テーマ図

手順 ▲78金△44歩▲47銀△73銀。

今回は先手の腰掛け銀に対して、後手が△73銀と早繰り銀にする将棋を検討したい。

▲38銀型には△52金に代えて△73桂と跳ねる手も有力だ。先手は△52金を見たら▲78金から駒組する。△52金と上がったので△62金ー△81飛の格好に組むと一手損する。

前回は▲38銀と▲48銀との違い、△73桂と△52金の使い分けについてこちらで検討した。

そこで後手が早繰り銀を目指す。もう一つ早繰り銀にする理由として、先手が▲37桂を跳ねてくれたから、ということもある。▲37桂を保留している方が先手に含みが多い。まずはそのわけを見ていきたい。

▲37桂を保留している場合

手順 ▲47銀△64銀▲56銀△42玉▲66歩△75歩▲65歩△76歩▲64歩△77歩成▲63歩成△78と▲64角。

▲37桂の一手を▲56銀ー▲66歩と左辺で使える。この2手が間に合うと、△75歩に▲65歩や▲67銀と受けることができる。△35歩の桂頭攻めがないのも大きい。

▲56銀にすぐ△75歩は▲同歩△同銀▲76歩で、王手飛車のラインがあるので△86歩とできない。撤退するのは元気出ない。

△42玉と避けてから△75歩と仕掛けるが、▲65歩△76歩に強く▲64歩と踏み込んで先手指せる。駒損するが最終手の▲64角が厳しい。

手順 △41玉▲66歩△75歩▲65歩△76歩▲同銀△73銀▲77角。

△42玉に代えて△41玉とする工夫がある。これなら▲65歩△76歩▲64歩以下の変化になったとき、最後の▲64角が厳しくない。駒得で後手が指せる。

よって先手は▲76同銀になり、△73銀と引いた図が先手の分岐点。3つの手段がある。

▲77角と打つ順。△86歩を防ぎつつ、▲48金ー▲37桂と組んで将来▲35歩の攻めを狙う。

②▲77桂△86歩▲同歩△同飛▲87金△82飛▲86歩と盛り上がる順。

③▲67銀左△86歩▲同歩△同飛▲87歩とする順。②と比べて形がきれい。

▲36歩と突いてある場合はできないが、▲67銀右とする順も部分的にはある。この場合は△55角があって先手失敗だ。

棋風で選ぶと良いだろう。

手順 △54歩▲58金△75歩▲67銀。

△75歩▲65歩の反発を後手が嫌うなら、△54歩と備える手が考えられる。これで▲65歩に△53銀と引けるようになる。

△54歩と突いてもらったので、▲58金△75歩▲67銀の順にシフトするのが有力だ。△75歩に▲65歩は△55歩▲64歩△56歩▲63歩成△39角の強襲が怖い。

最終図は先手まずまずだ。「角換わり将棋に5筋は突くな」という格言にもあるように、△52金と上がると▲71角と打たれるので金をくっつけづらい。

最終図で▲37桂が跳ねてあると、将来△35歩の攻めが残る。

▲37桂を保留していると、先手はこうした順を選べる含みがある。

テーマ図に戻ろう。

△73銀からの変化

手順 ▲48金△64銀▲29飛△41玉▲68玉。

▲48金ー▲29飛と組むのは現代調だが、後手が早繰り銀できているので悠長の印象も受ける。

△31玉と囲う展開になるなら△41玉でも△42玉でも関係ないが、△75歩と仕掛ける展開なら△41玉の方が良い。△42玉だと将来▲45歩から仕掛けられたとき当たりが強くなっているからだ。将棋を指すときは含みがある指し方が大切だが、△41玉もその一つだ。

最終図は一局ながら、後手まずまずだ。以下△75歩と仕掛けるか、△31玉▲56銀△42金右▲66歩△54歩▲45歩△55銀とする順にするか。△55銀はこの戦型でよく出てくる手で、銀交換すると△47銀▲同金△38角の筋が狙える。後手陣の方が固いので、強い戦いができる。

手順 ▲66歩△64銀▲56銀△54歩。

▲48金ー▲29飛の指し方は穏やかなので、▲66歩ー▲56銀と積極的に指してみる。

▲56銀は次に▲65歩と追う筋がある。△75歩は▲65歩△76歩▲64歩△77歩成▲63歩成△同金▲77桂と強く戦って先手指せる。よって△54歩と突く。今度▲65歩は△55歩と強く戦える。

ここで先手の分岐点だ。先手は△75歩をどの形で待ち構えるかが課題だ。

先手の分岐点 ▲48金ー▲68玉

手順 ▲48金△41玉▲68玉△75歩▲67銀△35歩▲26飛△36歩▲同飛△84飛。

先手は▲48金ー▲29飛ー▲68玉の3手指すのが理想だ。しかし△41玉の次にすぐ△75歩と仕掛けてくる。

▲48金ー▲68玉の2手入れて、△75歩に▲67銀と引くのは自然な対応だが、△35歩の攻めがくる。▲26飛で受かるが、飛車が不安定な格好になるので怖いところだ。

△36歩▲同飛の局面で、すぐ△28角は▲34歩△22銀▲71角の打ち込みが嫌。△43金右か△84飛と備えておいて、次に△28角を狙うのが良さそうだ。

最終図以下▲38金と備えてどうか。これからの将棋だが、後手に主導権があるようにも思える。

▲38金ー▲45歩

手順 ▲38金△41玉▲45歩△43金右▲68玉△31玉▲44歩△同銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛。

▲48金ー▲28飛の格好は△39銀のキズがあるし、▲48金ー▲29飛の格好も△47銀のキズがある。いずれも銀交換に弱い格好だ。そこで▲38金と上がるのが先手の工夫。

△41玉に▲45歩と仕掛ける。△75歩がくる前に先攻したい。

2歩交換した最終図。以下△55銀左や△46歩が予想される。△39銀のキズや△47銀のキズはないが、金が玉から遠いので薄くなる。一長一短ある指し方だ。

▲68玉ー▲45歩

手順 ▲68玉△41玉▲45歩△43金右▲79玉△31玉▲88玉。

金の態度を決めずに▲68玉と上がる手も有力だ。△75歩がくる前に▲45歩と仕掛ける。

対して同じように△43金右と上がるのは▲79玉から囲って、先手作戦勝ちだ。どこかで▲58金と玉側に上がれるのが大きい。

手順 △55銀▲同銀△同歩▲67金△56歩▲同金△64角▲46角△同角▲同金△64角▲47金△95銀。

▲45歩に△43金右とするのは後手不満だ。△55銀が勝る。▲同銀△同歩が次に△56歩の狙いになる。

▲67金では▲38金もあるが、△43金右▲79玉△31玉で先手玉が薄いのが気になる。

▲67金に△47銀は、▲78玉△36銀成▲38金△46角▲48銀で後続が難しい。△56歩▲同金△64角は、▲38金の受けなら△35歩▲同歩△86歩▲同歩△同角と強襲する狙いだ。▲55銀にも△86歩▲同歩△同角が狙いになる。

▲46角△同角▲同金△64角▲47金とすれば、今度△35歩の攻めがない。よって△86歩▲同歩△同角は▲88歩と受けておいて大丈夫。

▲47金に△95銀と打ってどうか。▲67金ー▲56金おびき出して8筋を弱くしたので、そこを狙いたいところだ。

この変化は形勢不明。

まとめ

▲37桂が跳ねてあると、後手は早繰り銀を目指しやすい。

△54歩と突いた局面で、▲48金ー▲68玉、▲38金ー▲45歩、▲68玉ー▲45歩と、いくつかパターンがある。

先手は△75歩がくる前に▲45歩と仕掛ける展開を目指したいところだ。

腰掛け銀対早繰り銀の一つの課題局面だ。

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