三段リーグで指した将棋を振り返りたい。
本局は相穴熊になった。相手の研究に乗ってしまい、形勢を悪くした。
しかし中盤で盛り返し、難解のまま終盤に入った。
問題図(△97歩の図)
問題図は先手が私で、後手が相手だ。
△97歩と垂らされた局面だ。次に△78ととされると受けがない。先手は何か受ける必要がある。
先手は数手前から1分将棋になった。
ここで三択問題を出したい。正着を当ててほしい。
▲97同桂の変化
手順 ▲97同桂△78金▲22角△77銀▲98飛△84歩。
▲97同桂の変化から見ていきたい。この手が一番考えづらいだろう。
対して△77銀は▲98玉△78金▲99角で後手の攻めが切れ気味。▲98玉に△78とも▲58竜で切れている。△77銀に▲58竜も見えるが、△同と▲77馬△69飛▲88玉△68飛成で難解な勝負になる。
▲97同桂にはじっと△78金が正着だ。
▲22角△77銀▲98飛と大駒を投入して頑張るが、△84歩が好手。代えて△69銀成としたくなるが、▲77馬△同と▲93銀で先手優勢になる。
最終図から▲84同金は△83金で後手優勢。△84歩に▲11角成△85歩▲93香として難しいところもあるが、後手良しには変わりない。
本譜▲88玉 この手で負けにした
手順 ▲88玉△89金▲97玉△88銀▲同馬△同金▲93銀。
本譜は▲88玉と上がった。自然な手だが、この手で負けにした。
△89金に▲同玉は△84銀と金の入手を狙って後手良し。
▲97玉に△88銀と追撃する。▲86玉は△74桂▲同金△同歩で、後手が手厚い。
▲88同馬△同金に▲同玉は△84桂が痛い。先手の唯一の希望は9筋なので、9筋を緩和されると望みがない。
構わず▲93銀と打った局面がどうなっているか。
手順 △93同桂▲同歩成△87金▲同玉△95桂▲97玉△93銀。
一回△93同桂と銀を補充し、▲同歩成に△87金▲同玉△95桂が決め手だ。
▲95同香は△78角▲86玉△77銀▲97玉△96歩▲98玉△89角成以下ぴったり詰む。
よって▲97玉になるが、▲96香を影にできたので△93銀と戻すことができる。
△95桂に代えて、△78角▲97玉△96角成▲同玉△93銀▲同桂成△同香▲94歩△同香▲95歩△同香▲同玉△94歩▲86玉△93桂としても後手良しだが、△95桂の方が明快だ。
手順 ▲93同桂成△同香▲94歩△88銀▲同玉△66角▲89玉△77桂▲99玉△98歩▲同玉△97歩▲99玉△69桂成▲89玉△79成桂▲同玉△87桂不成。
▲95香は△96歩▲同玉△94歩で先手負け。
詰めろをかけ続けるには▲93同桂成△同香▲94歩になるが、△88銀が鋭い一手。
▲88同玉と取ると、△66角以下一歩も余らず詰む。作ったようにぴったりで、投げ切れない負け方だ。
△88銀に▲86玉なら詰みはないが、△97角▲95玉△94香▲同玉△75角成で必至がかかる。
▲88馬が正着だった
手順 ▲88馬△78と▲58竜△98銀▲同馬△同歩成▲同玉△66角。
▲97同桂も▲88玉も先手負けだ。▲88馬が正着だった。すぐ馬を取られてしまうので浮かびづらい手だ。
△78金は▲97馬と外されて後手の攻めが細いので、△78とと入る。
▲58竜に△88とは▲同玉で先手玉が広くなる。駒得よりも、△98銀▲同馬△同歩成▲同玉△66角と縛るのが寄せのポイントだ。
▲77角が指せるか
手順 ▲77角△同角成▲同桂△88角▲33角△74歩▲同金△65銀▲75金△56銀▲95飛。
△66角は△88角成の一手詰の狙いだ。▲97玉は△88角成▲86玉△89金で先手負け。△66角に▲97銀も△89金で必至になる。単純な狙いだが、かなり受けづらい格好だ。
普通は▲77銀だが、△同と▲93銀△同桂▲同歩成△同銀▲同桂成△97歩▲同玉△75角で、▲同歩は△86銀以下詰み。▲86銀と合い駒すれば詰まないが△93角と戻されて先手足りない。
これらを踏まえて▲77角が正着だ。これなら△同とに▲93銀△同桂▲同桂成△同銀▲同歩成△97銀▲同玉△75角▲同歩となったとき、さっきは後手の持ち駒が金銀銀だったので詰んだが、今度は角金桂なので、△85桂▲86玉△76金▲85玉のとき△84銀と打てないので詰まない。
△77同とは後手負けなので、△77同角成▲同桂△88角と縛るが、▲33角が受けの好手で攻めが続かない。
▲33角に△63銀と引いて△74銀を狙っても、▲95飛と数の攻めをすれば、△74銀▲93歩成△同桂▲同桂成△同銀▲同飛成△同香▲同香不成以下詰みだ。
△74歩▲同金△65銀▲75金△56銀は、▲同竜に△89金と必至をかける意図だが、構わず▲95飛と打てば先手優勢だ。
局面の結論と反省
▲88馬と引けば先手が指せていたかもしれない。▲97同桂と▲88玉は先手負けだが、負けと判断するのもかなりの読みが必要だ。
▲88馬に△78と▲58竜△98銀▲同馬△同歩成▲同玉△66角となった局面で、▲77角が唯一の正解だが、この手も指せたかどうか。
先手の指し手の難易度が高い終盤戦だった。
先手玉は薄く、先手は一手間違えると奈落の底に落ちる。そのため慎重に読む必要がある。読む量が多い上に正確さが求められる局面で1分将棋だったので、局面が良くても勝てない流れだろう。
形勢も大切ではあるが、残り時間や勝ちやすさ、指し手の難易度などのさまざまな条件が結果に影響する。