△同馬に▲47歩は、△64馬▲75銀△55馬▲66銀△64馬で千日手の筋になる。△64馬に▲同飛としたいが、△71銀で先手失敗だ。
▲62角成△同玉▲71銀に△61玉もギリギリの逃げ方だ。
先手の猛攻が続くが、最終図は後手が余している。
手順 △44銀▲24飛△22歩▲34飛△42金右▲24飛△86歩▲同歩△73桂。
△22銀は強い手だが、怖い手でもあった。△44銀とする手も有力だ。
▲24飛に△22歩と受ける。△23歩は▲34飛△42金右とき▲22角と打ち込んでで先手良しになる。△22歩はこのときの▲22角を消している。
最終図は次に△65桂の跳ねや△64角から△86角の強襲を狙って、後手不満ない。
手順 ▲24歩△同歩▲45桂△44銀▲24飛△22歩▲34飛△42金右▲24飛△86歩▲同歩△73桂。
▲38銀型で△52金と上がった変化を検討した。対して▲24歩から仕掛けたが、△同歩▲45桂に△22銀でも△44銀でも後手は戦える。
▲48銀型で△52金と上がる変化もほぼ同じ理屈だ。▲45桂に△22銀の変化もあるが、▲48銀型が生きる変化もあるので△44銀と上がりたい。
△52金のデメリット
手順 ▲78金。
▲24歩△同歩▲45桂と仕掛けるのは先手やりづらい。しかし△52金と上がると△62金ー△81飛の格好を組むとき一手損する。そこで▲78金から駒組するのが有力だ。
▲78金に△73桂は▲68玉で、▲66歩を突かずに駒組できる。
ここまでの理屈のまとめ
▲38銀型で△74歩ー△73桂を急ぐ指し方が有力だった。
▲78金には△65桂がある。駒組するなら▲66歩と突く必要があるが、将来6筋が争点になる。▲45桂は△44銀▲24歩△同歩▲同飛△22歩で受かる。
先手は▲45桂ポンを見せて△52金と上がらせる、という意図があるが、△74歩ー△73桂を急ぐことで先手の主張を崩している。
しかし▲48銀型にすると、△74歩ー△73桂を急ぐ指し方は、▲45桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛△22歩に▲15歩と突く攻めがあるのでやりづらい。
▲48銀型は△74歩ー△73桂を牽制する意図がある。
△73桂に代えて△52金と上がれば、▲24歩△同歩▲45桂の攻めがやりづらいが、▲78金から駒組したとき、△62金ー△81飛の格好に組むと一手損する。
後手が△52金ー△62金ー△81飛と駒組すると、先手は上の図に誘導しやすい。
上の図に誘導したいために、▲69玉や▲27飛のように手数の調整する手が出てきた。
▲69玉と手数をずらす理屈はこちらから。
最終図から△52玉は▲67銀、△54銀は▲45桂と、後手の手を見て先手は手を選べる。最終図を後手は避ける傾向にある。
次のテーマ図
手順 △44歩▲47銀△73銀。
△52金と上がったあとに、△62金ー△81飛の格好にすると一手損する。善悪はともかく、▲45桂ポンを見せて△52金を上がらせる、という先手の主張を通しているのが悔しい。
そこで△44歩▲47銀△73銀と早繰り銀にするのが有力だ。▲37桂と跳ねてくれると△35歩の攻め筋ができるので、早繰り銀にしやすい意味がある。また▲37桂の代わりに▲66歩ー▲56銀に手が回っていると、△64銀に▲65歩と追える。先手の左辺の手が遅れているから早繰り銀にする、という意味もある。
△73銀に先手はどう作戦を組み立てるか、次回見ていきたい。